"ひとり出版社" 仙波書房

企画・編集・営業 他、出版業務を独りで行う"ひとり出版社"仙波書房…

"ひとり出版社" 仙波書房

企画・編集・営業 他、出版業務を独りで行う"ひとり出版社"仙波書房。 川越の近代建築を紹介する『川越の建物 近代建築編』、川越の蔵造りを紹介する『川越の建物 蔵造り編』を発行。 川越の建物巡り・街歩きがもっと楽しくなる! https://www.semba-shobo.com/

最近の記事

「小金井の桜狩」 ラジオ番組『仙波書房の東京歳時記』連動企画記事 3月分

季節ごとの東京の行事や、文化を文学作品内の描写から紹介するラジオコーナー番組『仙波書房の東京歳時記』は毎月第3土曜日の深夜に放送。 ラジオ連動企画記事として、noteでは番組の概要を掲載。 今回は前回の「梅見」に続き、桜を楽しむ「桜狩」について紹介する。 ■文学作品パート 『東京遊行記』「桜の二大長堤」 大町桂月 明治39年 小金井の花の区域は、凡そ二里にわたる。 向島よりは長く、熊ケ谷土手よりは短けれど、一道の清流をはさんで、桜は、山桜の巨木なり。 上水の幅は、せまけれ

    • 「梅見と東京の梅名所の変遷」 ラジオ番組『仙波書房の東京歳時記』連動企画記事 2月分

      季節ごとの東京の行事や、文化を文学作品内の描写から紹介するラジオコーナー番組『仙波書房の東京歳時記』は毎月第3土曜日の深夜に放送。 ラジオ連動企画記事として、noteでは番組の概要を掲載。 今回は梅の花を愛でる「梅見」と、かつての東京の梅名所の変遷について紹介する。 ■文学作品パート 『東京遊行記』「夜の臥龍梅」 大町桂月 明治34年 一年の行楽は、梅にはじまる。 東京にては、梅のひらくは、二月の半頃より、三月の半頃にいたる。 処によりて遅速あり。 梅の樹の最も看るべきは

      • 「節分」 ラジオ番組『仙波書房の東京歳時記』連動企画記事 1月分

        季節ごとの東京の行事や、文化を文学作品内の描写から紹介するラジオコーナー番組『仙波書房の東京歳時記』は毎月第3土曜日の深夜に放送。 ラジオ連動企画記事として、noteでは番組の概要を掲載。 今回は、2月3日の「節分」について紹介する。 ■文学作品パート 『四季の田園』 第五章 冬の田園 節分 天野藤男 大正5年 節分は古来立春、立夏、立秋、立冬の前日を云つたものであつたが、いつか立春の前日のみを称することとなつた。 なぜ立春、以下立冬の前日を節日と称したかといふに、昔の人

        • 「冬至」の柚子湯  ラジオ番組『仙波書房の東京歳時記』連動企画記事 12月分

          季節ごとの東京の行事や、文化を文学作品内の描写から紹介するラジオコーナー番組『仙波書房の東京歳時記』は毎月第3土曜日の深夜に放送。 ラジオ連動企画記事として、noteでは番組の概要を掲載。 今月12月は「冬至」の柚子湯について紹介。 「菖蒲湯と柚子湯」 児玉花外 熱い朝湯は、江戸ッ子肌の職人連が、好むで飛込む所だ。 東京の風呂に、菖蒲湯と、柚子湯とがある、どちらも洒落て、小気味の良い物だ。 菖蒲湯はその名の頃、柚子湯は年の暮で、この時は銭湯は無論大入である。 波々沸いた湯槽

