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【シニアの山歩き】和気富士・神ノ上山縦走 ~和気アルプスツアー体験記


11月末の土曜日、岡山県和気町にある「和気富士」「神ノ上山」縦走の初心者ツアーに参加した。

約5時間半の山歩きの後は和気鵜飼谷温泉で汗を流したが、翌日は全身がダル重く筋肉痛にもなった。
ただ、痛みも心地よく、むしろ勲章のようにさえ感じられた。
低い山であっても、和気富士和気アルプスの名前にふさわしく、山の姿かたちや岩場のスリル、景色の迫力が満点だったからにちがいない。

和気富士登山と神ノ上山縦走のルート

登山と縦走のルート

1 和気富士への山登り

和気富士は日本一の富士山を小型化したような三角形の山だ。
10時30分ごろから、先頭に男性ガイドさん、最後尾に女性添乗員さん、二人を含めて24名のメンバーで上り始めた。

和気富士登山口へ向かう


登山道の案内はイノシシさんのプレート


標高が低くても頂上まではかなりの急坂
途中で旅の安全を願う

急な坂を登って30分、11時前に標高172mの和気富士の頂に到着した。
頂上はそう広くはないが小さな祠(ほこら)があった。記念撮影を済ませたらいつのまにかメンバーがいなくなっていた。

標高172mの和気富士の頂上

「エッ?もう下ってるの?」
頂上で満足感にひたるひまもなく、あわてて列を追いかけた。

和気富士山頂でホッとするのもつかの間、すぐ下山。

2 初めての縦走


和気富士を下りると神ノ上山まで、いよいよ和気アルプスの縦走だ。

烏帽子岩から吉井川と和気町が見下ろせる

烏帽子岩の先は、道の両側に木立が入り組んだ急な坂になっている。
誰かが水筒を落としたらしい。
と、女性の添乗員さんが腰にハーネスをつけロープを伸ばしはじめた。先頭の男性ガイドさんも手伝って、5メートル下に転がった水筒を無事にひろいあげた。迅速な動きだ。

赤いステンレスの水筒の表面には何か所も大きなキズがついていた。
別の場所で自分もプラスチックの水筒を誤って落としてしまったが、角に穴が空いて水が漏れ始めた。
岩が多い道なので、いとも簡単に傷がついたり壊れたりする。

烏帽子岩から少し登ると、土がむき出しの見晴らしの良い観音台に出た。
24人が座れる広い場所はここくらいしかないそうだ。
12時まで、20分間の昼食タイムだ。
なぜこんなところにあるのかと思いながら、積み上げたマキの上に腰を下ろしておむすびをほおばった。

おむすび弁当

自分が腰を下ろしたマキは、毎年8月16日に「和」の字で送り火をするときに焚くものらしい。マキを運ぶ階段もできていたし、乾燥中なのかブルーシートに覆われたマキもあった。

漏れ聞いた情報が入った頃にはもう出発。かなり忙しい。

マキを運ぶ階段と焚き火台の一部

足もとからは見えなかったが、下山後にバスの中から見上げると山肌にくっきりと「和」の字を見てとることができた。このような行事をする14,000人ちょっとの和気町の人たちのあたたかさが伝わってきた。

12時からまた歩きはじめる。
縦走する道は、険しい岩場の道も、落ち葉を踏みしめる自然道もあったが、初心者にとっては尾根を上ったり下ったりする修行のようでもある。見上げれば白い道につづく岩山がそびえている。
誰かが『せっかく下りたのにまた上るの⁈』と悲鳴をあげた。自分も週に2,3回坂道を歩く訓練をしたが、まだまだチカラ不足で声をあげたくなる。

ただ、周囲を見わたせば、緑と紅葉のコントラストの景色が美しい。ときどき吹いてくるひんやりした風が心地よい。
狭い道をゆずりあって、行きかう人たちとあいさつし合う。
気分だけは一人前のハイカーだ。

