幸せが「にゃあ」と鳴いてやって来た

うちには猫がいる。

ブリティッシュショートヘア。もうすぐ5歳。元オス。「タマ」はないけど名前は「たま」。チャームポイントは「顔が怖い」ところ。

たまはもともと、知り合いの編集者の方が飼っていた猫だ。日々Instagramにアップされている写真を見ては「なんて無愛想な猫なんだろう……♡」とうっとりしていた。

そんなたまがうちにやって来ることになったのは去年の4月。前の飼い主さんが、いろいろな事情で手放さなければならなくなり、ファンを公言していた私に「引き取ってもらえないか」と声をかけてくれたのだ。

その申し出はとてもうれしかったけれど、それまで動物の類を一切飼ったことがなかった私は、正直とまどってしまった。

「いつか猫を飼いたい」とは思っていたし、たまは私がファンとしてずっと追い続けてきた特別な猫だ。でも、自分はちゃんと動物を育てられるような人間なのか。あまり自信がなかった。

煮え切らない思いのまま「とりあえず本人(猫だけど)に会わせてほしい」とお願いした。

そして面会当日。玄関を入ってすぐのところに、たまはごろんと横になっていた。私がしゃがんで顔を近づけると「くるんっ」と寝返りを打ち、やわらかそうなお腹を見せてくれた。

その瞬間、私の覚悟は決まった。

この人(猫だけど)と添い遂げようと決意したのだ。

それから、トイレやら、爪とぎやら、キャットフードやら、猫と暮らすために必要なものを次々に購入した。トイレなんて奮発して3万もするやつ買った。ムダにスタイリッシュ。トイレなのに。エサ用のボウルも、アメリカからの取り寄せ。ムダにスタイリッシュ。機能性ほぼゼロだけど。

そんなこんなで、2017年4月17日。たまがうちへとやって来た。

初日は見慣れない家と新しい飼い主にビビってしまったのか、ずっとベッドの下に隠れていた、たま。

でも3日目にはもう、我が物顔でソファに横になっていた、たま。

とはいえ慣れない生活にストレスがたまっていたようで、私の布団の上で粗相をしてしまった、たま。(3日くらい布団なしで寝た)

たまと過ごした日々を振り返って思うのは「猫って本当にかわいくない」ということ。

うちのたまなんて、愛想も悪いし、顔も怖いし。あくびすると、マジで悪魔みたいだし。こっちから近付くと逃げるくせに、集中して仕事してると邪魔してくるし。椅子もベッドも自分のものだと思ってるのか、陣取り合戦仕掛けてくるし。(どっちも私のだ!)

もう、ぜんぜん、ちっとも、まったくもって、かわいくなんてない!

それなのになぜだろう。私は、たまのことがめちゃくちゃ大大大好きなのだ。

だって、たまが来てから、わけもなく泣きたくなったことが1回もないんだもん。

ホルモンバランスとかで「なんか知らんけどツラい」ってときがあっても、たまの顔見てたら「おま、顔、怖っ」て笑える。

たとえ嫌なことがあってふさぎ込んでたとしても、「にゃあ、にゃあ、にゃあ、にゃあ、にゃあ(いいから、はよメシよこせ)」って言われると、ウジウジ悩んでるのがバカらしくなる。

おかげで、なんでもない日常が前よりずっと楽しくておもしろくて。マジで毎日がスペシャル。

急にベッドから落っこちたり、カーテンに爪が引っかかって身動き取れなくなってたり。こいつ笑わせにきてんのかな?って思うときもあるし。

ささいなことでも、毎日心から笑えるって、けっこうすごいことだと思う。

たぶん私にとっては、たまの存在が「幸せそのもの」なのだ。

猫なんてちっともかわいくないけど、猫なんて本当に最高なのである。

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ぽちっとな
18

近藤世菜

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