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SenjuBANDが僕を救う。

2021年12月30日 二次子二次雄 第二十八話 「まんがのチカラ」
このイベントに出演するためにSenjuBANDを結成した。

二次子二次雄の主催者をされているのせさんに参加希望の旨を伝えたのが2021年1月。
出演まで約1年の期間があって、じっくりと時間をかけて取り組む事ができた。

出演時間は30分。
その30分にSenjuBANDでやりたかった事を詰め込んだので、少し自分語りします。


SenjuBANDとは?

まず初めにSenjuBANDとはなんぞや?って話なんだけれど
一言で言うと僕のワガママを叶える為のバンドだ。

せんじゅが思う最強最高のメンバーに声をかけて、
せんじゅの大好きな楽曲をカバーして、
せんじゅをメインに演奏する。

なんやこいつめっちゃワガママやんけ。

以下メンバー(僕の保護者)


セットリストを考える。

1, 愛がたりないぜ
(アニメ バーチャファイターOP)
2, 好きさ
(めぞん一刻OP)
3, 夢であるように
(テイルズオブデスティニー主題歌)
4, 蒼氓
(龍が如く6 命の詩。挿入歌)
5, DreamsDreams
(NiGHTS エンドロール曲)

この5曲がSEGAを中心とした
SenjuBANDの最高なハッピーセットリストだ。
2曲目はアニソンやけど。



僕がこのバンドを結成するにあたって、実は一曲だけ既に決めていた曲がある。
4曲目の『蒼氓』だ。
この曲が実はセットリストの核となっている。

蒼氓は「龍が如く6 命の詩。」の挿入歌に使われている山下達郎さんの楽曲で、グッとくるシーンで流れるイントロがたまらなく良い。

その蒼氓をどんな理由があって核にしたのか?
それについてお話していこうと思います。


表現したかったこと。

僕はこの蒼氓を通じてアニソンイベントで表現したかった事がある。
『曲への思い入れと』『カバーのその先』だ。
まずは曲への思い入れから話していこう。

僕はこの蒼氓という曲を絶対にやりたかったのは、祖母が生前口癖にしていた言葉があったからだ。


普通が一番難しくて幸せ

祖母が生前よく口にしてて、今も僕の中に生きてる言葉が、この『普通が一番難しくて幸せ』だ。

祖母は僕が12歳の時、交通事故で亡くなった。

詳しい容態を知らされてなかった僕は、足が折れてるかもしれないからお見舞いは何を持っていくべきか?なんて悠長に構えていた。母親が泣きながら写真を整理していた時、ようやく状況を理解できた。その時紙が焼ける匂いが鼻を突いたのを覚えている。



話を戻すと、亡くなった祖母の口癖『普通が一番難しくて幸せ』『普通』を、僕はずっと『世間一般の普通』という意味だと捉えていた。
でも最近、本当は違う意味なんじゃないか?と思うようになってきた。

祖母の言っていた『普通』とは『自分の当たり前』という意味だったんじゃないだろうか?

つまり誰かが思う普通ではなく、自分が思う普通へと、それまでの普通に対する視点が変わったのだ。


ここで蒼氓に話が戻るんだけど、蒼氓にこんな歌詞の一節がある。

ちっぽけな街に産まれ 人混みの中を生きる 
数しれぬ人々の魂に届く様に

山下達郎 蒼氓 歌詞抜粋

この部分では自身を含めた民衆、一般的な普通の人々にスポットが当たっている『世間一般の普通』を歌っている部分だと思う。

今までは祖母の口癖がこの2行の意味だと思っていたけれど、それは違ったのかもしれない。
そう思わせてくれたのは最後のサビの歌詞だ。

憧れや名誉はいらない 華やかな夢も欲しくない
生き続けることの意味 それだけを待ち望んでいたい

山下達郎 蒼氓 歌詞抜粋

この2行の歌詞が『自分の当たり前(普通)を生きるのが一番難しくて幸せ』を表現した歌詞だと思っている。
全体を通してこの2行の歌詞だけ一人称の歌詞になっていて、他人の目線が全く入っていないからだ。



