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 はじめてアニソンライブに行って思ったこと

先週、アニメのライブイベントを見に行ってきました。行ったのはシャインポスト「TINGS LIVE JOURNEY ep.02 “Re-Live” with HY:RAIN & HOTARU」。会場は中野サンプラザです。

今までアイドル系のライブは運営に知り合いがいたグループのライブに数回行ったことはありましたが、アニソン系のライブイベントというのは初めての参加です。今やアニソン自体の人気上昇やアイドルアニメの隆盛もあって多くの歌手が参加するアニサマの様な大きなライブや、今回のように作品世界とリンクしたイベントが多くなりました。

今回のライブはアイドルアニメをモチーフにしたリアルライブということで漠然としたイメージはあったのですが、開催直前に声出し解禁のアナウンスもあり、実際に会場で体感するとやはりライブとしての迫力やエンターテインメントとしての楽しさに圧倒されました。年甲斐もなく思いっきりペンライトを振り回してしまいましたが、せっかくのイベントは楽しまなければ損ですからね。周りにも明らかに自分より年上の方もちらほら見かけたのでまだ10年くらいは行けそうです。
ライブの内容は異常な熱量で書かれたレポ記事があるので、興味のある方はそちらをご参照ください。

今回のライブのモチーフになっている『シャインポスト』という作品は昨年夏期クールに放送された全12回のアイドルをテーマにしたTVアニメ作品ですが、作品全体はコナミストレートエッジが企画するメディアミックスプロジェクトで2021年にスタートし、小説、アニメ、ライブ、ゲームと多方面に展開しています。本丸は今後ラウンチされる予定のゲームですね。ビジネス的に見てもかなり大きなプロジェクトでしょう。
アニメーションの制作はPVの時からスタジオ櫂さんが担当しています。同スタジオの作品としては大ヒットしたCygames『ウマ娘」をアニメ化した『ウマ娘 プリティーダービー Season 2』が有名です。監督も『ウマ娘」と同じベテラン及川啓さんです。自分も好きな監督で作品を追いかけています。

アニメのライブは基本的に作品でバックストーリーが設定されているのでライブ体験だけでなく同時に作品の物語を体験する構成が可能になります。実際このライブも”追体験”がテーマになっており、タイトルの“Re-Live”にその意味が込められています。本ライブでも開始前後の「影ナレ」からセットリストまで、ファンにはおなじみの作品世界とストーリーに沿った構成になっており、また舞台セットも作中の意匠に合わせたイメージで作られていました。ライブ自体の良さだけでなく作品の世界観をバックボーンにライブの魅力を盛り上げられるというのはアニメ作品のライブならではですね。
アニメの聖地巡礼もこのような追体験を楽しむものだと思いますが、その意味ではライブも一種の聖地巡礼のように機能しているんだな、と思いました。
そもそも今回の中野サンプラザという会場自体が作品中では最終回で主人公たちが立つ舞台として最終目標に設定されているので、参加した観客全体に聖地としての意識は刷り込まれています。
また今回の特殊条件として中野サンプラザが今年中に解体され、無くなってしまうという事実もこのライブの希少性とモチベーションを上げる仕掛けに一役買っています。これが別の会場であったらここまでの雰囲気にならなかったでしょう。
聖地巡礼はアニメというレイヤーを通して見る現実に対する体験ですが、今回は現実のサンプラザの舞台で歌う演者の後ろのスクリーンにはキャラクターが同じサンプラザの舞台で同じ楽曲を歌っている劇中のシーンが映し出され、それが現実のサンプラザの舞台で行われている舞台とシンクロしているという複雑なレイヤーを通した体験が観客にフィードバックされるという構造になっていて、ただそこに居るという感覚を超えたひたすらエモーショナルな実感がありました。
他のアイドル系のライブでもモニターに映し出されたキャラクターとリアルをシンクロする演出はありますが、今回はその場所性と今回のみという希少性もあって一段とその効果が高かったように思います。

出演者のみなさんのパフォーマンスも素晴らしかったのですが、”物語”があるライブでは観客との間にそのキャラクターというレイヤーを挟んだある種の二重性をまとって舞台に立つわけですが、役になりきるのとは違うジャンルにどういったモチベーションで挑まれているのか興味のあるところです。
*3/18追記
今回のライブに出演されていた中川梨花さんがblogにライブに向けた気持ちを綴られていたのでリンクを追加しました。

パフォーマンスは素人の自分でもわかる難易度の激しいダンスをこなしながらの歌唱でフィジカルから伝わる迫力が遠くの席でも届いてきました。
この作品のキャストの皆さんは声優さんだけでなく、現役アイドルやタレント、舞台俳優など異なるフィールドから集まっていて、それも舞台映えに一役買っていたのかなと思います。これもメディアミックス戦略ならではの効果といえるかもしれません。観客もそれぞれの演者さん達のファン+作品のファンという構成になっていたようで、Twitterで拾った限りでも意外とそれぞれの応援スタイルに差があったりと客席もミックス状態のようでした。自分は二階席からの鑑賞でしたが、確かに舞台全体を見渡していると最初の方はライトの振り方や盛り上がりにもばらつきがあってそういうものかと思っていましたが後半になるにつれて徐々に統一感が出てきたように見えました。そもそもライブでは初公開の曲がほとんどなのでコールなどもまだ統一されたものが無く、手練のファンも様子見でということもあったんでしょうね。

今回アニメのライブは初めての参加でしたが、アニメの楽しみ方もファン層も多様化していることを実感する機会になりました。作品そのものを楽しむだけでなく、聖地巡礼やコスプレ、今回のようなライブまで今やファンはそれぞれ違ったレイヤーで独自のクラスターを作っていろいろな方法でおもいっきり楽しんでいるんだと。
私は作る側の人間ですが、これからも多くの人に長く楽しんでいただけるものを作れたらと思います。
そしてまた機会があればライブイベントも足を運んでみたいと思います。

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