信号待ち

信号待ちをしていると。

男の子「ねぇママ。前から気になってたんだけどさぁ」
ママ「うん」
男の子「電柱にあるさ、あの四角い白いやつなに?」
ママ「……電気が通るやつ」

といった会話が。

いいかいボク。ママがウソをついたとは言わないし、「電気が通るやつ」という説明で大体あってるのかもしれない。
ただ、ママはおそらく専門家じゃない。他にもっといい言い回しが見つからないのでダイレクトに言うが、ママは

適当に答えてる。

「……」のあとに「…のやつ」って答える時は大概適当なんだ。

だがママを責めないでほしい。大人は大体適当に答える。悪意があってのことじゃない。他に考えごとをしていたり、「知らない」と言いたくなかったり、理由はさまざまだけどスルー気味な返答をする生き物、それが大人だ。

私も幼い頃、母親から「熱いものが苦手なのが猫舌で、得意なのは犬舌」と教わったことがある。
記憶は定かじゃない。猫舌を覚えたての私が、「じゃあ熱いのが得意なのは、犬舌?」と、かわいい予想を立てたところ、母が「そう」と適当に返事したのかもしれない。
犬舌なんて言葉はないと知ったのは小学生になってから。実に数年間は、犬舌に絶対の信頼を置いていた。

だからボク。
今日のことを記憶し、数年経ったあとママに問いただしてみてくれ。

「ママ。『電気が通るやつ』って……なに?」

するとママは85%〜98%の確率でこう言うだろう。

「なにそれ?」

覚えてないんだ。

で、そのあと君が今日のエピソードをママに伝えて「おい適当だっただろ」とツッコむ。
そしてママが笑う。

これが家族だ。

本当にありがとうございます!! 先にお礼を言っときます!