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「放課後をとことん!その子らしく」を叶える、小さな森の学童。子どもの「やりたい」を実現する場、ゼロから一緒に作りませんか?

大阪府堺市の一軒家で、少人数制の民間学童を運営する「小さな森の学童」。子どもたちの「放課後をとことん!その子らしく。」をテーマに、子どもたち一人ひとりが安心してやりたいことに熱中できる学童保育を、2021年7月に開所した。

この度、事業拡大のため、新しくオープンする施設の運営を担うメンバーを募集しているという。「小さな森の学童」とはどのような学童施設なのか。なぜ始めようと思ったのか。そしてどんな人と一緒に働きたいのか。代表の戸倉恵利香さんに詳しく話を聞いた。


人の目を気にせず、やりたいことを思いっきりできる場を

「放課後をとことん!その子らしく。」というコンセプトで始まった、小さな森の学童。

今回お話を聞かせてくださったのは、代表を務める戸倉恵利香さんだ。明るい笑顔と、大阪生まれの関西弁で小さな森の学童についてたくさん語ってくださった。

お話を聞いた戸倉さん

戸倉さんは大学卒業後、一般企業での勤務を経て、フィリピンで日本人向けのオルタナティブスクールの運営や、学童保育での施設責任者を務めてきた。働く中で、学童保育のおもしろさと、学童業界の課題に直面し、社会問題をビジネスで解決するボーダレス・ジャパンのフェローに参加。2021年7月に、「小さな森の学童」を設立した。

学童保育とは、主に共働きの家庭の子どもたちが放課後を過ごす場所だ。子どもによっては、小学校で過ごす時間より、学童保育で過ごす時間の方が長いことをご存知だろうか?小学校低学年の児童が学校で過ごす時間は、年間1,200時間。それに比べて学童保育で過ごす時間は、長期休みも含めると1,600時間にものぼるそうだ。

学校や家庭より過ごす時間が長い場所だからこそ、子どもたちがなんでも話せてリラックスできる第2の家のような場所を作ることを目指し、「小さな森の学童」は設立された。この学童は、大阪府堺市内の閑静な住宅街の中の一軒家を借りて運営されている。

なぜ戸倉さんは、学童保育の事業を立ち上げたのだろうか?

「もともと、子どもたちの鬱や摂食障害というような精神疾患が年々増えていることに課題意識がありました。幼い子どもたちは、自分がもし悩んでいたとしても自分自身で気づくことが難しく、大人が気づける環境づくりが必要です。どうしたら子どもの精神疾患を予防できるだろうかとあれこれ考えた結果、子どもたちが人の目を気にせずに、自分のやりたいことを思いっきりできるような場を作り、家族以外の第3者がその様子を見守る場が必要だという結論に至り、学童保育を立ち上げました。

学童保育であれば、学校や習い事のように『しなければならないこと』はありません。さらには子どもたちが過ごす時間が比較的長いので、ちょっとした変化にも気づいて、保護者の方とも連携が取りやすいことが、学童保育という形で事業を始めることにしたきっかけです」

小さな森の学童における1日の過ごし方はどんな様子なのだろうか。

「責任者のスタッフは、10時には出勤をしてその日の予定を考えたり、おやつを準備したりして子どもたちの帰りを待ちます。子どもたちは、早い日だと午後1時、遅い日は午後3時くらいに学校から学童に帰ってきます。帰ってきたら、宿題に取り組んで、おやつタイムです。おやつの後はゆっくり過ごしたり、遊んだりと思い思いの時間を過ごし、19時までの間に保護者の方がお迎えに来て帰っていくという感じですね。月に1回程度土日のどこかでイベントを実施することもあります」

小さな森の学童の特徴の1つに、一人ひとりの子どもたちがその日やりたいことを叶えるため、おやつを食べた後に「作戦会議」という話し合いの時間があるという。

作戦会議中の子どもたち

「おやつを食べた後少しすると、作戦会議の時間が始まります。この時間は、その日の学童での過ごし方を決めるための大事な時間で、各々が自分のやりたいことや、話したいことを話します。作戦会議の末、それぞれが今日やりたいことを決めてから、遊び始めます。工作、実験、アート、料理など、思い思いのことをして過ごす日もあれば、皆で一緒にイベントを企画して楽しんだりする日もあります」