        「小金井の桜狩」 ラジオ番組『仙波書房の東京歳時記』連動企画記事 3月分

          「酉の市」  ラジオ番組『仙波書房の東京歳時記』連動企画記事 11月分

          各季節ごとの東京の行事や、文化を文学作品内の描写からご紹介するラジオ新コーナー番組『仙波書房の東京歳時記』は毎月第3土曜日の深夜に放送。 ラジオ連動企画記事として、noteでは番組の概要を掲載。 今月11月は「酉の市」について紹介。 「さア、掻込め掻込め、縁喜のいいの、負つたい負つたい!」 売手は声も嗄(か)れよと怒鳴る。 十円と云ふ熊手を二円までつけたが、今年は売らなかつたと話し合つて行く縁喜商売の年増がある。 三尺もあらうと云ふ大熊手を高々と指上げて群衆を割つて行

          「酉の市」  ラジオ番組『仙波書房の東京歳時記』連動企画記事 11月分

          仙波書房とラジオ、そして新番組

          ひとり出版社「仙波書房」の営業方法が、他出版社と大きく異なるのはメディアでの展開だと思う。 特にラジオでの周知活動を積極的に行っている点が大きい。 新刊の告知は新聞広告が有効的だが、起業したての出版社には力がなく、その代替は最初ラジオとなった。 起業、そして発行準備段階の2021年時には、本の舞台になる「川越」に地域コミュニティ局が開局されたところも大きい。 仙波書房では発行4ヶ月前からFAXを利用した書店への新刊告知活動に合わせ、一般の方への周知方法としてラジオを活用す

          仙波書房とラジオ、そして新番組

          蔵造りの「開口部(扉・窓)」について…

          今回は蔵造りの開口部にある窓や、扉について紹介する。 蔵造りの2階部分を見ると、観音開きの扉や、木製の格子の窓が見られる。 まずは、観音開きの扉について、紹介する。 川越の蔵造りは土蔵造りの店蔵で、耐火・防火の意味合いで、基本的に壁は土でできていて、開口部は狭く、その開口部にある観音開きの扉部分は土が塗られ、厚く、重い扉になっている。 この扉は建物の内側と扉部分と共に段々になっていて、この段々を掛子(かけこ)と呼び、また扉を閉めて内側の漆喰塗りの壁部分と重なっている状況を「

          蔵造りの「開口部(扉・窓)」について…

          蔵造りの「屋根」について…

          さて、前回は蔵造りの「壁」に続いて今回は、蔵造りの「屋根」についての紹介を行う。 川越の蔵造りは、大きな箱棟(はこむね)と、大きな影盛(かげもり)を持つのが特徴的である。 まずは箱棟について紹介する。 建物の2階屋根最上部にある水平方向に延びる壁のような部分は箱棟と呼ばれている。 本来の屋根の高さに比べ、この箱棟の分だけ屋根が高くなり、建物が大きく見えるようになる。 これは建物を大きく見せることで、そのお店の権威を示したり、大店(おおだな)というイメージをアピールすることが

          蔵造りの「屋根」について…

          蔵造りの「壁」について…

          川越の蔵造りと言えば、黒い漆喰の壁が特徴的。 今回はこの蔵造りの「壁」について、紹介してみる。 まずその前に、「蔵造り」とは何かを簡単に説明すると… 蔵造りは、土でできたお店の蔵で、ある程度壁が厚い建物を川越では「蔵造り」と呼ばれている。 土を塗り固めた土壁の厚さは約30cmもあり、そのため、「土蔵造り」とも… さて、蔵造りの壁は、竹を格子状に組んだ「竹木舞」(たけこまい)と呼ばれる心材に、土を塗っては乾かし、という作業を繰り返すことで、だんだんと厚みを増していく。 壁の

          蔵造りの「壁」について…

          小林家住宅 文庫蔵(小さな蔵の博物館)見学

          一般的に蔵造り住宅は奥に長い長方形の敷地に、店蔵、住居、文庫蔵と並ぶ。 川越の一番街にある蔵造り「小林家住宅」も同様で、店蔵は和菓子販売店として、住居部分は和菓子店が経営するカフェスペースとして活用されている。 敷地奥に存在する文庫蔵は家主が蔵の歴史や、貴重な資料を展示する場所として整え、この春から「小さな蔵の博物館」と、年に数回公開されるはこびとなった。 仙波書房はこちらの文庫蔵には書籍『川越の建物 蔵造り編』掲載のための取材で何回か訪問しているが、その間に得た情報が蓄積

