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お茶の味・宇宙の味

煎茶道を習いはじめて5年目になります。5年目というと「随分長く続けているんですね」と言われることもあるのですが、道系の習い事はずっと続けられている先輩が沢山いらっしゃるおかげで、初心者として先輩方に温かく見守られながらお稽古を楽しんでいます。

そもそも煎茶道との出会いは、仕事がひまな時期にどこかの区報で見つけた煎茶道の体験教室に週に1度・1ヶ月くらい通ってみたことでした。床の間に果物を飾ったり、茶碗になみなみと注がれる美味しいお茶に「茶道と比べると随分牧歌的だけど、実用的で面白いな」と思ったのが、第一印象でした。

その後何年後かに転職して少し時間の余裕も出てきたころ、習い事でもしようかなと考えた時に思い出したのが煎茶道で、職場の近くのNHK文化センターに半年間の講座があったので、とりあえずお試しのつもりで参加してみました。1回目の見学の時点でその味に心底驚き、すっかりはまってしまって現在に至ります。

私が今習っている「小川流煎茶」はとてもストイックで、流祖の小川可進は「茶は渇を止むるに非ず、喫するなり」という言葉を残しているそうで、私は「茶はのどを潤すものではなくて、その味や香りを嗜好するものです」という意味なのかなと理解しています。

よい茶葉をたっぷりとつかって、少ない量のお湯でじっくり抽出されたお茶は、見た時に「淹れ忘れたのかな?」と心配になるくらいお茶碗の底の方にほんの少しだけ注がれます。その味は「ティーエスプレッソ」という方もいれば、口中に広がる香りと味に「宇宙の味だ」という方もいます。今まで実際3人の方が「宇宙の味」と口にするのを聞いています。そんな形容をされる飲み物を私は他に知らないのですが、私の場合はひと口で自分が茶畑にいて風に吹かれているような光景が頭に浮かび、「漫画の世界のような体験だな。このお茶はお試しでは勿体ない。続けてみよう」と、未だにお教室に通っている次第です。

なかなかないかもしれませんが、小川流のお茶を召し上がる機会があれば、はじめての驚きが本当に楽しいので、ぜひチャレンジしてみてください。

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