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共感されない事を、共有する。

週末の夜中、久々にウォーキングをした。
何故かバタバタしてしまい、なかなか運動するタイミングがなかった。
2月の真夜中の空気を吸い込むと気管支と肺が凍るかと思うほど冷え込んでいて、この辺が寒さのピークで、徐々に春に向かうのかなと、冬の星空を見上げながら夜道を歩いた。

― 今週は何かあったかな?
毎週エッセイを書くことが癖のように習慣化したが、ネタに困る。(お寿司屋さんみたいだな…)
一週間を大雑把に思い出そうとしたら、先日の撮影の時に女性と音楽の話をした事を思い出した。
普段、雑談で音楽の話をする事はないから珍しかった。
話さない理由は、共感することができなくて相手に申し訳ない気持ちになるからだ。

いつものように撮影の流れの中で、趣味や好きなことはありますか?と被写体の女性に質問したら、ライブが好きと答え、中でもクロマニヨンズが好きらしく、なかなかいい趣味の女性だなと思った。
「同年代の人に共感してもらえることがなくて…」
と少し悩みを話された時に思わず
「僕もそうなんですよ…」
と逆に自分の事を話し始めてしまった。

もともと音楽を聞くことが好きで特に洋楽を聞いていた。
小学校の時に、はじめて買ったCDがガンズ・アンド・ローゼスの「ユー・クッド・ビー・マイン」だった。
これはターミネータ2の主題歌になっていて、友達に聞かせてもらったときにあまりのカッコ良さに衝撃が走り、CDラジカセに入れてイヤホンで何回も聞いていた。

思春期の頃に周りの友達に洋楽好きが多かったので、自然といろんな音楽を聴くようになった。
ローリングストーンズや、ビートルズ、マイケル・ジャクソン、ブライアン・アダムス、ザ・クラッシュ、ロバート・ジョンソン、エクストリーム、ビル・エバンス、ニルバーナ、スマッシング・パンプキンズ、アート・ブレイキー、レッド・ホット・チリペッパーズ、オアシス、ブラー、シガーロスなど、他にもあっただろうけど(思いつくだけ書いてみた)これらの音楽を多感な時期に聞いていた。
こうやって書きだすと、改めてジャンルも年代も滅茶苦茶だなと思う。

これだけ好きなら深堀するくらい知識があるのでは?と思われるかもしれないが、かなり浅い。
音楽を聞きながらボンヤリするのが好きだったので、アーティストの経緯などはまったくと言っていいほど知らないことが多い。
美術関連もそうだけど、たまたま読んだ小説に書かれていたから、またテレビや配信サイトの番組表で偶然見たから知っているくらいで、自分から調べることはあまりない。
だから人と、そのアーティスト、ジャンルの話をするとこちらの浅さに申し訳なくなる。
基本、浅く広くなのだ。

ライブに行けば…と言われるが、一度、大学の時に彼女に連れられて行ったときに、みんながタイミングを合わせてアーティストのタオルを振っている姿を見て嫌になってしまった。
当然、自分だけタイミングが合わない。
トラウマである。
レッド・ホット・チリペッパーズのライブのように会場の中央で荒ぶる感情をぶつけ合うのを勝手にイメージしていたので、統制が取れた動きに着いていけず、二度と行かないことを決めた。

そんなにいろいろ聞いていたけど、最近は洋楽ならアデルの「25」、邦楽ならtha blue herbとGEZANしか聞かなくなってしまった。
この辺りも人と話せることは少ない。
音楽の話をしても、メジャーなアーティストの名前ばかりが挙がるので知っている人の方が少ない。

ちなみにアデルの「25」はもう10年以上は聞き続けているが飽きることはなく、不安定になりそうな時に、自分を元の位置に戻してくれる。
tha blue herbは日本のヒップホップアーティストで、独特の音楽と紡ぎだされる日本語が強くて体の内側をえぐられる。もはやtha blue herbが1つのジャンルだなと思えるくらい、独自の世界観を作り上げている。
GEZANも独自性が強いバンドで、音楽も言葉も強い。たぶん今の時代に重要なバンドで、そんな彼らの音楽をタイムリーに聞けることは有難いなと思う。

そんな事を撮影中に被写体の彼女に話したら、tha blue herbとGEZANを知っていると言ったので驚いた。
でも、それ以上お互いに音楽の話はなかった。
お互いに共感されない立場にいることを、共有できた。
そんなひと時を過ごした。

それにしても冬の夜道は冷えるな…
春が待ち遠しい…

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