子どもたちはその日やりたい、思い思いの活動に取り組む

小学生時代に学童保育を利用した経験のない戸倉さんだったが、知人に誘われる形でたまたまアルバイトとして学童保育で働いた。その際に学童保育の魅力に気づき、その後は正職員となってこの世界と関わり続けてきた。

昔も今も、子どもたちが自由に過ごすことができ、家庭とも密に連携を取り合える形で一人ひとりの子どもをしっかり見守れる点に、変わらぬ魅力を感じている。その一方で、課題にも直面したのだという。

子ども7人に対して、大人が1人。少人数保育が特徴

戸倉さんが直面した学童保育の課題とは、どのようなものだったのだろうか。

「現在の学童保育の運営基準を見てみると、例えば20人の子どもに対して大人1人という基準が設けられています。学童保育のように、子どもたち一人ひとりが思い思いに活動する場所で、1人の大人が20人もの子どもの様子を見守るのには限界があると感じました。学童を利用する保護者の方が年々増え続けている中で、待機児童を出さないための人員配置のように思えて…そのようなモヤモヤを仕組みで解決したいと思い、起業するに至りました。

この課題を解決するために、運営の仕組みを含めて、一人ひとりの顔をしっかり見られる人員の配置を工夫しています。例えば小さな森の学童では、子ども7人に対して大人を1人配置するようにしています。うちの定員は21人なので、最大3人の大人が配置されることになります。

なぜこのような配置にしたのかというと、一人ひとりのやりたいことを存分にサポートしたり、一人ひとりと向き合ってたっぷりお話しできるようにするためです。人員が十分に配置されていることで、学童に来た子どもたちがやってみたいと思ったことを、すぐに実現できる環境ができていると思います」

学童保育のニーズが右肩上がりに高まっている近年、保育にプラスして英語やプログラミングなどプラスアルファの習い事を売りにする学童が増えている。その一方で、小さな森の学童では、日々子どもたちの声を聴き、そこから工作・料理・アート・畑・イベント企画などさまざまな活動に展開させているという。子どもたちが思い思いの活動に取り組めるように、戸倉さんは一人ひとりが自分の“好き”に気づける環境づくりを大切にしているそうだ。

小さな森の学童を開所して2年、実際にこの学童を利用する子どもたちに、何か変化はあったのだろうか。

「こんなことを言ったらどう思われるかなと考えるよりも、自分のやりたいことをやりたいようにするためにどうしたらいいかを、子どもたちと日々考えてきました。その結果、子どもたちは学童に来始めた当初よりも、自分のやりたいことにまっすぐ向かって行動するようになったと感じています。自分のやりたいことだから、人に合わせたり人と比べたりしなくていい。そんな風に思ってくれているようです」

学童での体験により、自分の興味関心に気づいていく子どもたち

子どもを小さな森の学童に通わせている保護者からも、通わせてよかったという声が届いているそうだ。

「働く保護者の方は、放課後や休みの日にうまく子どものための時間をとってあげられないこともあるようなんです。でも小さな森の学童では、子どもたちの『やりたい』に耳を傾け、挑戦できる環境を整えているので、毎日いろいろなことにトライできます。

子どもたちはそんな毎日の様子をお家の人に話してくれたり、私たちスタッフも保護者に子どもの日々の様子を伝えているので、親が知らなかった子どもの一面を知れた、と言っていただくことも多いです。うちの学童を、思いっきり好きなことを楽しめる場所だと褒めてくれる保護者の方が増えてきて、とてもうれしく感じています。保護者の方による口コミが地域で広がって、通う子が増えてきてもいるんですよ」

子どもの声を聞く。比較や否定はしない

子どもたちの「やってみたい」を叶える環境をしっかりと整えている小さな森の学童だが、このような環境を作るスタッフには、どのような人がいるのだろうか?

