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【1%ノンフィクション】Vol.0891(2010年6月30日発行のブログより)

久々に、感じた。

甲は就職関係の執筆をしていた。

上智大学を卒業後、入社4年目で仕事を覚えてきた女性編集者乙は、

「最近のサラリーマンは、年収もどんどん下がっているのに
忙しくなってきてますものね。体も持たないでしょうし、
中間管理職になると上と下から板挟みで、
そりゃフラストレーションも溜まりっぱなしだと思いますよ」

とわかった風なことを言った。

「人がフラストレーションを溜めるのは、
過労のためでも人間関係でもないよ」

甲は静かに囁いた。

「え!?」

乙は驚いた。

編集者は経営コンサルタントと同じで、ちょっと仕事を覚えてくると
滅多に人に反論されることがなくなって勘違いを始める⼆流のお利口さんが多い。

内心、乙は「この私に反論するの?反論されるのは久しぶり」だと感じた。

0から10まで生み出してくれた素材を50や60 まで育て上げることが
できるのは、0から10まで生んでくれた人がいるという感謝を忘れたら
おしまいなのだ。

それにしても・・・いったい、何なのか早く知りたかった。

「あの・・・」

いつもは強気の乙が遠慮がちに甲に言った。

「すべてのサラリーマンは、
自分の才能がもっと活かせる仕事があるのではないか、
自分はこのまま人生終わってしまうのか、
というところでフラストレーションが溜まるんだよ」

甲は間髪入れずに即答した。

反論の余地がなかった。

業界では伸び盛りで注目の元気な会社だったが、
⽢ちゃんだったと気づかされた。

社長を含む全社員が束になっても甲には敵わないのは瞬時に悟った。

本質を衝かれるのは、どんなことでも気持ちがいいものだと乙は感じた。

久々に、感じた。

...千田琢哉(2010年6月30日発行の次代創造館ブログより)

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