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お探し物は図書室まで

青山 美智子(著/文)
発行:ポプラ社
四六判 304ページ

ひと言でいうと『答え合わせ』の1冊でした。

2022年SENSE OF WONDERのテーマ
『本のある豊かな暮らし』
それってどんなもの?という答えを
垣間見せてくれたり、
はたまた、私が今こうやって生きていること
SENSE OF WONDERに関わっていること
その答え合わせをしてもらったような1冊。

もともと、今回は別の本を入れたくて
でも、なんとなく条件的に変えようとなり
ふと思いついた本。
実は、それまで読んでもいなくて
でもきっと好きな本だからと気になっていたら
『今』私の手元にポンと飛び込んできた小説です。

ーお探し物は、本ですか? 仕事ですか? 人生ですか?
 不愛想だけど聞き上手な司書さんが
 本と付録であなたを後押しします。ー

無愛想ではないけど、翠さんみたい。
そんなコピーのついたこの小説は
人生にちょっと疲れたり悩んだりした
老若男女5人が、とある図書室を訪れます。

21歳婦人服販売員
35歳家具メーカー経理部
40歳元雑誌編集者
30歳ニート
65歳定年退職

歳も性別も職業も
そして、悩みもてんでバラバラ。
でも、今の自分に満足していないことは共通。
そんな彼らに、図書室の司書さんは
スルリと彼らの悩みを引き出し
本を薦め、付録の羊毛フェルトを渡します。

彼らに、直接人生のアドバイスを
したわけではない。
劇的な解決策が提示されたわけではない。
なにかの『気づき』につながるような
本を薦めて、あたたかく見守っただけ。

この本の登場人物は全部『私』でした。
そして、そんな『私』を丸ごと受け入れてくれるような
安心感とあたたかさがありました。

近所に同世代の子どもがいなかった幼少期
はじめて同年代のコミュニティにふれて
息苦しかった学生時代
とにかく居場所がほしかった20代
仕事ができたら生きてる価値があると
がむしゃらに仕事をした30代
自分の幸せってなんだ?と立ち止まった『今』
これから歩む40代からその先

これまでの私の悩みや不安は
この小説の登場人物の悩みや不安でした。
ああ、私こういうことで悩んでいたわ。
こんな生活送っちゃってた。
そして、これから先この小説の登場人物のように
悩むのかなあ。

でも、その時々の自分があるから
『今』の自分があるわけで
今となっては悩んでいた自分も愛おしく
そこから勇気をだして前に進んだことも
誇らしく思うのでした。

最近とにかく、私もSENSE OF WONDERも
ワンネスなことが多くおきます。
もうびっくりするくらいに、
すべてのモノコトヒトがつながっている。

その答えになるような一文がありました。
図書室の司書の小町さんは、本と一緒に
付録として、それぞれに羊毛フェルトでつくった
ちいさなマスコットを渡します。
そのマスコットは、登場人物たちに何かを
気づかせるきっかけになるので、
『どうやって選んでいるの?』と尋ねると
それは『適当』だと。『インスピレーション』だと。

ーでもね、私が何かをわかっているわけでも、
 与えているわけでもない。
 皆さん、私が差し上げた付録の意味を
 ご自身で探し当てるんです。
 本も、そうなの。
 作り手の狙いとは関係ないところで、
 そこに書かれた幾ばくかの言葉を、
 読んだ人が自分自身に紐づけて
 その人だけの何かを得るんです。ー

SENSE OF WONDER
世界の不思議は、私たちの周りに
あふれています。それこそ、そこら中に。
気づける自分であること。
それこそが、悩みを抜け出し
幸せだなと感じれる自分になるための
秘訣なのだと思います。

まったく、嫌なことがない人も
悩みがない人も、疲れない人もいません。
でも、それをそういうことがあったけど
こんな素敵なこともあった
優しい人がいた、美味しいもの食べたと
幸せに目を向けられる人が幸せ。

なんだか本のレビューとは
少し離れてしまいましたが、
そんなことに気づかせてくれる
私にとっては『答え合わせ』の1冊でした。
きっとこの本のなかに、『あなた』も
いるんじゃないかな??
一緒に『答え合わせ』いかがですか?

そして、これからもずっと
この小説の図書室みたいな
SENSE OF WONDERでありたいなと
心から思います。

サガちゃん

SENSE OF WONDER on-line shop


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