またあそこを上るの⁉


途中、中央アルプス方面で見かけるという山の名前もあった。穂高山、涸沢峰、ジャンダルム、奥の峰などだ。登ったことがない自分はわからないままに写真だけを取った。

穂高山 標高200m
彼沢峰 標高215m
今回は行かなかった竜王山の山容
岩山 標高168m
ジャンダルム 

時折、水分補給指令が出る。
ガイドさんは、暑くても寒くても脱水予防のために最低1,500ml、あたたかいものと冷たいものを両方用意したほうがよいと指導された。

縦走中の水分補給の際に、ガイドさんが前と後ろの順番を入れ替わりましょうといわれた。最後尾をのんびり歩いていた自分は、思い切って一番前に出てみた。

すると、いきなり大きな”喝”が入れられた。
開口一番、ガイドさんからリュックの背負い方が悪いと言って直された。背中にピッタリくっついたリュックは揺れなくなった。少し恥ずかしくはあったが、疲れない背負い方がこれなのかと納得した。手袋もけが予防のためにはめるように促された。みんなにも大声で指導された。

その後は、列の一番前でジョークを交えたわかりやすい説明をたくさん聞いた。
山々の名前、ヒラゴケなどの苔類、多くの木々が枯れて倒れている原因、クマ・イノシシがふもとにおりる理由、雲の動きと天気などだ。
燕が低く飛ぶと雨になる、などの『観天望気』(かんてんぼうき)ということばは、何度もテストされながら歩いた。覚えにくい!
また、等高線の書いてある地図と実際の山を見くらべて、地図から地形がイメージできるようになる面白さも教えてくださった。

ガイドさんの説明を、大声で後方に伝えたりしたが、すべてというわけにはいかない。

『同じ料金を払っているならゼッタイ前がお得よね』と後ろの人が声をかけてきた。
たしかに!

3 めざす神ノ上山の山頂に到着


14時30分ごろ、岩山を過ぎ静じゃくな森の木々を抜けたところで、標高370mの神ノ上山山頂の広場に出た。みんなに笑顔が広がる。
鯉のぼり🎏がノビノビと青空を泳いでいる。
立木の間から家や田んぼも見える。2回目の集合写真も撮り終えた。

このとき、山のベテランらしい女性からリュックに付いた緊急用の笛や親指休めの輪っかなどを教わった。何度か使用したリュックだが初めてその機能を知った。同じように参加しているつもりでも、初心者だとバレバレだったようだ。

10分ちょっとで、またメンバーがぞろぞろと動き始めた。
また最後尾になってしまった。

神ノ上山山頂 370.3m

4 上りよりきつい下山


14時40分 下山開始
しばらく森の中を歩くと、開けたところに北曽根城跡の立札が立っていた。

北曽根城跡

左手には、下から見ると人の顔に見えるらしい大きな白岩があった。

白岩 人の顔に見えるという

それからは急斜面の岩場の連続で、転ぶと痛そうだ。
「馬の背」という岩場など、添乗員さんの前なので助けてはもらえそうだが、よろけたら谷底に転げ落ちてしまう。

馬の背のような細い道を下る


体が勝手に下に向かうので、足もとに気をつかいながらひたすら前の人を追いかける格好になる。両足がパンパンだが休めない。
上りより下りがやっかいだ。自分の思うようにならない。

下りは細く長い岩場が続く

1時間ほど下り続けたら、やっと「山の学校」という平地に出た。
きれいな紅葉にも目が止まった。

森の学校で見られた紅葉

15時45分 登山口から少し離れた和気中学校そばの道に出た。

ふもとから山々を見上げると壮大だ。改めて達成感を感じもう一度歩いてみたい山だと思えた。

時間制限のあるツアーでこの年齢の者が歩きとおせたのは、引っ張ってくださったガイドさんたちのおかげだ。心から感謝します。

最後まで読んでくださいましてありがとうございました。




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