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noteがアクセシビリティに注力する理由。 視覚障害者向けイベント「サイトワールド」登壇レポ

こんにちは。noteでUXリサーチをしてる仙田です。

先日、「サイトワールド2023」という視覚障害者向けのイベントでnoteを紹介してきました。
そのイベントの様子とnoteのアクセシビリティ向上の進捗についてnoteの全社員が集まる場で共有したところ、とても好評だったので、記事でも報告させてもらいます。


この記事はnoteのみんな Advent Calendar 2023の1日目の記事です

アクセシビリティってなに?

アクセシビリティとは
アクセシビリティはアクセスできる度合いを意味する言葉で、転じて、製品やサービスを利用できる状況の幅広さという意味でも使われる。ウェブアクセシビリティはそれのウェブ版だ。 視覚や聴覚に障害のある人、高齢者などを含めた全ての人が、ウェブサイトで提供される情報にアクセスできるようにすることを「ウェブアクセシビリティを確保する」などと言う。

日本財団ジャーナル

多くの人が使える状態を「アクセシビリティが高い」と言ったりします。具体的には以下のようなケース。

  • 文字の拡大表示ができる:視力が低い人や高齢者でも文字を読める

  • 音声入力ができる:手、腕が不自由な人でも文字が入力できる

  • 動画の字幕を表示できる:耳が不自由な人でも内容を把握できる

一般的に、アクセシビリティの向上は「障害当事者でも使えるようにする」イメージがあるかもしれませんが、全ての人の使いやすさにもつながります。
例えば、満員電車の中でスマホで動画を見る時はどんな人でも音が聞こえないかもしれません。そんな時でも字幕があれば音を出さずに動画の内容を把握できますよね。

noteのアクセシビリティチーム

さて、noteにはアクセシビリティ向上のチームがあります。
現在は4名体制の有志のチーム(デザイナー1名、エンジニア2名、リサーチャー1名)です。
noteがリリースする機能がアクセシビリティに適合しているかをチェックしています。
また、チームが存在しない場合でも、noteがアクセシブルなサービスであり続けるように、その仕組み作りを進めています。

アクセシビリティチームの取り組みつについては、以下の記事・マガジンをご覧ください↓

noteが当事者から「使える」と思われているワケ

アクセシビリティチームの開発のおかげもあって、視覚障害者のコミュニティの中でnoteは「使える」と評判らしいです。
見出しが読み上げない、画像を読み上げないサービスもある中、「noteはかなり読み上げてくれる」と当事者の方に言っていただけます。

視覚障害当事者のクリエイターさんも沢山いらっしゃいますし、アクセシビリティのカイゼン記事に反応をくれる方もいらっしゃいます。

また、これまで直接インタビューさせていただいた方からも「自分たちのためにアクセシビリティ改善をしようとしてくれるのがとても嬉しい!」と言っていただけることが多いです。

仙田さん、こちらこそありがとうございました! アクセシビリティを意識したり、大事だと思ってくれるひとたちは、われわれにとってはほんまに財産であり、宝物です。 根本的にnoteは、すばらしいツールだということはわかっていましたが、作っておられるかたや中の人たちによって、世界のみんなが使いたいとなるものだと再認識できた時間でした。 本当に楽しかったです! 本日さっそく所内で展開したところ、やってみようとの話になりました。かってに思ってますが、重度障害がnoteを活用し事業に参画することが楽しみです!また、活用がうまくいけばご報告させていただきますね。今後とも何卒よろしくお願いします!
以前インタビューさせていただいた別の方からの感謝のお声。

この声を受けて、僕たちもいつも活力をもらっています。実際に使ってくれるクリエイターさんの生の声ほどやる気が出るものはありません。


以前noteのアクセシビリティ向上のアドバイスをしてくれていたmagiさんは、「ユーザーがフィードバックをくれる状況は素晴らしい」と言ってくれました。

ほとんどの会社は「アクセシビリティの改善しても誰に届くのかわからん」ってなってて、逆にほとんどのユーザーは「アクセシビリティの改善を求めても黙殺されるから言っても無駄」って思っているんですよね。

チャットのスクリーンショット。 いやーこれはほんとうにそうで、ほとんどの会社は「アクセシビリティの改善しても誰に届くのかわからん」ってなってて、逆にほとんどのユーザーは「アクセシビリティの改善を求めても黙殺されるから言っても無駄」って思っているんですよね。 なので、改善する気がある会社と、それを信じてフィードバックできるユーザーがいる、という状況はとてもすばらしい。
「改善を求めても黙殺されるから言っても無駄」…なるほど

積極的に「ウチはアクセシビリティ向上します!」「こんな機能改善しました!」をnote記事やXで発信したからこそ、ユーザー側の当事者も「この会社はフィードバックを言えば直してくれるぞ」と思ってもらえたのが大きいと感じています。