更に最後のサビの歌詞1行目は、それぞれの人の言葉に置き換えることができるとも思っている。
憧れや名誉が欲しかったっていい、華やかな夢も持っていたっていい。
それが2行目の『生き続ける事の意味』と歌う事に自分が納得できるなら。

つまり『生き続ける事の意味』とは『自分の当たり前』
生き続ける事の意味は自分の中にしかない。
僕はこの歌詞を活字で見た瞬間、祖母の口癖を思い出し、不思議と納得してしまった。

あぁ、そうか。僕はこの気持ちを『蒼氓』で表現したかったんだ。
その絶好の機会がSenjuBANDであり、
二次子二次雄だったというお話でした。


ニヤリポイント

次にカバーのその先。
について少し話していきたい。
僕の思うカバーのその先とは
「分かる人をニヤリとさせる」という事

具体的にどういうことか?
これに関して上手く説明出来る気がしないので、実際に仕込んだニヤリを紹介していきたい。

僕は蒼氓を演奏する上で、
2つのニヤリポイントを仕込んでいる。


まず一つ目は、
People get readyのメロディソロを演奏している箇所
People get readyとは、蒼氓のオマージュ元となった楽曲で、R&BグループのThe Impressionsのゴスペルソングだ。

この楽曲のメロディをアウトロに仕込んだのが、一つ目のニヤリポイント。
ブルース感とゴスペル感がでてB.B.Kingっぽく響いているので、個人的にはめちゃくちゃお気に入りのポイントだ。


二つ目は、
これまたPeople get readyのギターリフを演奏している箇所
People get readyは色んなアーティストがカバーしていて、
その中でもジェフベックとロッドスチュワートのカバー版がめちゃくちゃロックでカッコいい。

そのカバー版でジェフベックが弾いていたフレーズを、アウトロギターソロの締めに拝借している。ココが二つ目のニヤリポイント。


以上が蒼氓に組み込んだニヤリポイントだ。
つまり、僕が言いたいカバーのその先とは、
楽曲をコピーした上で自分の中にあるパズルのピースを楽曲に当てはめることだ。

これは、楽曲に対してどれだけ本物に近づけられるかが評価されやすいアニソンコピーバンド界隈で、楽曲や演奏者の背景を楽しむのもどうですか?というちょっとした提案だ、カッコよく言うなら反骨精神だ。

それを続けていると時々「あのフレーズ、アレですよね?」と誰かしらに刺さる事がある。そうなったら大勝利だ。
それは楽曲を演奏した事実ではなく、自身の演奏が誰かの琴線に触れたという事だからだ。

それが表現したかった事の一つ、ニヤリポイント。
以上2つが蒼氓の中で表現したかった事。


まとめ

以上が僕が表現したかった事だ。これはまだほんの一部で、別の楽曲にも思い入れがもちろんある。

でも僕はこれらをバンドメンバーにほとんど話していない。
自分の中でこの思い入れを凝縮させて純度を守りたかったからだ。

この純度を守り続けることで、絶対に滲み出るモノがある。
そうすれば僕の持つ熱量がきっと何かを惹きつけると思ったからだ。



もし仮にこの思いをメンバーに話していたら、きっとバンドで空気を『作り上げてしまった』と思う。それはなんだか嘘っぽい。

僕はSenjuBANDのメンバーには保護者的な位置に居て欲しかったのだ。
そう気付いた時このメンバーにお願いして良かったと思った。

僕はこの日、誰よりも濃い7分間を過ごしていた自信がある。
この思いを聴いてもらった上で『蒼氓』を見てくれると嬉しいな。


僕はSenjuBANDでやりたかった事をワガママにする事で。
自分自身を救う事が出来た気がした。




以上!

コーラを飲ませてください!