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自己実現願望は、新たな罠、落とし穴?

今の世の中、自己実現や開発の方法、自己投資セミナー、自己最適化のための自己啓発の本であふれかえっています。

人々はもっと消費しろ、もっと働け、もっと自己成長しろ、もっと生産しろ、もっと良い結婚相手、もっと上のキャリア、最も効率的な生き方は?などと 追いまくられているような世の中に生きていると言えるでしょう。
こういった傾向はすでに社会や経済のシステムの中に組み込まれ、自己実現難民を生じさせ人々をあらたに抑圧していると言えると思います。
SNSでは人々が常に喜んでいるようなキラキラした幸せそうな投稿にあふれていて、それを見すぎるとこちらが何か落ち込むような現象が起きたりもするようです。
もっともっと得よ、もっともっとハッピーになれ、と言わんばかりです。

こうして、自分の幸福度を他人と比較して、社会や経済がどんどん成長して世の中が加速度的に進歩していくと錯覚にとらわれているのではないでしょうか。

また、人生の将来設計を大きく左右する巨大なローンを組んでマイホームやマイカーを得て、子供の時から塾に通って一流大学、一流企業に入ることがそんなに幸福に直結するものなのでしょうか?
そうすればより高額な年収を得て、より幸福な生活が得られるのでしょうか?

逆に今度は、そういうストレスフルな生活から少しでも解放されようと、ライフコーチングやセミナー、瞑想コースまであふれています。
何でも何かお金を出せば解決できるというマインドがあります。
しかもお金を出してそういう瞑想コースや心理カウンセラーを受けるなど、ストレスを軽減することにすらお金をかけるというシステムが出来上がっています。
お金を払えば解決できるかもしれませんが、お金を払って解決しただけでは、自分がどう工夫や努力をしたのか、その過程を証明する自分の能力の成長には結び付きません。

どんなに頑張ってもまだ改善できる、もっともっと自己のスペックやパフォーマンスを上げられるのではないか、まだ何かが不足している感じがするとか、このまま何もしないで生きていくと社会の動きから取り残されるような焦燥感や自己疎外感、そういう自己不充足感にさいなまれているのが現代の多くの人間像なのかもしれません。

このようにもっともっと得よ!達成しろ!というような生活を目の前にして、私たちはどう日々の生活を送ればよいのでしょうか?

それにはまず自分の生活や人生をある距離を持って客観視して、一度立ち止まってみることが大切だと思います。
ハウツー本や自己啓発本や講座やセラピーやセミナーでお金をかけても今すぐ自己実現していきたいのか?それとも弱い自分を認めつつも、もっと長い時間をかけて積み重ね自分自身が発見する価値に生きたいのか、 あるいは、出費や物欲を見直してその執着を手放せば、もっと貯蓄にフォーカスしてより豊かで余裕のある生き方ができるのではないか?蓄財をすればより精神的に自由になれて幸福度が増す、 など、冷静になって自分の人生を振り返ること。

そのうえで自分の人生の目標に向けて、いかに無駄を省いて目標に直結するシンプルな生き方ができるかを検討する姿勢が求められると思います。

知識やモノなどに執着して何かをどんどん付け加える人生ではなく、節約のように何かを買うことを控えれば、その分自ずと貯蓄できて自分の人生をより良くコントロールでき、無駄なものを削り取っていった先に残る本質的なものにフォーカスする生き方が見えてくるのではないでしょうか。
そうすれば自ずからシンプルで地に足がついた等身大の生き方になると思います。

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