「現在運営している大阪府堺市の学童施設には、アルバイトやインターンのスタッフもいれば、ボランティアの方もいます。子どもたちがさまざまな大人と出会ってほしいと考え、年齢やその人の得意なこと、キャラクターなどが全く違う人を採用するようにしています。工作だったらAさん、料理はBさん、勉強や実験はCさんという感じで、スタッフもそれぞれの強みや得意を生かして子どもたちと一緒に楽しく過ごしてくれています」

インターンやアルバイトのメンバーたち

ここで働くスタッフの方は、子どもと接する上でどのようなことを大切にしているのだろうか?

「まず、子どもの声を聞くことを大切にしています。作戦会議の場では、子どもたちがどんな意見でも言えるようにするために、スタッフへのなんでも質問タイムを設けて、話しやすい雰囲気を作っています。この質問タイムでは、子どもたちが大人に『宇宙に行ったことはありますか?』とか『UFOにぶつかったことがありますか?』など、ふざけた質問もしてくれます。すると普段は意見をあまり言わない子が、ふいにふざけて自分の意見を言ってしまうこともあっておもしろいです。本当に些細なことだけど、なんでもしゃべっていいんだと思える体験を作ることは大事にしていますね。

どんな意見でも大歓迎!

作戦会議で子どものやりたいことを聞くことに加えて、会議の前に子どもたち一人ひとりが、今の自分の気持ち・今日やりたいことを書き出す『きもちノート』というノートも用意しています。そのノートを書いていると、家庭や学校でどんなことがあったのか、皆の前では語られないような些細なことにも耳を傾けることができるようになります。

もう一つ、スタッフ間で共通認識を持って徹底していることが、比較や否定をしないこと。例えば、宿題一つとっても『Aさんはもう終わっているよ』という、人と比較するようなことは、いついかなるときも言わないということは、定期的に伝えたり振り返るようにしています」

子どもたちとの試行錯誤の毎日を楽しめる人と出会いたい

起業して約2年。いつも子どもたちのありのままを受け止め、「やってみたい」を叶えてきた小さな森の学童。入所希望者の増加により、戸倉さんは2024年度大阪府堺市内に新拠点を立ち上げるそうだ。それに伴い、学童の運営を中心になって担う正社員を募集している。

業務内容には、日々の学童運営とその準備のほか、保護者や地域、学校などといった関係者・関係機関との連携といった仕事もあり、まさに地域と一体となって子どもたちを育てる仕事だ。

最後に、戸倉さんがどのような人と働きたいかについて聞いた。

「ときには子どもと同じ目線で思いっきり遊ぶこともあれば、黒子になって子どもたちの遊びをサポートしたりすることも求められるので、子どもと大人という垣根なく子どもと関われる人が良いです。あとは、文化祭や運動会といったイベントを企画したり、盛り上げることが好きな遊び心がある人にとって、学童はおもしろい場所だと思います。

企画という話でいくと、2023年4月に子どもたちと一緒に地域のマルシェでスマートボール屋さんを出店したことがありました。子どもたちが景品を用意して、ゲームの値段を決めて、チラシを作って、本格的なお店を出したんです。このようなプロジェクトを形にしていくためには、皆で役割を分担する必要があります。子どもたちがそれぞれの役割を果たす中で、保護者の方も気づいていない、その子の意外な側面が見えてきて。そんな発見ができる学童は、やっぱりおもしろくて、大好きですね」

イベント出店に向けて会議中

子どもたちの状態やニーズが日々変わる中で、一人ひとりをじっくりと観察し、子どもに合わせた活動を仕掛けていく、小さな森の学童。試行錯誤の毎日がとても楽しいと、戸倉さんはうれしそうに語ってくれた。そしてそんな試行錯誤な毎日を一緒に楽しめる人と出会いたいのだという。

「私にとって、初めての正社員採用・初めての拠点拡大となります。私はこの事業を通して、新しい拠点を子どもたちが思いっきり好きなことに打ち込める居場所にすることはもちろん、保育業界で働きたい人が心から楽しく働けるようなモデルケースを作りたいとも思っています。毎日が0から1を作るチャレンジの連続。そんな日々を一緒におもしろがってくれる方!ぜひ一緒に働きませんか?」

【求人に関する問い合わせ先】
担当:戸倉 恵利香(代表)
TEL:080-7205-2835
MAIL:info@chiisana-mori.jp

「小さな森の学童」の詳細は下記のページから▼

取材・文:岩田 龍明 | 写真:ご本人提供