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なぜ、作業ミス対策の検討は「なぜなぜ分析」しかないのか?

運用をしていると、作業ミスが発生して対策を考えなければならないことがあります。

作業ミスなどの分析では「なぜなぜ分析」が有名ですが、それ以外の方法も少し考えてみたいと思います。
なぜなぜ分析は、自分たちで問いを立てるので、「問題の本質に辿り着くための問いを立てられない」可能性があります。
参加メンバーの問いを立てる能力の優劣が、なぜなぜの結果にも影響を与えます。
同じメンバーで何回も「なぜなぜ分析」をしていると、毎回同じような答えに辿り着いてしまうというトホホな状況に陥ることもあります。
そしてなによりも、作業ミスが起こるたびに自ら5回も問いを立て、それに自ら答えていく作業はそれなりにパワーも稼働もかかります。

「作業ミス」といったある程度状況や対象が絞られている失敗については、定型の問いに答えていった方が早く答えにたどりつくという考え方も出来るのでは? と考えていました。

この仮説を元に、製造業やIT業界以外の方法を調べてみたところ、医療業界には「エラープルーフ(作業ミス防止)対策を考えるための20の質問」という項目があることを発見しました。
以下は、一部医療業界特有の項目は割愛した20の質問です。

1.作業または危険を排除する(排除)
・エラーしやすい作業または危険な物を取り除けないか。
・作業を自分自身で完結するようにできないか。
・作業または危険を排除するために、先に行えることはないか。
2.人による作業を置き換える(代替化)
・問題を解決するために、プロセスを自動化できないか。
・人による作業を支援するために、予め行えることはないか。
・人による作業を自動化または支援するために、二つまたはそれ以上のものを結びつける、一緒にする、近寄せることはできないか。
3.人による作業を容易にする(容易化)
・人による作業を容易にするために、類似の、誤解しやすいものを取り除けないか。
・人による作業を容易にするために、プロセス・物・情報を標準化できないか。
・人による作業を容易にするために、プロセス・物・情報を並列・冗長にできないか。
・人による作業を容易にするために、予め行えることはないか。
・人による作業を容易にするために、色を利用できないか。
・人による作業を容易にするために、二つまたはそれ以上のものを結びつける、一緒にする、近寄せることはできないか。
4.異常を検出する(異常検出)
・人による作業またはその結果の異常を検出するために、何か数えられないか。
・人に自分で異常に気づくようにさせられないか。
・人による作業またはその結果の異常を検出するために、特別な形状(1D、2D、3D)を利用できないか。
・人による作業またはその結果における異常を検出するために、何かを自動的に検査できないか。
5.影響を緩和する(影響緩和)
・影響を緩和するために、プロセス・物・情報を並列・冗長にできないか。
・影響を緩和するために、予め行えることはないか。

ざっと見ただけでも、なにか作業ミス対策立案がひらめきそうな質問だと思いませんか?

これ以外にも、①改善の機会を見つける、②対策案を生成する、③対策案を評価選定するという3つフェーズにあわせて、FMEA(Failure Mode and Effect Analysis)、ヘルスケア一般化失敗モード、SPN(Solution Priority Number)といった支援ツールも存在します。

詳しくは「医療におけるエラープルーフ化 (特集:医療安全管理の現状と展望):中條 武志, Timothy G. CLAPP, A. Blanton GODFREY」や以下のサイトを確認してください。

たまには、自分たちが普段行っているやり方や利用しているツールを疑って、違う業界の標準を調べてみるのも良いかもしれませんね。


■電子版もあとで出ますよ。

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