『Michi ( junaida )』【読書ログ#16】
自分に与えられた時間が有限だなんて気がついていなかった頃。(いまだに気がついていないかもしれない)
地図や迷路、天井の模様、トイレのドアの木目、何かしら道らしいものが見つかる模様があれば、ずっと飽きずに見ていた。
ここは池で行き止まりだ。ここは休憩所だからすこし一休み。ジュースの滝に、ミルクの川。想像を膨らませて、いつまでも模様を眺めていた。
私は、まわりの友達とくらべてもぼんやりしている時間が長かったそうで、親戚曰く、ぼんやりしていたかと思うと突然ふざけはじめ、しばらくするとまたぼんやり考え事をしている子供だったそうだ。はたから見たら、心配だったろう。
一緒に聞いていた妻は、今も変わっていないという。はたから見たら心配だろう。すみません。
セリフの無い絵本『Michi』は、美しく、遊び心と仕掛けに満ちたイラストで、子供の時間をどんどんジャブジャブ奪っていく。
本を開くと、犬を連れ昂然たる後ろ姿の女の子か、猫を連れ意気軒昂に背筋を伸ばす男の子の後ろ姿をみる。彼女や彼の前には一本の道。その道の先には、ページを捲ったその先には、様々な表情をもった街がある。
空に浮かんだ街、機関車のような街、家々が本のような街、大きな木の中の街、海の中の街、お化け屋敷やサーカス団の街? 色々な街が現れる。
手書きで描かれた独創的な街々を、あっちでもない、こっちでもないと、子供と一緒に読んでいると、いつのまにか時間が経っている。
子供の時、天井の模様を延々と眺めていた頃の、贅沢だったワクワク時間を思い出す。
この手の空想が好きな子ならば、一瞬で心を奪われ、しばらくは本の世界にひたってくれる。つまり、ちょっと一息入れたいママやパパにもオススメだ。
自分の子供には買いにくいが、よそのお家の子供には買いやすい値段。プレゼントにもオススメ。
「それって有意義だねぇ」と言われるような事につかいます。