とっておきの毎日の中で

 とっておきの毎日の中で、僕は時間が許せない。流れるのは雲や時間だけじゃなく、車や嫌な出来事、血や涙だって。その中で一番流れて欲しくないのはやっぱり時間だ。毎日は特別だ。この1分は二度と流れない。だから、本当は徒然なる毎日なんて存在しない。不可逆の毎日は、確実に流れている。僕がどれだけ頑張っても、それを止めることはできない。僕達は、スマホを与えられ、インターネットを与えられ、従って天文学的な情報を与えられた。それらを処理するには時間が足りず、遂に僕らは諦めることを覚えてしまう。だから、本当は存在しないのに、徒然なる毎日は、捉えようによっては確かにあるみたい。それは僕達のせいではなくて、時間のせいなんだ。だから、僕はとっておきの毎日の中で、時間だけが許せない。

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