          小林家住宅 文庫蔵(小さな蔵の博物館)見学

          入稿と校正、そして出張校正

          印刷会社に原稿を入稿し、ゲラが出て、そのゲラに赤字を入れて印刷会社に戻し、また校正紙(初校)が出て、それに赤字を入れて戻し、また校正紙(二校)が出て・・・ これらの校正作業を繰り返し、徐々に本にしていく。 出版社には印刷会社からの担当が1日数回訪問し、原稿やゲラの回収とお届けに上がるが、「仙波書房」は都内ではなく、埼玉県の自宅兼オフィスのため、営業担当者は来ない。 また、郵便、宅配便で原稿、ゲラのやり取りを行うと、送料と時間がかかる。 そのため、「仙波書房」では、原稿はメー

          入稿と校正、そして出張校正

          手紙

          『川越の建物 蔵造り編』取材先の老舗店から手紙が届いた。 先日、原稿を持参したところ、タイミングが悪く、ご主人とお話ができなく、おそらく原稿の修正の件では…と、開封が怖くなった。 というのも、印刷会社への入稿・校正の締め切りが明日に迫っていたからである。 厳しいご主人のことを考えると、大幅なレイアウト変更や、大量の赤字修正も考えられる。 しかし、その予想に反し、手紙の内容大きく異なっていた… この老舗店への取材は今からちょうど1年前になる。 全18箇所紹介する蔵造りのうちの

          『蔵造り編』の企画検討

          出版社を起業しようと考えた時に、出版企画を複数考え、それらの発行優先順位も含め、検討していたことがある。 出身地「川越」の建物を紹介する「川越の建物」シリーズには、企画の段階では複数の候補があり、その中に『近代建築編』や、『蔵造り編』が含まれていた。 「川越の建物」シリーズは、建物をやさしく紹介し、建物や地域への興味を深めることを目指す。 本シリーズの『蔵造り編』についても、既存の本との違い、蔵造りをどのように紹介するかについて、そのアプローチの方法について検討を重ねていた。

          『蔵造り編』の企画検討

          頁が通った…

          9月30日発行に向け、入稿・校正作業中の『川越の建物 蔵造り編』。 ようやく全ての原稿と、カバー、スリップのデータも含め、入稿を終えた。 これまで各建物ごとを紹介する原稿部分はバラバラに作業を行い、掲載順に関係なく、入稿、校正の作業を進めてきたので、各パーツという状況であった。 原稿が揃い、校了し、頁を通すと、ようやく1冊の本としてのPDFデータになった。 本づくりを行っていて、いくつか感動する作業工程があるが、バラバラだったパーツが組み合わさり、ひとつになるこの過程が個人

          『蔵造り編』は…

          川越市内に存在する「蔵造り」を紹介する『川越の建物 蔵造り編』を9月30日に発行する。 Wordで用意していた各建物の紹介記事を元に、Adobe の「InDesign」を用いて、レイアウトを自分で組み、イメージを形にしていく。 今回は「川越の建物」シリーズの続編ということで、前作のフォームが流用でき、シリーズとしての統一感と、作業の効率化という点で、役に立っている。 これによって、時短に繋がり、作業よりも中身の確認に時間が使えるところも大きい。 前回の投稿は入稿開始前で本

          追い込み

          川越市内の蔵造りを紹介する『川越の建物 蔵造り編』は9月30日の発行。 各建物の歴史や概要を説明するため、その調査、取材に時間を要したこと、蔵造りについてはこれまでにないタイプの本となるため、本の見せ方と、原稿執筆にかなりの時間を要することになった。 頭の中にあるイメージがなかなか形にならない。 そのため、発行日は当初予定の7月から、8月、そして9月へと順次先送りとなっていった。 そして、制作進行の遅れから今度もまた10月に発行を先送り…と思っていた。 しかし、得意先から