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NEW DAYS ★ プチDAYS★ブルックリン物語

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ブルックリン在住の大江千里が日々の暮らしを綴る6000字前後の読み応えあるエッセイ。「NEW DAYS」も仲間になりました。単行本『ブルックリンでジヤズを耕す 52歳からのひとり… もっと読む
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記事一覧

特別寄稿プチDAYS 「赤い風船」

ぴの持ち物をかなり処分したのだけれど、意外な大物、おしっこシートの未開封とLast Daysで使ってた開封したものが残ってた。いつまでもウチに置いといてもしょうがないので、 「ね、これ使う?」 と友人のジャズシンガーまみちゃんにテキストした。すると、 「使う使う」 ということだったので、ホッと胸を撫で下ろし、 「じゃ、近いうちに鍋をやるね。」 「じゃ、その時に!」 の流れになった。 当日には彼女の愛犬「ネネ」にも来てもらうように伝えたら、「ほんとう?」とまみち

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プチDAYS「友人のブロンクスの新居へ」

友人がブロンクスに引っ越したので、House Warming Gift (新居祝い)のヴーヴクリコを抱えて、さっそく伺って来た。 なぜシャンパンかと言うと「消え物」が貰う方も煩わしくなくて良いかなと思うから。部屋の調度品とかだとその人の趣味があるし、友人とは言え微妙なニュアンスまでは計り知れないので、笑って済ませるものがいいかとシャンパンで。 これなら僕がSober(酒を飲んでいない人)でも、「お前が飲まねえのかよ!チャンチャン!」でオチがつく。予めリバービューの高層階の

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DAYS 「OBロコになったつもりでDAYS2」

DAY1。 「Kay! 急いで。まさか捕まりはしないと思うけれど、早く早く。」 「Senriさんはキッチンのものを、わたしはぴちゃんを抱っこして自分のスーツケースはハンドリングします。」 瞬足で7から4へ戻った2人は手当たり次第 ものを抱えたものの、一瞬ぼーっと立ち尽くし、これじゃいけないとお互いに檄を飛ばし合う。 「僕が往復するんで、ぴをとにかくよろしくお願いします。ご自分のスーツケースは大丈夫ですね? 階段を上がる時は手伝いますので。」 二つの部屋を何度か往復

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DAYS 「OBロコになったつもりでDAYS1」

去年、ある旅をキャンセルした時に戻ってきたe-ticket。元々は自分で払ったわけだからラッキーでもなんでもないんだけど、早く使わないと期限切れになってしまう。去年の暮れ、日本に行く前の夜明けに一大決心して3つの旅を取った。その第1弾がシアトル、そして第2弾が今回のサンディエゴへの旅である。 LAやシアトルやサンフランシスコやポートランドへ旅するのになぜかいつもサンディエゴ飛ばし?(笑) 車で大陸横断した時もパームスプリングスからそのままサンタフェへ。以後も何度かチャンス

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プチDAYS 「スコップの音で眼が覚める」

短い旅だったけれど、いいPND慰安旅行になった。 というのはサンディエゴの旅にKayさんも参加、別ルートで現地で落ち合い声を聞いたぴもびっくり嬉しそうだった。当初、LAから車で参加予定だった赤ちゃんができたばかりの映像作家Junくん家族3人は急遽来れなくなった。 太平洋の波はおおらかでキメが細かい。砂を滑る音も清らかでまるで弦のトリルのようで、聞いていると耳の奥までこそばゆくなる。 ほかほかのトッテダシ(録音してすぐに放送すること。)のサニサイもやった。今日オンエアされ

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プチDAYS 「砂の城」

去年中に決めないと無効になる飛行機のe-tickets。 1月のシアトルに1個を使い、その第2弾をSAN DIEGO旅にした。 なるだけ余裕のある2月中旬にと決めたのだが、いざ直前になると「え? もうサンデイエゴ? ちょっと待って早すぎない?」状態、バタバタ荷造りし髪を振り乱し慌ててブルックリンを飛び出した。 人生において時間とはトイレットペーパーだ。おろしたてのペーパーはなかなか回らないのにいざ減ってくるとどんどんペーパーの回りが速くなる。カラカラカラカラ音を立て、大

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特別寄稿 DAYS 「シアトルは眠らない」

路面電車の警笛が窓の外から聞こえる。階下で提供してくれてるコンプリメンタリー(無料)のコーヒーを紙コップに注いで部屋へ持ってきた。ロビーでは金髪の女の子が2人、PCを叩いて朝仕事をしてた。そういえば慌ただしくてチェックインしてから2日間ここのソファに座ってもいなかったので、さっきちょこっとだけ一面ガラス張りのダウンタウンを眺め腰掛けてみた。古いけどなかなかいいじゃないかこのホテル。 シアトルは眠らない。というより僕が時差ぼけで眠れない。 部屋に戻りブラインドを全開にすると

