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私は「デザイン思考」って言い方が好きじゃないっていう小話

「デザイナーのように考える」と唄ってるデザイン思考とは、一部のデザインを知ろうとしてるビジネスサイドの人たちが作り上げたデザインの概念で、果たしてそれはデザイナーの考え方なのか?

もちろん「デザイン思考」の内容は素晴らしいと思うし、価値があると思う。ただデザイン思考の内容をのぞいてみると、デザインという言葉をネーミングに使ってるのに、デザインとはかけ離れているのではないかと感じる。

IDEOの創業者デビッド・M・ケリーは
「By using design thinking, you make decisions based on what future customers really want instead of relying only on historical data or making risky bets based on instinct instead of evidence.(デザイン思考を使用すると、履歴データだけに頼るのではなく、証拠ではなく本能に基づいてリスクのある賭けをするのではなく、将来の顧客が本当に望んでいることに基づいて意思決定を行う。)」
と語っている。
(https://www.ideou.com/pages/design-thinking)

確かに証拠を通して「来の顧客が本当に望んでいること」にたどり着けるかもしれない、ただ、デザイン行為の中で最も価値があるのが実は「 based on instinct instead of evidence(証拠ではなく本能に基づく)」ことだと、私は信じている。リスクのある賭けっていう表現が気にくわないけど、デザインの力とは無数の経験の元それが本能になり飛躍できるところ、つまりアブダクションだと、学んできた。
向井周太郎『デザイン学:思索のコンステレーション』 https://www.musabi.co.jp/books/b163190/)

論理的推論には3種類あってそれが演繹、帰納、アブダクション。
弊社の入社推薦書 川喜田二郎『発想法: 創造性開発のために』の第1章にも記載されている。
(https://www.amazon.co.jp/dp/B07PMC128C/ref=dp-kindle-redirect?_encoding=UTF8&btkr=1)

無数の経験というのは証拠(事実・真実を証明できない)にはならないが、アブダクションを発動させる前提条件である。デザイン思考は「デザイナーのように考える」ということを唄いながらデザインの核心「アブダクション」を否定してるように感じる。

細かく説明するとアブダクションは無数の証拠の上に直感で仮説をひらめく論理的推論だけれど、「デザイナーのように考える」デザイン思考のフレームワークは、肝心の直感による仮説のひらめきに関しては「リスクのある賭け」と言い回している。

本当のデザイン思考は「積み上げられた多数の経験を元に、直感でひらめく思考」ではないのか。

デザインの価値はアブダクションにあるし、だからデザインは飛躍ができる。
ここの「デザイン思考」はデザインとは全く逆の考えだ。

でも今の「デザイン思考」にはすごい価値のあるフレームワークがいっぱいあるし、素敵なもの。
ただ名前が気に食わない。
どうすればいい?名前を変えちゃえばいいんじゃないのか。

「デザイン思考」じゃなくて、「顧客が本当に望むことに基づく意思決定思考」って名前にしたらいいんじゃないか。
「デザイン経営」も、「顧客が本当に望むことに基づく意思決定経営」で。

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