品品喫茶譚 第27回『今出川 キャンパス』
その喫茶店はいつも通る道の近くにあったにも関わらず、ずっとスルーしていた。というか存在自体が目に入っていなかった。一緒に行った彼女に聞くと、一時期閉店していたこともあるらしく、なるほどそれでは気づかなくてもおかしくはなかった。しかし、私のそのときの感覚からすると、そもそもそこに喫茶店があったという認識すらなく、もっと大げさに言えば、いきなりそこに喫茶店が現れた、と言っても過言ではなかった。過言ではなかったので、私は「こんなところに喫茶店あったんだあ」などと間抜けな声を出し、彼