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(詩)あぜ道

久しく聞いていなかった 蛙の鳴き声 

はらわたにつんざく

泥と砂とれきとが いっしょくたになって

舞台をつくる いなかものたちの披露宴

変わらないさびしさよ 弾まないむなしさよ

くすぶる苛立ちが 夕日を隠した

その刹那 小さな人影を見た

次第に大きくなる影は 左右にゆれて

俺をむかえにきた おまえだった

みすぼらしい格好の おまえだった

私はこんなに大人になった

オタカイ腕時計も身につけて

なのに おまえとやらは こんなものか

あの時俺が憧れた そんなおまえは どこにいった

それなのに それなのに

おまえの姿が見えたとき

涙が出たのはなぜだろう

笑っていた

おまえは

あぜ道に咲いた せっかちな向日葵のように

笑っていた

俺が失ってしまった 大事で 大事で

大切なものだった

ごめんよ 俺はもう・・・・・・

防ぎようのないつむじ風が お前の横を通り過ぎた




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