去年の自分をPRONTOで見た話
PRONTOでnoteを書いているとあわただしく若手のバリキャリ風のOLさんが隣の席に座った。
メニューをがさつに閉じて、PCを開き、注文を取りに来た店員さんの顔を見ることなくパスタとコーヒーを注文した。
髪の毛は無造作に一つ結びしていて、マスクのせいもあるのか、お化粧はほとんどとれていた。
パスタが来ると器用にパスタとコーヒーと、パソコンの三角食べならぬ三角対応を繰り広げていた。
仕事の締め切りが近いのだろうか。
チャットのレスを急かされているのだろうか。
自分の昔の姿と重なり、ちょっと切なくなった。
ああ、私ははたから見たらこんな感じで仕事していたんだ。
お疲れ様。
お仕事、本当に忙しいですよね。頑張ってて本当に偉いです。
でもお願い、その緊張の糸、プツンって切れる前に自分をもっと大切にしてほしい。
そのパスタ、1口30回噛んでみて。どんな野菜が使われているのか見てみて。20分でいいからPC閉じてみて。死なないよ。
新卒で入って3年目くらいまで、私は仕事をせずに食べてることに罪悪感を感じていた。目標を達成できない自分は無力でお荷物だと思っていた。
だけどそれを「ダメ!」と決めてるのは結局は自分自身の価値観/思考の癖だった。
もっと踏ん張りたいなら自分を自分で認めてあげることが実は大切だったりする。自分を「労働ロボット」ではなく、ひとりの「人」として扱うことの大切さを知った社会人4年目。
ガッチャン。
彼女のテーブルから水の入ったグラスが倒れて、水はみるみるうちにテーブルに広がり床へ滴り始めた。彼女は慌ててPCを抱え、水が滴る様子をただ眺めている。
私は台布巾を持ってきて彼女に変わってテーブルを拭いた。
「お疲れ様。濡れてないですか?大丈夫?」
私の声に我に返った彼女は「ごめんなさい。」とつぶやいた。
少しうつむく彼女の眼をまっすぐ見つめて私は一言
「私は、大丈夫。あなたは、大丈夫でしたか?」
ハッとした表情が見て取れた。
私は濡れた台布巾をカウンターに戻しに言った。
自席に戻ると彼女はPCを閉じてテーブルにはパスタとコーヒーだけが残っていた。
残り5分分のパスタ、PC閉じて味わって食べてみて。
5分パスタ食べたくらいで、あなたの価値は変わらない。
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