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始まりは何でもよい

1年を週で表すと、52週となる。
このエッセイを書き始めて52回目を迎えることになった。
始めは、AIの登場で危機感を覚えて何か残さないと…と感じたところから始まった。
途中、義務のようになり、話題に困り、絞りだすのに苦労して、という日々があったけれども、今では何か書くことが苦ではなくなった。
たぶん書かないと罪悪感に苛まれて、数日経つと普通になり、自堕落になっていくのだろう。
今思うと、自分の中にあるものを言葉にするのは大切なのかもしれない。
誰かに見てもらいたいと言うよりも、自分の整理の為に必要なのかもしれないと思う。
そう思うと何かを残すのも悪くない。
もちろん場所は選ばないといけないのだけど…
 
 
先週、仕事の関係で東京に前泊することがあった。
大阪での昼の仕事が終わり、そのまま新幹線に乗って中平卓馬の展示を見に行こうと思って東京国立近代美術館に向かったら閉館時間ですと言われた。
閉館時間が曜日で変わるのを確認していなかったのだ。
大雑把な性格が出てしまった…
 
予定が空いてしまったな…と思ったときに以前SNSでやり取りした若い男性カメラマンを思い出して急遽連絡して、撮影後に会ってお茶をすることになった。
初対面かつ急な誘いなのにありがったかった。
それでも、時間を持て余していたので、大塚でおむすびを食べ、鶯谷でモツ焼きを食べ(たまに写真も撮りましたが…)、フラフラしていたら連絡が来て新橋に向かった。
 
連絡をもらった居酒屋に入ると、ふっくらした体格で可愛らしい雰囲気の男がカウンターに肩を丸めるように1人座っていて、声を掛けたら彼だった。
表情も柔らかく、清潔感もあり、電話で話した時の声のイメージそのままだった。
写真界隈あるあるだけど、カメラマンの体系はふくよかな人か、華奢な人が多いイメージがある。
中肉中背な人も少ないし、筋肉質な人はあまり見たことがない。
恐らくだけど、ストレスの発散方法が関係しているのではないかと思っている。
 
年齢を聞くと24歳で、自分が写真の世界に入った時期と同じだった。
軽く話して店を変えて、コーヒー屋に入った。
お互いの仕事の状況などを話していくうちに打ち解けていき、今後どうしていきたいの?と質問をすると「お金を稼ぎたいです。」と少し申し訳なさそうに彼が答えた。
僕はそれを聞いて素直でいいなと思った。
 
自分には捻くれた考えがあって、初めからキレイな理念などを話されると「この人大丈夫かな?」と疑ってかかるところがある。
実際にこれまでそんな人が、いざ仕事をするとお金の事で煮え切らなかったり、自身が持っている考えを押し付けてきたり、詐欺まがいの話を持ってきたりした。
 
逆に初めからお金の話をしてくる人は、何処か気遣いもあったりするし、お互いの事だと割り切ってくるし、仕事をしても気持ちの良い人が多かった。
もちろん、全ての人がそうではないと思うけれど、自分の人生経験の中ではそんなイメージがある。
 
またお金を稼ぐ事は簡単なことではない。
確かに何かに乗って爆発的な売り上げをあげたりする事はあるかもしれない。
でも、その仕事は乗っかっているだけなのでいつか流されてしまう。
また、その商品が怪しければ人も何かを勘づくのか徐々にそこから離れていく。
 
もし継続してお金を稼ぐには、その仕事に対する安心感や信頼感を作り出さないといけない。
それは積み重ねていかないと築くことはできない。
いい例が、ブームによって作られた飲食店と代々続くの和菓子屋さんなのかもしれない。
 
始めは欲望でもいい。
そのうち変わらないといけない状況が向こうからやってきて、嫌でも向き合わないといけなくなる。
その時は利他になっていき、稼ぐは結果でしかなくなると思う。
 
「どんな形であれ、お金は稼ぐと思うよ」
彼にはそう答えた。
何となくそんな気がしたので、そのまま伝えた。
 
人が介在する以上お金を稼ぐことは簡単ではない。
それを少しは知っているから「稼ぎたい」と言う言葉に嫌悪がない。
とりあえずやってみなさい。
そこに「稼ぐ」ことの面白さがあるのだから…

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