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読了☕

ようやく本を読み終わりました。

においが心を動かす
 ヒトは嗅覚の動物である
                                          著者 A・S・バーウィッチ
                                          発行所 株)河出書房新社

三月七日にブログで紹介していた本です。

認知科学者であり哲学者である著者が、現在に至るまでの嗅覚科学の歩みをまとめた内容になっていました。

プラトンの時代から嗅覚をどう捉え、どの様な研究を行ってきたのか、研究者たちの試行錯誤を中心に書かれています。

嗅覚研究で分かった事をまとめた本だと思っていた私は、まさか研究者の目線で嗅覚の歴史を辿る事になろうとは予想だにしていませんでした。

鼻は脳に何を伝え、脳はどうやってそれを理解するのか?

答えはまだ捉えどころがない、と著者は述べます。

鼻は何が得意かというと、ごく小さな質的変化と微妙な差異の認識を必要とする、においの質的比較である。

鼻から入ってきたにおいはどうなるのでしょうか?

私たちはにおいを一般的な認知処理における知覚タグとして経験する。

タグ…、付箋をつけてどうするの?

脳はにおいを物や状況とともに記憶する傾向がある。
脳が思い出すように準備しているのは、におい物質そのものではなく、しばしば記憶が役立つ文脈の情報なのだ。

この本を読んでいる間、私は場違いな研究室に身を置いて、耳慣れない専門用語と、探求に没頭している研究者の熱意にフラフラになっていました。

本を読み終わり、冷めたコーヒーを飲みながら、「このにおいは私の脳でどの様な記憶となるのだろう」と、レトロネーザル過程で風味を楽しんだのでした。




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