baby boy,もう少しだけ

入院の知らせに慌てて病院まで車を走らせる。予定日まではまだ3ヶ月もあるはずなのに訳の分からない不安でハンドルに置いた五指が氷のように冷たく震えていた。胎盤、臍帯、それとも胎児に異常…? 周産期病棟奥にある重症個室の天井にはロボットの眼球のようなカメラが据えられている。胎児の心臓の音がドッドッドッと生きてるサインを送っている。確かに娘のお腹の中には生命が宿っている、やっと標準の半分程の500グラム、目も鼻も口もちゃんとある。

帝王切開の承諾書にサインした娘の口からは「死産も覚悟しないとね」弱々しく哀しく漏れる。それでも奇跡を待ち望む強い気持ちに母である私は寄り添う。もう少しだけ我慢して大きくなってちょうだい、まだ見ぬ baby boy.


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?