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東京から愛媛に引っ越した話の続き

※記憶が薄れてるのでところどころガバガバです

車の購入を終えた後、新しい我が家に帰る。
家具を搬入した時も思ったけど広い。すごく広い。こんな広くて清潔な家に、東京にいた頃よりも安く住めるなんて最高だ。
テレ東系列が映らないこと以外何も不満がない。
まあケーブルテレビに加入すれば見れるのだが、配信でタダでアニメ見れる時代に高いケーブルテレビに加入する理由がない。そもそもテレビ買うつもりないし。
よく考えたら東京いた頃もリアルタイムでアニメ見ることあまり無かった。

翌日、朝起きると時差を感じた。明るくなるのが遅すぎる。
調べたら30分の時差があるらしい。
朝型人間だから30分の時差も気になってしまう。夜明けあくしろよ。


この日は必要なものを買いに自転車で街を回った。
そこで、お米を作る畑はお米の匂いがするという事を初めて知った。
小泉進次郎みたいになってしまったが、お米を炊いた時のあの匂いが稲からもすることに驚いた。
特急列車の車窓から田園風景を眺めるのとは全く違う。身近で見て、五感で感じることによって新たな知見を得た。


外にいると常に見える、圧倒的な存在感の四国山脈。
私はここに引っ越してから、山岳信仰のようなものを理解した。
四国山脈に守られているような感じがする。
世界の事が何も分からなかった昔の時代。高くそびえる立派な山を信仰するのはごく自然なことだと思う。
「結城友奈は勇者である」の神樹様ってこんな感じなんだろうなと思った。

山が身近にあることで分かったことがある。
山は日によって姿を変える。緑と青を行ったり来たり。時には雪化粧をしたり、雲に隠れて見えない日もある。面白い。
山を見ていると、昔の日本において緑を青と言っていた理由が分かった気がした。
遠くから見れば緑も青も同じようなものなんだ。
現在は日本の中央政府が関東平野の真ん中、東京にあるが、昔は京都にあった。
京都は盆地で、周囲に山がある。山が当たり前の環境で育まれたのが日本語。
だから緑も青もどちらも青なのだ……と思ったが、私が勝手にそう解釈しただけなので、真実はよく分からない。本気にしないでほしい。

山以外にも美しいものがある。
朝や夕方に道を歩いていると時々見かける、制服姿の小学生。
伊予弁ショタ。かわいいね。

ふぅ……

スーパーに行くとカールが売っている。
知らないブランドの醤油が沢山ある。
スーパーは地域によって並んでいるものが違うから面白い。
讃岐うどんは香川企業のものを、うどんつゆは新居浜のものを購入した。
これがかなり美味しくて、自分の好みにあっていたので宣伝しようと思う。

うどんつゆはふるさと納税以外でオンライン購入できないのが勿体ない。


引越しから数日後、会社に入社。
岡山の県北で免許とった時も思ったが、やはり大都市以外の場所では集中力が上がる。
おかげで今までの人生で一番上手くいっている気がする。
田舎企業はブラックみたいな話がインターネットではバズりやすいが、弊社は今のところ毎月10時間も残業がないホワイト企業。
ブラック企業もホワイト企業も都会田舎関係なく存在する。

インターネット以外にあんまり人との交流がなかった私は、数年ぶりに訪れた濃密な人間関係に戸惑った。
普段人と話し慣れてない陰キャキモオタクが沢山会話をすると口角が疲れる。
入社直後は口角の痛みと、自転車通勤によるケツの痛みに悩まされた。
口角は慣れで、ケツは自動車の納車で治った。

さて、ここで地方移住で皆が気にしそうなことについて書いていこうと思う。

・よそ者差別
会社でも会社以外でも、よそ者差別のようなものは一切なかった。
なぜならここは愛媛県東部(東予)の工業地帯。転勤者が多い町だからよそ者は見慣れている。
都会を出てみたいけどよそ者差別が不安という人はとりあえず転勤者が多そうな工業地帯や県庁所在地を狙うといいと思う。
しかしそういった街は近所付き合いが希薄なため、ご近所さんから農作物貰うみたいなことは期待しないほうがいいと思う。

・通勤
晴れてて元気のある時は自転車。それ以外の日は車。移動欲さえなければ自転車でも生活可能。
東京にいた頃に比べて格段に通勤時間が短くなった。
満員電車と違ってプライベートゾーンが確保されている。素晴らしい。
しかし車や自転車だと通勤中にスマホを使えないのがデメリット
でも満員電車もそれはそれでスマホ使えないし、多分通勤は公共交通機関使える地方都市のほうが快適だと思う。

・家
田舎暮らしといえば古民家リノベみたいな風潮があるが、古民家なんてのは大都市圏にもある。
本当に地方でしかできないのは、普通の賃金で新築に暮らすことだ。
私は居場所がインターネットなオタクなので、自宅はとても重要なポイント。
今の家は人生で一番好きな家だ。

・金
賃金自体は問題ない。
でも自動車保険が高すぎて1年目のお金のやりくりが大変。車両保険はペーパーゴールドでもない限り入らないほうがいい。
引っ越した後に、自動車保険を親から受け継げることを知った。
高校生の頃に知っていれば実家から住民票移さなかったのに……まあ知ってたとしても免許取る気なかったな当時。

