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言語学者・川添愛さんの話があまりに面白すぎた『バラいろダンディ』

『バラいろダンディ』はザッピングしていて面白そうな話題だとつい観てしまう番組です。 MCのふかわりょうの雑学知識の豊富さに、いつも感心させられています。

今何気なく使った「させられています」は受動態の表現です。でも日本人は本来”受動態表現”にすべきところをそうしない、というような言葉の研究をしている言語学者・川添愛さんが昨日ゲストとして出演されていました。あまりの話の面白さに、結局最後まで観てしまいました。

納車した→納車してもらった
髪を切った→髪を切ってもらった
注射した→注射をしてもらった

例えば私も普段「今日髪を切った」と当たり前に使っているけれど、正しくは自分が切ったのではないから「今日髪を切ってもらった」が正解!というわけです。

これはまさに目からウロコでした。

日本語は「主語と目的語」を省略しても話が通じるというのも、”とにかく明るい安村”のネタを例に話してくれて非常に分かりやすかったです。

彼の「安心して下さい。はいてますよ!」は確かに「主語」も「目的語」もありませんよね?

イギリスのオーディション番組でネタを披露した時には「I'm wearing.」(私ははいてますよ)「主語」が加わりました。

それに対してイギリスの人たちが「パーーンツ!」(私はパンツをはいていますよ)と「目的語」を補ってくれたというわけです!

これもなかなか奥深い話ですよね。その国の常識や文化を正しく理解していないと言語の本質的な理解が難しいというのも納得でした。

それから、ダチョウ倶楽部の熱湯ぶろのネタ。「押すなよ!絶体に押すなよ!」は「絶体に押すなよ!」という言葉が逆の意味の「今だ、押せ!」という意味になって、上島竜兵が押されてドボン!というわけですよね?

これをAIに理解させるのは難しいというのを研究しているそうです。確かにこれはいくらAIでも完璧な理解までは無理そうな気がします。

ユーミンの「恋人”が”サンタクロース」はなぜ「恋人”は”サンタクロース」ではないのか?

助詞の”が”を使う場合は初めて出てきたものに対して使用する。”は”は一度出てきたものに対して使用する、もしくは何か役割を担う場合に使用する。

「桃太郎」で「むかしむかし、おじいさんとおばあさん”が”住んでいました。おじいさん”は”山へ芝刈りに、おばあさん”は”川へ洗濯に行きました」という使い分けなわけです。

川添さんによると、ユーミンの歌詞では昔近所にいたお姉さんがサンタクロースがやってくると言った。そのサンタクロースは誰なのかあれこれ考えてみて、大人になって初めて「恋人”が”サンタクロース」だったと分かったという解釈のようです。

なるほど…昔クリスマス・パーティーで散々歌ったこの曲の歌詞の秘密を知ったようでした。

志村けんが「そうです!私”が”変なおじさんです」は本来は「私”は”変なおじさんです(役割を担っている)」が正しいのに”が”を使っているところが流石だと!恐らくけんさんは明確な意図を持ってそう言ったというよりは、芸人としての感覚でそう言ったと思われるのですごいというわけですね。

助詞一つで意味が変わってくるというのは、文章を書く上でもっともっと留意しなければと改めて感じさせられました。

それにしても「文学部日本文学科」なんてところを卒業しながら、音楽に明け暮れていた大学生活を今さらもったいないことをしたのかも?と少々反省しています。こんな風に言葉をつきつめてみたら、どんなにか面白い発見ができたのかもしれないと…。

大人になって今こうして毎日のように言葉を書き綴りながら、改めて日本語の難しさ・言葉の面白さを実感しているところだったりします。

今書いているという行為自体、ある意味「言葉の探求」作業そのものなのかもしれません。まだまだ修行の日々は永遠に続く感じですけどね(笑)。

川添愛さんの著書を読んでみたくなりました。

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