2023年4月18日、契約書開示ニュルンベルク訴訟結審。
2022年4月から続いていたので、およそ一年にわたる地裁での法廷でした。一年前に比べればワクチン神話は崩れ、あとは一人一人の国民の意識の問題という次元になってきている気もして、去年の絶望的な状況よりはましになっているようです。
主張のポイントの一つ目は、最後の法廷の意見陳述は、スモン・サリドマイド・薬害AIDSという誓いの碑に書かれた薬害の過ちが再び繰り返されたという事が薬事承認とその運用、過去の薬害判決から主張されています。
スモン判決は薬事法(現在の薬機法)について、薬害AIDS判決は厚労省の犯罪成立について、今回の薬害についても参考にすべき法的判断と考察できます。
もう一つのポイントは、契約における生命を侵害しない義務という法的論点で、民法の近江幸治教授と刑法の川端博教授の法的著作が引用されています。
民法については、契約が生命を侵害してはならない義務があるという基本原理について信義に即した契約と、公の秩序を契約は守らなくてはいけないという原理から導かれています。
刑法については、契約は生命を保護する刑法的義務を生むという理論(形式的三部説)が主張されています。
契約と生命を侵害しない義務については、ニュルンベルクからの主張もなされています。ニュルンベルク綱領を契約において無視することは人道に対する罪です。
ポイントの3つ目は、ワクチンの免責契約は需給のひっ迫、国民の生命の危険という緊急事態において予防接種法法で国会の議決を経ないで締結できることになっていますが、それは緊急事態条項がない日本国憲法において、憲法85条の解釈の「翌年度以後に継続すべき国の負担を生ずる契約に付いては」国会の議決が必要であることに反するという主張がなされています。
最後だけあって、法律的な主張の量が多くなってます。この訴訟は法律的に契約書の意義を問う争いが行われていました。
以上をふまえて、最終意見陳述。五分時間をもらって量があったので倍速モードで読んでます。判決は七月。相手が相手だけに控訴へGOかな??
「契約書の条項をいくら機密契約で隠蔽しても、生命の尊厳は隠蔽できない」
すべてが問題だけど、僕たちが憤りを感じるのはまさにこのことです。
参考文献
近江幸治「民法講義Ⅳ債権総論」
2009.2.20 成文堂
川端博「刑法総論講義」
平成7年11月10日 成文堂
橋本博之・櫻井敬子「行政法 第6版」
2022年3月15日 弘文堂
美濃部達吉 「新憲法逐条解説」
昭和22年7月15日 日本評論社