・娯楽
インターネットやゲームなどの趣味は自宅でできるから問題ない。
車を購入してからはドライブが趣味になった。
元々遠くに行く行為が好きだった私は、車を購入してそれが悪化した。
上記の趣味は今の土地でかなり楽しめるが、一つだけ満たされない趣味がある。映画だ。
TOHOシネマズ新居浜があるから大丈夫だと思ったのだが、見たい映画がほとんど上映してない。
大怪獣のあとしまつだけは上映してたので見に行った。素晴らしいクソ映画だった。
新居浜で上映してなくても松山まで行けば上映してることが多いが、松山は遠いし、道が難しいから運転したくない。早く四国新幹線開通してほしい。

とりあえずこんな感じだろうか。ここに来たことに関してはかなり満足している。

就職してからはひたすらオイショオイショと働く日々。
しかし就職から1ヶ月後、あるイベントが訪れた。
祖父の四十九日法要のための帰省だ。

フライト時間の都合上高知空港を利用する。
高知はガソリン代が高いので愛媛県内で給油をして、三島川之江から高速に乗る。
私のETCはなぜか三島川之江ICに嫌われているため、ETCレーンを通過できず切符(呼び方あってる?)を貰った。
高知への道はトンネルトンネル。トンネル戦だ。
ずっとトンネルを走っていると頭がおかしくなる。自分は今何をしてるんだろう。
カーナビの表示は『この先南国』
時々トンネルから外に出ると山の上に雪が見える。南国という言葉とは正反対の景色だ。

南国ICで降りて、昼食をどこで食べるか決めてなかったことを思い出した。
高知空港はかつて訪れたことがあるが、空港内に気軽に食べれる飲食店が全然なかった覚えがある。
とりあえず高知の中心部に行けばどこか美味しい店があるだろうと思って行ってみたら、どこも駐車場がなかったから引き返す。
結局、ごめん(地名)にある店で食事をした。米がすごく美味しかったことを覚えている。

昼食を食べるとすぐに空港に向かい、飛行機に搭乗。
飛行機から海はすごく綺麗だった。

成田空港第3ターミナルに到着すると、現実に戻ってきたという感じがした。
何度も旅行で使った場所。成田空港第3ターミナル。
長い旅行を終えたかのような気持ちになった。
空を見渡しても遠くに山は見えない。
第3ターミナルを見ていると、いろんな思い出が蘇る。
北海道に行った帰りに台風で電車が止まり、見知らぬ韓国オタクと共に一夜をあかしたベンチ。よくこんなとこで寝たな私。

成田空港のターミナル連絡バスが、コロナ前は外国人観光客でギッチギチだったのに今は楽々乗れる。
金をケチるため空港第二ビル駅からは快速で行く。
満員電車や乗り換えはかなりストレスを感じる。こんな場所で働かなくてよかったと思った。
地元に着くと、そこは若者や子供で溢れていた。まるで少子化や人口減少が嘘のような街。
この景色を普遍的なものだと信じていたかつての私はもういない。

久々の実家は床中ホコリだらけで荒れ果てていた。
帰る度に、かつて自分の領域だった場所が糖質の叔父によって侵食されていく。
家に帰りたい。そう思った。

時々通りかかる叔父には友好の挨拶をし、夕食では鮮度の低い魚を食べ、風呂上がりはチクチクするタオルで体を拭くと、愛媛の生活がどれだけ良かったかを実感する。

翌日、祖父の墓に行った。
参加者全員に西宇和みかんを配るととても喜ばれた。
他に書くことがないので割愛する。

帰省最終日、朝早くに荷物をまとめて実家を出た。
本当はもっと観光の時間を作りたかったが、実家に泊まるのがなんか嫌だったし有給をあんまり使いたくなかったが故の2泊3日。
ラッシュ時だったのでグリーン車に乗った。

東京の景色を眺めているとでかいビルがたくさんあるなあと思う。しかしいくらビルがあっても私の居場所はないのだ。
帰省をしてよく分かった。東京圏は私の居場所ではないと。
しかし東京が嫌いなわけではない。私は中学で不登校だったから狭義地元の高校ではなく東京の通信制に進学した。
その経験はとても素晴らしいものだった。狭義地元だけが全てではないと知った。

高3秋以降は家庭が荒れて、家出と旅行の間を彷徨うような行動を繰り返しているうちに、広義地元だけが全てではないことを知った。
大半の東京圏生まれの人は地元を出ることを考えていないと思う。考えたとしても行先は大抵海外だろう。
しかし、地元だけが日本の全てではない。日本には様々な都市があり、それぞれ住み心地、国民性が違う。

たとえば東予の国民性といったらマネーリテラシーが高い点だろうか。
様々な金策を知っているしそれを優しく教えてくれるので、給料日前はとても助かる。こんな風に帰省で金を使った後にも……
国民性が自分と合う地域に行くと本当に生活が楽になる。

珍しくLCCが定刻通りに到着した。
高知は東京と比べて暑い。道端の木も南国風だ。
また日曜市に行きたいな。
東予とはまた違った四国。四国はどこの街も個性がたっぷりだ。
かつての私は四国を一緒くたにしていた。でも四国にはこんなに個性があるんだから、私が知らない他の地方もきっとめちゃくちゃ個性があるんだと思う。
でもその個性はスマホやテレビには映らなくて、実際にその土地に来ないと目に見えないものだと思う。
だからみんなちょっとでも興味があったら気軽に旅行や移住をしてみてほしい。
東京に居たんじゃ見えないものがそこにはあるから。

トンネルを抜けると、さっきまで通ってきた雄大な四国山脈が見えた。
美しい。やはり私の居場所はここにある。
帰ってきた安心感。
「実家のような安心感」という言葉があるが、実家よりも安心感がある。

東予に来てよかったな。

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