ユーザーリサーチの取り組みについてはこちらの記事をご覧ください

機能改善を切望してくれるユーザー、機能改善ができる開発体制、そして改善を外に発信する広報チームとの連携の3つが揃ったため、開発とユーザーフィードバックのサイクルが回ったと思っています。


また、以前視覚当事者の方にインタビューした際は、「視覚障害者コミュニティはかなり狭いので、そこで推薦されたツールは多くの人が使う傾向にあります」という話を聞きました。

視覚障害者は特定のコミュニティやSNSの繋がりがあり、その中で評判だったりおすすめされたサービスは流行ることが多いらしく、「noteがいいらしい」という話が出るらしいです。(逆にアクセシビリティに力を入れる4年ほど前は、「noteは使えない!」という話が出ていたらしい)

実際に、この後説明するイベントで登壇した翌日、2年ほど前にインタビューをしたクリエイターさんからこんな連絡をいただきました↓

仙田様、ご無沙汰しております。 今年はスケジュールの都合でサイトワールドには行けなかったのですが、NVDA日本語チームの野々垣さんから、仙田さんがいらしていた事を聴きました。 以前、インタビュー記事で協力させていただいてから2年程経ちましたが、引き続きアクセシビリティの改善に力を入れて下さっている事に、心より感謝申し上げます。 これからも愛用させていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
いまだに直接このような連絡をいただけることは本当に嬉しいです

視覚障害者向けイベント「サイトワールド」とは?

そんなnoteアクセシビリティチームで登壇したイベント、サイトワールドについてご紹介。

視覚障害の当事者が多く参加するオフラインイベントで、11月1日から3日までの3日間に渡って開催されました。
今年は約3500人が来場したそう!

イベント会場の写真
会場が広い!実際は映ってる範囲の二倍くらいの広さがあります。

白杖を使用している方や盲導犬を連れている方が全体の半数を占め、残りの半数はヘルパーの方といった印象。

イベントのメインはブース出展で、様々な企業が視覚障害者向けのサービスや、アクセシビリティに配慮した製品を展示/紹介していました。

ソニーがヘッドホンを紹介していたり
三菱電機が家電を出していたり
紙を拡大+白黒反転表示するスキャナー
黒インクが浮き上がって点字になる特殊な紙

そんなイベントの1コーナー「NVDA相談会」で登壇してきました。

スクリーンリーダー「NVDA」とは?

「NVDA」とは、スクリーンリーダー(音声読み上げソフト)の一つです。

スクリーンリーダーは、視覚障害者がスマートフォンやパソコンを操作する際に、画面に表示されている文字やボタンなどの情報を音声で読み上げるソフト
これにより、視覚障害者は画面上の情報を聞くことで受け取ることができます。

スクリーンリーダーを解説するイラスト。パソコンから、ボタン推されています「スキ」、既読リンク「クリエイターページを表示」ボタン「記事を投稿する」と吹き出しが出ている
画面上の文字だけではなく、クリックできるかどうか等も読み上げてくれる

NVDAはWindows向けのスクリーンリーダソフトのひとつ。(iOSには「VoiceOver」という読み上げソフトが標準装備されています。)

「NVDA相談会」は、日本のNVDA開発チームが主催するイベントで、NVDAの最新の開発状況や、NVDAを使って操作しやすいサービスの事例を紹介するコーナー。

NVDAで操作しやすいサービスの事例として、note、Ubie、SmartHRの3社がプレゼンテーションを行いました

noteがアクセシビリティ向上に取り組んでいる理由や、実際のデモ画面を使った実演を行いました。

「noteを知ってる人ー?」と聞いたら、15名くらいの方が手を挙げてくれました
noteのミッションについて話したり
NVDAでnoteを操作している様子をデモをしたり。

当日のプレゼンの音声がNVDA日本語チームのYouTubeにあがっていますので、気になる方はぜひ聴いてみてください。

さいごに

アメリカでは、アクセシビリティを確保していない企業への訴訟が急増していたり、アクセシビリティの向上を法律で義務付ける国も増加するなど、世界的にアクセシビリティ向上の動きが高まっているそうです。(日本でも今後同じような動きになるとも言われています)

そうした状況の中、「誰もが創作をはじめられる場」を目指すためにはアクセシビリティの向上はとても重要だと考えています。

サービス提供側の問題で、やりたいことが始められない当事者の方々がいます。
noteはそうした人々でも創作を始められるサービスであると信じていますが、単に機能を開発するだけでは、クリエイターにそれが届かないこともある
発信を通じてnoteというサービスを伝え、新たに創作活動に専念できるクリエイターを増やしていきたいと考えています。


note社のアクセシビリティチームの取り組みはこちらのマガジンにまとまっています。

noteのみんな Advent Calendar 2023の1日目の記事でした!


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