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#4 「人生を変える原料からこだわるものづくり」(前編)

日本酒の枠を超え、色とりどりの分野で活躍する「ニホンジン」を訪ね
日本の輪を広げて行きます。それはまさに「和の輪」
第4回のゲストはunitoブランドマネージャー・吉田栞さんです

薄井一樹(左)と 吉田栞さん(右)

吉田栞さんは、子どもの頃から酷い肌荒れによる自身へのコンプレックスに苦しんだ経験から、「人生を変える化粧品をつくりたい」と化粧品業界に。 商品企画・開発に従事し、2020年4月に社内ベンチャーとして「unito(ユニト)」を立ち上げ、仙禽とのコラボでも話題に。
お酒と化粧品、一見、遠い世界のような業界ですが、原料からこだわるものづくりにおいてお互い学びあうことが多く、今回、あらためて横浜のオフィスをお訪ねして、じっくりお話を伺いました。

薄井 仙禽に来ていただいたのは去年でしたかね。

吉田 去年じゃないですね、今年の3月。

薄井 うちのオーガニックナチュールという仙禽の哲学が凝縮しているようなお酒の酒粕を使って、化粧品に変えていただくということで、僕も最初ちょっと半信半疑と言ったら失礼ですけど、うーん…みたいな感じだったんだけど、よくよくお話をお聞きしたら、お〜、なるほどなと思って、目から鱗でした

吉田 共感していただけて嬉しかったです。

薄井 正直、仙禽にすごく似てると思ったのと、僕たちの哲学にすごく似てるなと思いましたね。入り口は違うけど出口は一緒みたいな、そんな感じで。で、なぜ、仙禽だったんですか?

吉田 うちの「unito」というブランドが完然無添加(*)。「かんぜん」の「ぜん」は、自然の「然」なんですけど、unitoは完成された化粧品ではなくて、原料からこだわって選んで欲しいっていうところをコンセプトにしているブランドです。で、酒粕は「和製スーパーフード」って言われるぐらい本当に栄養価が豊富なので、ぜひその酒粕を美容液にしたいって話が持ち上がったんですけど、その時にやっぱり完然無添加(*)の酒粕探しから始まって・・・

薄井 それで仙禽に行き着いたわけですね。

吉田 うちの開発担当で日本酒が大好きな社員がいて「仙禽さん完全無添加だよ。亀の尾っていう原種のお米を使っていたりとか、人工的ではなく自然の力で日本酒を作っていくという本当にナチュラルな作り方をしているとこ、仙禽さんしかいない!」というので!

薄井 化粧品は加工されて作られるものというイメージがあって、原料からナチュラルにこだわるって、仙禽を選ばれたってすごいと思ったんですよ。自然派自然派っていって、作り方は確かにピュアかもしれないけど、原料は結構薬づけにされたりしてるんじゃないかって、半信半疑で聞いてたんだけど・・・

吉田 商品に使われている原料って表に出てくることがあまりないのです。化粧品とかも色々裏をみれば成分はたくさん書かれているんですけど、その成分を抽出しているもとの原料が何で、それがどう栽培されてるかとか、どう収穫されたかとかってわからない世界なんですよね。でも食べ物は農薬漬けにされた野菜は嫌だねとか、この人が作った野菜美味しいよねとかってあると思うんですけど、化粧品も同じように選べたらいいなと思って。書く義務もニーズもないかもしれないんですけど、あえて公開していきたいっていう、自分の肌に使うもの何が入ってるのかっていうのを知って欲しいし、それで選ぶっていう基準を新しく世に出せたらいいなっていう夢でやっているというところがありますね。

薄井 そこまでの表示義務はないので法律上問題ないんだけど、そこをあえて明らかに・・・

吉田 化粧品業界的に「無添加とはこうですって」決まりはないので、各社で各々無添加基準を設けています。お客様が無添加だ安心だって買われる商品には、表示義務もないことでもやっぱりメーカの責任だというのはありますよね。

薄井 メーカーのポリシーというか、良心、どこまで心が綺麗かって話ですよね。

吉田 やっぱり使っていただくものに対して正直でありたいって想いから、うちはあえて正直に開示していくっていうのは徹底しています。

薄井 だから吉田さんは、すごい資格もお持ちなんですよね?

吉田 名刺にもデカデカと書いているんですけど「化粧品上級スペシャリスト」って、化粧品成分検定という試験で1級を取った後に申請をすると取れる資格なんですが、化粧品の成分表示を見た時に、何が入っているのか、これでどういう働きをするのかを読み取ることができます。

薄井 しかし、正しいことを広めていく、理解してもらうのって凄く時間かかるじゃないですか。今これだけ情報が取りやすくて、情報がいくらでも手に入る時代なのに、本当に正しい情報って意外と少ないんですよね。

吉田 そうですね。全成分表示をパッと見ただけでは成分の数はわからないので、良い成分が入っていてもあまり実感がなかったり、逆に刺激を感じてしまったりすることもあるので、安易な情報発信で誤った情報が拡散されていくと心が痛むこともあります。

薄井 なるほど。「自然派」さらに、「エシカル(※倫理的な)」という観点で、商品を開発するにあたって、酒もそうなんですが、楽な方に行かないというのは理想ではあっても、実際は苦労がおおいですよね。

吉田 そうなんです。本当に。例えば工業的に一律の工程で、どの素材も処理してしまえば簡単に原料化できてしまうのですが、それをせずに一つ一つ素材に合わせて工程を変えることには徹底してこだわりたいんです。

薄井 だからこそ、吉田さんが、完成品でなく原料からこだわるものづくりって大事なんだってところに行き着いたんでしょう。そのことをもっと知らしめたいですね。

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(*) 自然の力を活かし、自然の知恵を用いた抽出方法や保存方法を選択し、防腐剤、鉱物油、石油系界面活性剤、合成香料、合成着色料、エタノールを含まずに化粧品を作り、お届けすること。完然無添加®は、(株)長寿乃里、(株)イングの登録商標です。
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後編に続く


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