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#5 令和の今、昭和レトロに癒されて(太平館 大倉山)/町に出よう 銭湯浸かって 湯上りはしご酒

辿り着くまで 不安に襲われ 入ると落ち着く太平館

その昔、綱島駅は綱島温泉駅と言う名だったらしい(東急が自社で温泉浴場を運営していたこともあったと史料には記されていた)。仕事関連で大倉山を訪れる機会を得て、近くの銭湯を調べる際に知った。かつては、80軒もの宿泊施設があり芸者も300人という規模だったとのことで、東京の奥座敷と言われていた時代もあったが、そんな時代も、今は昔で、2008年をもって、宿泊施設自体はゼロとなり綱島温泉(樽町・大曽根)にある温浴施設(銭湯)も数えられる程度となってしまったとのこと。

今回、僕は現存している中で、独特の渋さを放っていた「太平館」さんへと足を運んだ。

「太平館」さんへは、東急東横線 綱島駅から徒歩15分前後 大倉山駅から徒歩10分強程と、ちょうど、綱島駅と大倉山駅の中間地点に位置し、住宅街の中にあり、注意をして歩かないと分からない。少し奥まったところに、暖簾を掲げている。入口付近から暖簾が見えた時に、「えっ、本当にやっている。」と思わず、声をあげてしまった。衝撃度具合で言うと、初めて黒澤明監督の「羅生門」を見た時に近い感覚。

桃色、花、敬老の日カード

暖簾を見てから、中の灯りを確認出来た時の安心感は半端なかった。それほどまでに恐れ多い、入口の崩れ具合だった。ただ、そこで踵を返すことなく、暖簾をくぐるとそこは、別世界があった。新しく整えたと思われる昔懐かしい木の鍵の靴入れ。脱衣所は天高で、キレイに整理整頓がされている。

浴槽は、3つほど、泡の出る座風呂が1槽、黒湯が2槽のみとなっているが、その分、体を洗うスペースは広く確保されており、カランの上には、北欧を思わせるタイル画(メルヘンタイルと僕は呼んでいる)があり、ちゃんと鏡には、鏡広告が入っている。

ちゃんと調べた訳ではないので、今までの経験則にはなってしまうのではあるが、メルヘンタイルがカランの上にある銭湯のペンキ画は、富士山が多い様に感じる。「太平館」さんのペンキ画は、三保の松原を描いたとのことだった。

黒湯に5分ほど、浸かっているとじんわりと汗をかいてくる。そうしたら、カランで桶に水を溜めて、手首と足首を冷やし、少し休憩をする。その様な感じで30分ほど温冷交互浴を楽しんだ。

太平館さんについて詳しくはこちらから

湯上がりには缶ビールとお肉屋さんの美味しいコロッケを

湯上がりに、KOMBUCHAで水分補給をしていると、常連さんが美味しそうに缶ビールをプシュと開けていた。僕も堪らずに、番台に座っていたお母さんから、麒麟一番絞りをいただくことにした。価格は220円。僕は飲みたい気持ちをグッと抑えて、僕は商店街にあったお肉屋さんでコロッケを買い、ビールと一緒に最高のひと時を楽しもうと心に決めた。

桃色、花、敬老の日カード-2

昔ながらの風貌のお店。店頭にいた、おばちゃんは、向かいにある洋服店の女将さんまで連れてきてくれて、お話を聞かせてくれた。すっかり、写真を撮ることを忘れてしまった。コロッケ1個だけと言うのが申し訳なくなってしまい、マカロニサラダも買ってしまった。実は僕、お肉屋さんのマカロニサラダとポテトフライが大好きなんでね。

コロッケは、昔懐かしい味がして、あーこれこれ。と言う感じ。すごく美味しいと言う訳ではないけれど、なんだか心と身体が喜ぶあの感じ。ビールにはとても合った。

初めてなのに、何故だか懐かしい もつ肉店

桃色、花、敬老の日カード-3

今回の最終目的地、大倉山もつ肉店。事前情報で大将が無愛想でおっかないと聞いていたが、そんなことはなく、ただ仕事に真剣に向き合っているからこそ、その様に捉えられてしまうんだろうな。と僕は思った。「太平館」さんもそうだったのだけれども、こちらもBGMはなく、静かな環境でゆっくりと過ごすことが出来る。常連さんも優しく、とても良い距離感。

桃色、花、敬老の日カード-4

肝心のもつ焼きは、タレが焼き目と相まって、ビールにとても合う。季節限定の銀杏は、ほっくりとした焼き上がりで、1本150円はとても良い。今回は、残念ながらもつ煮を食べることができなかった(木・金曜日限定)が、それを食べにくるだけの為に大倉山に来ても良いなと思えるお店であった。

もつ焼きでコッテリとした。口を漬物でさっぱりとさせてから呑む熱燗も、これまた美味。

大倉山もつ肉店について詳しくはこちら

今回訪れた、いずれの場所もいつまでこの形で営業をしているのか分からない場所で、だからこそ、今訪れてみて、記録と記憶に残しておくべき場所だと感じた。

と同時に、建物の歴史をどの様に活かして、町を発展させていくのかと言うことは、とても難しい課題でもあると言うことも感じた。銭湯からのはしご酒であった。

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