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⏰もしも、時間をあげたりもらえたり出来たら、#5

前回のあらすじ → こちらから
時間をあげたB子は、充実した生活を送っている
「時間交換所」の Mr. X へ、2時間を渡せたからだ。

もしも、時間をあげたりもらえたり出来たら、#4

Mr. Xの困惑

この商売、おおよそ満足されません。
大抵の人は、「元に戻してくれ」と言って来ます。 よって、A君とB子さんのように何も言って来ない (上手く行っている?) ケースはとても珍しいのです。
「何が良かったのだろうか?」、首をかしげるMr. Xだったが、これと言える理由を見つけることは出来ませんでした。
大抵のケース、最初はみなさん調子良く「それぞれの時間」を楽しむのですが、数日経つと人が変わったようにMr. Xのもとへ駆け込んできます。
もちろん、彼らには起こり得るリスクも含め事前説明をし納得いただいた上での交換だったにもかかわらず。
Mr. Xとしては、自分には1ミリも落ち度はないはずなのですが、結局彼らから悪者呼ばわれされる始末です。
だからからこそ、このA君とB子さんのことは、稀の中の稀なケースなのです。
Mr. Xにとっては、興味はすっかりそのことになりました。
日が経つごとにその興味はどんどん膨らんでしまいました。

そして、ついに、

この二人へ連絡することにした。

時間を交換した二人同士が頻繁に連絡をとり、不利益を被ったりするのはルールに違反します。
しかし、交換所からそれぞれに連絡することは、ルール的には許されます。
こんなことは初めてだが、確かめるにはこれしか方法はない。
・ 丁度やりとりした同じ時期の春に
・ 同じカフェ、同じ時間に呼び出すことに
・ 理由はとくに事前に話していない

「交換所に戻って来ない」というのは、ガマンをしているのか全面的に幸せなのか区別がつきません。となればやはり会うしかありませんでした。

以前に聞いていたメール・アドレスへ特に理由は言わないで、アフターケアの話しをすることでお誘いをしてみました。
さすがにこの二人。すぐに2人から確認の返信メールが届いた。あとは待つばかりです。

二人は、時間通りに現れた

二人は笑顔だった。時の経過を感じさせない間柄のように見えた。
それどころか頻繁に会っているかのような関係にも見えた。
少しホッとした。

二人は結婚していた。

続く




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