見出し画像

空っぽのプシュケー

あの子は自分の空洞に気づいた途端
さびしさを知ってしまったらしい

胸の空ろを
花や宝石 夢物語で埋めようとする
あの子を哀れに思う人もいるだろう

ひとりぼっちで かわいそうなプシュケー

けれど
きみが手向けたものたちは 
身体の中 渦になり
傷ついて 癒着して
きみのための神話を紡ぎ続けている

きみの小さな宇宙

《空っぽのプシュケー》
ミリペン・透明水彩・色鉛筆/2019年

Comment
2019年に開催された二人展のために制作した作品です。
展示の題に「慈しみとプシュケー」とつけて頂いたので、そのイメージを膨らませた作品となりました。
ギリシャ神話に登場する乙女プシュケーは、名前の由来の通りに、魂の例えとして用いられることがあります。体は空っぽの入れ物だとしても、心や魂があるとしたら、それは自分自身で選び取ったもので埋められたら良いのにという思いが、作品のアイデアとなっています。

※noteでの公開にあたり、詩を発表時より少し編集しました。