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主催という著者

和歌山で林業を営む中岸幸雄さん・さやかさんご夫妻主催によるセンジュ出版オンライン読書会が開かれた。
設けられたテーマは「人生を変えた一冊」。

2月から毎月全国各地の主催者が続けてくれている、センジュ出版の本、またた「しずけさとユーモアを」をモチーフとした読書会。


上記のリンク先記事にも書いたが、半年以上続けてきて、その主催者の自己表現に気づくようになってからは、
この読書会をわたし自身は、主催者という著者の自己表現の場だと感じ、毎月一冊の本が出ていくような幸せを味わっている。

言葉にすると「センジュ出版読書会」と同じ文字が並ぶというのに、果たして毎月、全く異なる時間が流れる。
まるで「センジュ出版読書会」というレーベル名がついたシリーズものを刊行している、読んでいる、そんな気になってくる。

林業を営む幸雄さんの人生を変えた一冊は「ローリング・サンダー」だった。
大地に足をつけ生きている幸雄さんそのものの本。
そして、参加者の中から思いがけず、「しずけさとユーモアを」が、人生を変えた一冊だったと聞かされた瞬間、背筋が伸びるような、どこかくすぐったいような、
そんな感覚を覚えた。

これまで自分は編集者として、自身の本を出すことに不安を抱える著者に何度か「この本で人生を変えるような読者もいる。たった一人であってもいい。その人のために書いて欲しい」と伝えてきた。
公に出ていくことを恐れる著者。しかし、本が出た後必ず「本を書いてくださってありがとうございます」「この本のおかげで人生が変わりました」という読者の声が著者に届く。そうした瞬間を何度も目撃してきたことで、今の自分の仕事がある。

それが今度は自分にお鉢が回ってくることになろうとは。
編集者だからこそ、自分の文章がどれほどひどいものかはよくわかる。
穴にあったら、入ったままでいられたら、どれほど良かったか。

でも、目の前のこの人の言葉は嘘だと言えるだろうか。
たった一人でもいい。
この大切な友人にそう思ってもらえたのなら。
エイ出版社によって書く場を授けてもらえたことに、
改めて感謝したい。

これからわたしはまた、新たな著者に誰かのために「書いて欲しい」と伝えるだろうが、
昨日の体験のおかげで、この言葉を自分の言葉として口にすることができるような気がする。
これまで以上に、著者の背中を押そう。
「あなたは書く必要がある」
と。

ここで、昨日投稿するはずだった文章は終わるが、
日を跨いだことで、主催の中岸さんが翌日SNSに公開投稿された文章をここで紹介したい。

昨夜のセンジュ出版読書会in和歌山、おかげさまで無事(アクシデントあり、あたふたありですが…)終了いたしました。
ありがとうございました!!

本当に貴重な体験でした。
正直に言うと、僕の読書量なんて、本当に数少なくて、どちらかと言えばあまり読まない方なのですが、気持ちとしては、読書、本を通して誰かが何か影響を受け、そこからこんな体験をした、仕事にいかせた、生活が豊かになったなどなどのお話を、直接ご本人からの声から、その本に興味が湧いたり、その人を知り自分に取り入れたりできたらいいなあという気持ちだけでやらせて頂いた感が凄くあります。
短い言葉で言えば、宝探しに近い気持ちでした。

結果、本当にそうなった気がします。
素敵な言葉も頂いたし、本当に本に救われた方のお話を聞くと、想像ではあるけれどもイメージ移入といいますか、その方の人間性という扉が開く瞬間を体感できたといいますか、上手く言えないけれど、ゾクゾクと足の爪先から頭のてっぺんまで何かが走るのを感じながら、司会という立場もすっかり忘れてしまうほど入り込んでしまった場面もありました。

とにかく、この会に参加する前に自分の中で意識していたことが、皆さんの声として実際に僕の耳に体に戻ってくるような、シンクロニシティが沢山あり驚きと共に喜びを感じた時間でした!

今回は、人生を変えた一冊というテーマで会を進めさせて頂きましたが、やはり、一冊に限らず沢山の本から背中を押されている方ばかりで、やはりそうだよな、寄り添ってくれてるよな本って、と思いました。

僕も人生を変えた一冊を紹介させて頂きました。

ローリグ・サンダー
ダグ・ボイド著
北山耕平+谷山大樹訳
平河出版社

を。

この本は、今思えば東京から帰ってくる一つのきっかけになった本だと思う。
自然の一部でもあるインディアンが自然と共存できるのは当たり前だと思うのだけれど、自分に置き換える難しさや矛盾などを考えた結果、僕が今いる場所で僕なりに最善を尽くそうと教えてくれた本。
そして、「全ては繋がっている」という言葉。シンプルなのだけれど頭の中での広がりが宇宙で、ずっと寄り添ってくれる言葉をくれた本。

人との出会いと全く同じ感覚になった、本との出会いからなる素敵な読書会でした。

ありがとうございました。

終わりに

「植物、大地、南方熊楠」

このワードが一人の参加者さんから出た事で、僕は救われました。そして興奮しました。
だって、その時僕が来てたtシャツが南方熊楠tシャツでしたから。製作されたみくまのネット大竹哲夫さんにも感謝したい。

主催という表現をした、著者。
終始ご参加の方のお話に耳を傾けて、笑顔をもたらしていた中岸さんご夫妻。
本当にありがとうございました。

*中岸さんの投稿の最後に登場する、「植物、大地、南方熊楠」を口にした方は、
昨日の読書会をこう表現してくれた。
実は、彼もまた、10月のオンライン読書会主催者になる。
未来の著者なのだ。


今日予定の投稿も明日に送ります。


#今日の (正確に言うと昨日の)一冊
#アメリカインディアンの教え
#加藤諦三
#218 /365


#オンライン読書会
#人生を変えた一冊
#ローリング・サンダー
#ダグボイド

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