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アンドロイド転生186

2114年3月11日
白水村:広場

アンドロイド達が集落の中心の広場に集合し一戦を交えていた。8体はバネのように跳ね回る。無駄のない動き。しなやかで伸びやかな身体。疲れを知らない彼らはスマートで美しかった。

「なぁ!俺もしたい!」
遠巻きに見ていたキリの11歳の息子のルイが叫ぶと、同じように少年達も声を上げた。
「よし!こい!」

トワが掌を前後に曲げて輪に引き入れた。
「やったぁ!」
ルイ達は大喜びでトワに向かっていった。男性型アンドロイドが子供らの相手をする。

女性型アンドロイドは訓練の場から出た。洗濯を終えた人間の女性の後について行き、手伝いを申し出る。ホーム全員の衣類は大量だ。今日は天気が良い。気持ちの良い1日になりそうだ。

洗濯物を干しているとチアキがふと顔を上げた。
「あ!逃げている…!」
彼女は小型のドローンを飛ばし山間をいつもサーチしているのだ。

チアキは呟く。
「アンドロイドが守衛に追いかけられてるの。ああ…ダメ。山道を登っている。それじゃいつか逃げ場がなくなる。崖に追い詰められる…」

アリスがチアキの肩に手を置いた。
「助けに行く…?」
チアキは眉間に皺を寄せ首を横に振った。
「間に合わない」

ミオとエリカも人間の女性達も不安そうにチアキを凝視していた。チアキは宙を見つめる。
「どんどん登っているの。女性型。守衛アンドロイドがすぐ近くまで追っている」

チアキは目を見開いた。
「断崖に追い詰められた。見逃してって頼んでいる。ああ、助けたい」
皆チアキの言葉に耳を傾けた。

チアキが叫んだ。
「あ!飛び降りた…!」
ミオが駆け出した。ルークの元に走り寄る。直ぐに男性アンドロイド達を連れてきた。

「チアキ。どうした?」
「女性モデルが断崖から飛び降りたの。助けに行こう!今!直ぐ!」
アンドロイド達が飛び出した。


2部 完

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