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Days 2024 「まるで baggage claim で回る荷物のように・後編」

12月24日、札幌ジャズ、25日、札幌から東京へ、そしてクリスとのリハ、目の前のことだけに集中していたら、あっという間にBlue Note当日がやってきた。 トリオは僅かなクリスマスの一日を別々に過ごす。それぞれがそれぞれの時間があるのとないのとではその次が全然違ってくる。ロビーコール。クリスとのリハはいいガス抜きにもなり僕は新鮮な気持ちで2人に会う。「よっ」お互いに挨拶もほどほどにBlue Noteバスに乗り込んだ。 「このバスいつもよりも大きいよね。」 ロスが座席を

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Days 2024 「まるで baggage claim で回る荷物のように・中編」

仮眠の後、リハが始まった。 翌日本番を行うホールの入ってるビルの別の階だ。トリオの面々は、会ってない時間分膨らました自己練習の結果をここで互いに確認する。3人の仕上がりは上々と見た。あっという間にリハは終わる。 夜はPND社長仕切りで「西鶴」(ネットで見つけた魚介の店)をおさえる。個室で思う存分堪能する。美味しかった。 たちなみが骨折しただけのことはある路上の異常なツルツルに気をつけつつ、トリオはよちよちホテルへ戻る。 「屋上の風呂へ行ってくるよ。露天風呂もあるんだよ

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Days 2024 「まるで baggage claim で回る荷物のように・前編」

師走とはよく言ったもので12月は本当に忙しかった。JCCIのDinner GALAやFCIの新春インタビュー。ツアーの準備や前倒しの忘年会など次から次へ。一つ終えて帰宅すると我が家のクリスマスツリーに少しホッとする。 でも心の中は目の前に迫るブルーノートツアーや年明けのソロツアーのことでいっぱいだった。あれもこれもと考えると焦って人間は失敗する。だから流れに身を任せてやれるだけをやり、あとは楽しく食べて寝るに限る。そう思って毎日を過ごしていたら、気がつくとあっという間にクリ

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2023年のベスト10「まるでラジオから流れてきた3分強の曲のように」

2023年のベスト10を振り返る時がやってきた。 「まるでラジオから流れてきた3分強の曲のように」と題してお送りする。 今年は粘った時だった。新しいことをいっぱい始めたし知らないことをいっぱい覚えた。新たに組んで仕事をする仲間が増えたし引いた目線でクールに人と関わることを覚えた年だ。63年生きて「学びがある」のはいいことだ。 大江千里はアメリカのPND REORDS所属のアーティストであり、その所属するPND REORD社長でもあるのが大江千里である。それぞれの立場により

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プチDAYS 「戦いの火蓋は切られた!」

JCCI( Japanese Chamber of Commerce and Industry of NYC )、いわゆる在米商工会議所の "39th Dinner Gala"での演奏が無事に終わった。 Info: 12/11 8pm performance starts, 700 guests, the Ballroom of the Hilton Midtown NYC 在米商工会議所のレベッカさんから夏前にメールをもらった。2023年という激動の年の終わりにアメ

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プチDAYS 「ツリーが宮殿にやってきた!」

ツリーが宮殿にやってきた! 「ちょうどいいサイズのいいのが手に入ったね。おめでとう。」 「ヒューヒューヒュー。」 「わ。素敵なんだけど。(パチンとウインク!)」 すれ違う人たちがそれぞれに言葉をかけてくれる。リアクションも。ツリーが宮殿にやってきた! 駅の近くの99セントショップでプラスチックのを買おうとずっと物色したり、もう今日こそ買おうと入店寸前でやっぱりもうちょっと考えようと思い直したり。そんな日々が切なかったんだけども。 ここ数年買ってる中国人夫婦の店には

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特別寄稿最終章 7 「EATALYへ」

[Sleep No More]への期待が高まっていただけに、コンセプトは面白いのに行われている芝居やその演出がゆるすぎてオジキは後半壁にもたれかかってため息。ついに「出口はどっちですか?」を連発、やっとの思いで外に出れた時、拷問から解放されたように心の底からホッとした。 Manry 曰く、 「やっぱり見終わった後にハッピーなんがあたしは好きやわ」 デビルオジキ曰く、 「と言うよりもNYUの演劇科の学生アルバイトですか? だよこのレベルじゃ。芝居のできないど素人に芝居を

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