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夫に性病をうつされた話

第一子を妊娠したときの話である。
ある日、かかりつけの産婦人科から電話が来た。血液検査の結果で伝えたいことがあるから、できるだけ早く診察に来てくれと。
ただでさえ初めての妊娠でナーバスなのにこれは何事かと血相を変えてすぐに診察を受けに行った。

クラミジア。

性病にかかっていたのである。
とりあえず抗生剤が処方されて、また数週間後に血液検査しましょうということで、病院をあとにした。
秋風が異様に冷たかった。

クララちゃん。

結婚してから不特定の男性とまぐわうことなく来た私が出会うはずのない病気である。
過去にうつされたということもありうる。けれど、若いとき私は何度か膀胱炎になって(あれめちゃ痛い。でもオナるとなんか解毒されて治るときある)抗生剤を飲んで治したことがあるけど、今回処方されたのも同じ薬だ。
だから、私が過去かかっていたとしても、膀胱炎になったときに一緒に治ってるはずなのだ。しかも、最後に膀胱炎になったのは、今の夫に出会ってからなのだ。

先生からは、
だんなさんもなっていると思うので検査受けてもらってくださいね
と言われた。
夫に伝えた。
夫は思い当たることはないと言い張った。
泌尿器科に行くと、案の定罹患してると診断され、薬を処方されていた。
でも思い当たることはないとしれっと言った。
どこでうつったんだろうね、銭湯でもらってきたんじゃない?と。

そんな夢物語みたいな感染のしかたはほぼないと確信しているので、原因は100万パーセント夫にちがいない。そんなもんで性病がかんたんに広がるなら、あまねく銭湯は閉鎖すべきである。だいたい私はそんなに銭湯にいかない。何年かに1回ぐらいの頻度である。
しかも男の人は尿道が長く、クララちゃんがとどまり続けることはまれで、だいたいおしっことともに排出されて自然治癒するらしい。(全部当時のネット情報)

であれば真実はただひとつ。
わたしが妊娠してから、他の女からもらってきた、である。

この事実を認めてくれたら夫への信頼が戻るかというとそうじゃないので、結局認めても認めなくても夫に対する不信感は拭えないのだが、それをわかっていてしらこい顔して「なんでうつったんだろうね」と言ってくることに死ぬほど腹が立った。
しかし追及したところで実入りがないし(風俗に行くなら知らんところで行ってくれたら良い)、「治ったんだからよかったじゃん」とベスト・オブお前が言うなのセリフを言われたら頭かち割ってしまいそうだし、とにかくバッドエンドしかない、そもそもクララちゃんに罹患したことがバッドエンドなので、もうそれ以上この件について夫とは話しないことにした。

それから10年以上経つ。

けれど今でも冷静に腹が立っているし冷静に嫌いである、夫のことが。
こどもにうつったらなにか影響があったらどうしようという悩みを私一人で抱えざるを得なかったことを思い出したときに。あるいは、えらそうな講釈たれてこどもに説教してる顔を見たときに。腹が立つと同時におそろしく白けた気分になる。

金で裏切られる(これもやられた)のも人間として信用できないが、浮気で夫婦が破綻するのも結局こういうことなんだろうなと思う。

そんなわけで、家庭を持ち暮らす日々はイコール夫を嫌いになっていく過程なのである。

てか、どこへ行く、私の自己顕示欲。

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