ゴジラ-1.0と侘び茶の共通点

3月11日、アメリカで第96回アカデミー賞が発表されました。『ゴジラ-1.0』が視覚効果賞を受賞し、アジア圏の作品として初めての快挙だそうです

視覚効果の素晴らしさはもちろんのこと、海外の映画関係者を驚かせたのは、制作に関わった人数や制作費、そして制作期間です。予算も技術も人手も潤沢にあるハリウッドの制作会社とは桁違いに少なかったからです

VFXを担当したのは、ゴジラ-1.0の山崎監督が所属する「白組」でした。彼らの情熱、知恵、工夫、そして努力がさらに感動を呼び起こしました

この感動は茶道の「侘び茶」にもつながります

“侘ぶ”とは、もともと自分に置かれている状況がわびしいことから、気落ちする、辛く思う、寂しく思うといったとてもネガティブな言葉です

つまり、自分のおかれている環境が恵まれていない、理想とは程遠いことをなげいているのです

しかし、足りないながらも招いた客に今あるもので誠心誠意、最大限におもてなしをすることで新たな美意識が誕生しました、それが「侘び茶」です

全てが揃っていないから足りないものは別のもので代用する事で面白さが生まれ

給仕する人手が足りないから亭主が一人で自らおもてなしする「一客一亭」の精神が芽生え客と亭主の心と心の交流へ昇華され

使い込んだ古びたものでも清潔に大切に手入れされている道具や茶室はきらびやかで豪華なものにはない奥深さや味を感じるに至りました

これらは簡素で質素だから出せる感動です

利休さんのたった二畳の茶室にはじめて訪れた方は宇宙のような奥深さを感じたといいますつまり、大名茶のような大広間で唐物に囲まれたものより底知れる奥行きを与え、強烈な感動を与えたことになります

ゴジラ-1.0の日本初の快挙のニュースを聞いてふとそんなことを思いました


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?