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アンドロイド転生234

ランドラボ

チアキが撃たれる!アオイは職員に向かって猛然と走り出すと腕を掴んだ。職員は驚いて逃れようとしたがアオイはがっちりと握って離さない。
「この人の…て、手首を折る!」

テイザー銃をチアキに向けている守衛はアオイを横目で見た。チアキに馬乗りをされている守衛は反撃をやめて静止した。職員は憤慨した。
「なんだと⁈は、離せ…!!」

アオイから再度逃れようとして腕を振り回すが、アオイの強靭な腕は彼から離れない。
「お、おい!離せ!これは命令だぞ!」
職員の顔が怒りで赤く染まった。

「あ、あなたの命令なんて聞かない!」
アオイの声は震えた。恐怖で一杯なのだ。
「な、なんだと?マシンのくせに!」
職員の怒りは頂点に達した。

彼は顔を更に赤くして身体ごとアオイに体当たりをした。それでもアオイは手を離さなかった。
「い、痛ぇっ!なにしやがる!離せ!」
「守衛の攻撃をやめさせて!早く!」

アオイは職員の右手首を両手で握り締めた。
「そうしないと本当に折る!」
職員の顔が恐怖で歪んだ。アンドロイドの合金の力なら人間の手首を折る事など容易いのだ。

アオイは職員から目を離さない。じっと見つめた。本気だった。チアキを失うわけにはいかない。職員の顔が青くなり慌て出した。
「ま、待て!分かった…!お、おい。撃つな」

守衛はテイザー銃を下ろした。アオイは守衛を横目で見た。まだだ。それだけでは駄目だ。
「捨てて」
守衛が銃を投げ捨てた。

「サツキさん…ひ、拾って。もうひとつの銃も」
サツキが銃を拾った。守衛に馬乗りになっていたチアキが離れた。下になっている守衛は直ぐに立ち上がったが攻撃してくる事はなかった。

チアキが後退りする。車の扉が開いた。
「サツキ。乗って。アオイも」
「は、はい…」
「うん」

アオイは2体の守衛を見据えたまま職員の腕を掴んで後退りをした。職員はアオイに引きずられるように車に近づいた。守衛は黙って見つめている。チアキは攻撃の体制を崩さない。

アオイは車の座席に腰を落として職員の手首から手を離した。その瞬間を待っていたかのように守衛が駆け出す。アオイに向かって拳を振り上げる。チアキが割って入った。守衛を殴った。

アオイが車に飛び込むとチアキは守衛を蹴散らした。身体の大きな彼らはチアキの俊敏な動きについていけない。2体が互いにぶつかって倒れた隙に彼女も車に乗り込んだ。

守衛の目の前で扉を閉めるとチアキはエンジンをかけた。車は宙に浮いて回転し車体が守衛に当たり2体は倒れた。車は走り出し急加速する。守衛は追って来たがやがてその姿が小さくなった。

アオイは起き上がると窓を見て逃げ仰たことに安堵した。チアキが笑顔で親指を立てた。
「アオイ!ナイスプレー!」
「う、うん…。や、やったぁ…」

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