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怖い行事?いいえ、本当は… 「ヴァルプルギスの夜」について

10月に行われる行事として「ハロウィン」はすっかり日本では定着してきている感がありますね(すっかり日本風に改造されてほとんど「コスプレの日」ですが……)。

では、同じくヨーロッパ発祥の行事として存在する「ヴァルプルギスの夜」については、皆さんどの程度知っておられますでしょうか。実はこの「ヴァルプルギスの夜」がちょうど今の時期、4月30日の夜から5月1日にかけて行われるものなのです。

今回はこの「ヴァルプルギスの夜」について皆さんとともに僕も勉強していきたいと思います。


「ハロウィン」ほど知られていない「ヴァルプルギスの夜」

「ヴァルプルギス(ワルプルギス、とも)の夜」という言葉について、おそらくほとんどの方が「そんなの聞いたことも無い」か、ゲームや漫画で「なんかちょっと聞いたことがある」といった感じだと思います。

そして「聞いたことがある」勢の方のほとんどが、「どこか怪しい、悪いイメージのもの」といった印象を抱いているのではないでしょうか。

それは「ヴァルプルギスの夜」を題材として扱ったゲームや漫画の影響だと思われますが、今現在行われる行事にそんな暗いイメージはありませんし、元々過去に行われていたものも、悪いものではありませんでした。


何をする行事なのか

「ヴァルプルギスの夜」の起源を遡ると、古代ケルトの時代になると言います。そう、「ハロウィン」と同様、ここでもケルトが出てくるのです。

そして、「春の訪れを祝うもの」として行われていました。

日本では3月半ばくらいから暖かくなってきますが、ヨーロッパの方だと少し春の訪れが遅いんですね。そのため、ちょうど5月に切り替わるこの時期に行われていたようです。

春だけではなくこの時期には死者の魂が現世に戻ってくるということで、かがり火を焚いて村を守り、もしくは先祖の霊を導いたと言われています。このあたりのエピソードは「ハロウィン」に近いものがありますね。

ちなみに現代の「ヴァルプルギスの夜」では、魔女の仮装行列やショーなどを行い、盛大に春の訪れを祝うイベントとなっているようです。


魔女の暗いイメージがついたのは

「死者の魂」などちょっとだけ負のイメージがあるものの、ほとんどは明るいものだったはずの「ヴァルプルギスの夜」。

ではどこで「魔女」というものが絡んでくるようになったのでしょうか。そしてなぜ暗いイメージになったのでしょう。

それには中世のキリスト教が関わってくるようです。

この時代のキリスト教は、

「キリスト教以外は全て異教!異教徒は邪悪なものだ」

というちょっと極端な考え方があり、「魔女狩り」などの悲惨な歴史も残っています。


そもそも「魔女」という存在は必ずしも邪悪なものではありませんでした。薬学・医学に精通しており、その知識を使って人々の役に立つようなことをしていたのです。ですが、一般の人のよく分からない知識を持つ者というのは、得てして「得体の知れない存在」として扱われがちです。

「ヴァルプルギスの夜」に魔女が集っていたのは伝承に残っているようですが、そこに伴うのは“黒い儀式”ばかりではありません。魔女の集会(サバト)を表す行事と言われることもありますが、それらの多くは中世のキリスト教以降に出てくる話です。

ケルトの頃とはまた違っているように感じますね。


理解が深まれば日本でも

今はまだちょっと暗いイメージで伝わっている「ヴァルプルギスの夜」。現代で行われている行事や、ケルト時代での解釈がもう少し広まれば、日本のゲームや小説でまた違った扱われ方をするかもしれませんね。

昨日(2022年4月29日)の夜に金曜ロードショーで「魔女の宅急便」が放送されましたが、この時期にこの作品を放送するというのは、もしかしたら「ヴァルプルギスの夜」を意識した人間が企画者の中にいたのかもしれません。

春の訪れの時期がちょっと日本とは違うので「ハロウィン」ほどの認知は得られないかもしれませんが、「ヴァルプルギスの夜」という行事があるということだけでも日本で少し知られていくといいですね。

今年はもうちょっと気温が高ければ、「春の訪れ」を夜に感じられたかもしれませんけどね。

ちょっと残念(笑)。

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