見出し画像

スメルハラスメントは自己満足承認欲求の勘違いに近いと思う

スメルハラスメントは自己満足承認欲求の勘違いに近い。

SNSみたいに、無自覚にスメハラしてる人は現実空間で匂わせが好きなのかもしれない。

今日、バイト先のデスクで、ものすごく匂うハンドクリームを塗っている人がいた。
周りの人も気づいていて、香りを放つ張本人に驚きの顔を見せていたのだ。
近くを通過していった人も、去り際に小声で「くっさ」と吐き捨てていた。
それでも、匂いのきついハンドクリームを満足げに塗り続けるAさんは、うっとりしながら、手をツヤツヤテカテカになるほど塗っていた。

あまりの匂いの強さに、気分が悪くなってしまう。
―――これ、塗ってる本人は、匂いの強烈さと悪臭に気づかないんだろうな。
そもそも、自分が排泄した汗や糞尿に由来する匂いではないから、アロマっぽい人工物の放つ匂いの方が他人にも良いと思い込んでいるのかもしれない…すごく怖い。
ぞっとしながら、私は周囲の人の顔色が曇っていくのを見て、マスク越しに鼻を塞いでいく。

―――これが、スメハラかあ・・・と納得した。
自分の所有する匂いが「自分に由来するもの」でないからこそ、自分がいい匂いだと思い込んで購入した匂いで周りを巻き込むのだ。

お金を出して購入したアロマ入りの高価なハンドクリームを、ぬりぬりぬりぬり。
始業時間前だから、座席の周囲に人々がどんどん座っていくにも関わらず、念入りにぬりぬりぬりぬり。
人前で化粧するのと同じ感覚で、みんなの前でぬりぬりぬりぬり。

空気を介して強烈なアロマのにおいが空間を歪ませる。
周囲の人々の嗅細胞に突撃させるエア性癖が、褒められるのをAさんは待っているんだろうか。
認めてくれるのを待っているということか?

成功体験がきっとこの人にはあったのかもしれない。

過去モブ「Aさん、何かいい匂いがする!」
過去Aさん「あ、わかる?これ、高かったの」
過去モブ「すごーい。アロマかあ、素敵な香りですね」
過去Aさん「ありがとう。このアロマで皆もいい匂いに囲まれたら、仕事もはかどるかなって思って」
過去モブ「気遣ってくれてありがとう。私も今度Aさんみたいなハンドクリーム買いにいくね」

ぬりぬりぬり。
手にも爪にもしわにもぬりぬりぬりぬり。
今日も、過去に気づかれたように、いい匂いって言われたくて、ぬりぬりぬりぬり。
皆に認めてもらえるから、ぬりぬりぬりぬり。
―――きっと、誰か気づいてくれる!
―――素敵な香りだねって褒めてくれる。
―――手もつるつるになるし、褒めてくれるし、自分最高!

なわけあるかーって物語が脳内で熟成されてしまって、強烈な匂いに自分は鼻を抑えて水を飲む。
そして、匂いで気分が悪いと小声で上司に伝えて退室してしまった。

戻ってくると、窓やドアが開けられていて、Aさんの姿はなかった。
アロマを落とすために手を洗いにいったらしい。
誰かが注意したのだろう。
その時すごく嬉しくなって、安心して仕事ができると思った自分がいた。

なんていうのか、こういう経験って本当によく遭遇する。
電車で人が少ない時にも見かける光景だが、嫌なら離れて座ればいい。
だが、この閉鎖空間という職場で、強烈な香りを放つという行為そのものが私には害にしか思えない。

家の中で好きなだけ塗って嗅いでいればいいのにと、いつも感じる。
どうして公共の場で、あんな匂いのするものを持ってきて、人に迷惑をかけるんだろう。
その理由が、匂いは無害だと思い込んでる無神経さなんだと思う。
ちょっと匂いがするだけじゃないって思う物でも、他人にとってはちょっとどころではないということなのに・・・・・・。
自分が平気なら、他人も平気という前提設置なんだろうなあと感じた。
自己満足や承認欲求の勘違いを匂わせて、周りに余計な手間をかけさせることに喜びを覚えているんだろうか。

ハンドクリームの香料はほどほどならまだしも、きつい匂いで幸せに感じるなんて思わない方がいいとしみじみした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?