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外国人介護人材の受け入れはどうなる? 政府会議で技能実習制度の廃止を提言

先日、4月10日に第5回目となる「技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議」が行われました。


政府は、日本の高齢化に伴い、介護分野における労働力不足を解消するために、外国人労働者の受け入れを促進しています。現在の技能実習制度を廃止し、新しい制度を創設するよう求める中間報告書(たたき台)を公表しました。


これにより、外国人介護労働者の受け入れをより効率的かつスムーズに行うことが目的とされています。

 
そこで今回は、外国人介護人材の受け入れに関して、技能実習制度の廃止、新制度について解説したいと思います。


みなさまも、今後の外国人介護人材の受け入れに関して注目していただければ幸いです。

技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議とは?

政府は、外国人材の受入れ・共生に関して、令和4年 11 月 22 日、関係閣僚会議の下に、「技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議」を設置。


この有識者会議では、技能実習制度と特定技能制度の利用者からヒアリングを行いつつ、施行状況を検証して課題を出した上で、外国人の介護人材を適正に受け入れる方策を検討するための議論を行う場としました。


※令和4年12月14日に第1回目の会議を開催し、令和5年4月10日に第5回目の有識者会議が行われました。




技能実習制度とは?

外国人の技能実習制度は、もともと1960年代に海外の社員教育として行われていた研修制度を元に、1993年に制度化されたものです。

 
技能実習制度は,「国際貢献のため,開発途上国等の外国人を日本で一定期間(最長5年間)に限り受け入れ,OJTを通じて技能を移転する制度。(平成5年に制度創設)」としており、国際社会との調和ある発展を図っていくために、技能や技術、知識を開発途上国などへ移転することによって、経済発展を担う「人づくり」に協力することを目的としているようです。

(出典:厚生労働省 社会・援護局「技能実習「介護」における固有要件について」
 

技能実習制度の内容は、外国人の技能実習生が、耕種農業や機械加工など87の職種からなる日本の企業等と雇用関係を結び、出身国で修得が困難な技能の修得や熟達を図るもので、最長で5年間働きながら技能を学ぶことができるのです。


2017年11月に「外国人の技能実習の適正な実務及び技能実習生の保護に関する法律」が施行されたことで、新たな技能実習制度が開始したようです。


現在では、33万人ほどが働いているとしています。

 
しかし、第5回の有識者会議では、この技能実習制度に関して、国際貢献などの制度の目的と運用の実態が乖離していることを指摘しました。


そして、現在の技能実習制度を廃止し、「人材確保」と「人材育成」を目的とする新制度の創設を要請しました。 




新制度について

有識者会議は今回のたたき台で新たな制度について、人材育成だけではなく、働く人材の確保を主な目的としています。
 

・転籍原則不可→緩和
これまでは原則できなかった、働く企業の変更(転籍)も緩和する方向で検討されており、一定の制限内で認められるとしています。
 

・日本語能力特になし→段階的に向上する仕組みを検討
外国人の日本語能力が段階的に向上する仕組み作りを検討しています。

 
・職種87職種に細分化→12分野の特定技能
中長期的に日本で働いてもらえるように、職種は特定技能の分野にそろえ、日本で修得した技能を育成・評価し、さらに活かせるような仕組み作りを検討しています。


一定期間の実習を修了した技能実習生が、専門性を要する在留資格「特定技能」へ、円滑に移行できるようになるとのことです。

 
監督体制:監督不十分→不適切な監理団体を排除
実習生の受け入れを仲介してきた「監理団体」について、受け入れ企業に対して不適切な監督だったため、行政処分を受ける例がありました。そのため、今後は実習生の仲介や実習先の監督を担当する監理団体は要件を厳格化し、不適切な監理団体を排除するとしています。


・受け入れ上限:特になし→特定技能と合わせた上限を検討
 今後、有識者会議では制度の詳細等の検討を進め、秋ごろを目処に最終報告をまとめる見通しです。正式な変更は2024年以降になると思われます。




まとめ

本日は、外国人介護人材の受け入れに関して、技能実習制度の廃止、新制度について、
 
・技能実習制度及び特定技能制度の在り方に関する有識者会議とは?
・技能実習制度とは?
・新制度について

を順に解説しました。
 

介護分野における労働者不足に対して、日本での外国人介護人材の受け入れを検討する有識者会議では、1993年から制度化された技能実習制度の廃止を提言しました。

 
開発途上国への技能や技術、知識を移転するという目的に対し、制度の目的と運用の実態が乖離していることを指摘しました。
 

そして、有識者会議の中間報告によるたたき台で、新たな制度について、人材育成だけではなく、働く人材の確保をするという考えを示しました。

 
今後、外国人介護人材の受け入れに関して、有識者会議ではどのような決定がなされるのか、ぜひ、みなさまも注目していただければ幸いです。

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