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【ACVI】考察に満たない諸々

本稿では、ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICONのプレイ感想の代わりとして、シナリオの諸々の情報をまとめたり考察したり妄想を付け加えたりすることとする。
当然ながら本編3週目までのシナリオ、および全ログのネタバレを含む。未クリア者には「自分のペースでじっくり楽しんで来い」未購入者には「こんな記事読みに来る時点でお前は負けているのでさっさと買ってこい」ということでお帰り頂きたい。なお覚えている限り情報の出どころは記すが、本格的な考察ではないので頑張って調べまわったりはしない。

1.コーラルって何なの?

作中で言及された特性を挙げてみる

・エネルギー資源である。(公式サイト)
・石油のように火を付ければすぐ燃える訳ではなく、例えば熱が一定の温度に達すると連鎖的に燃えるような酸化反応に近い性質がある?(シンダーのザイレムに関する説明)
・情報導体としても利用できる。
・「脳深部コーラル管理デバイス」の埋め込みによって第4世代強化人間を製造できる。(公式サイト)
・ナマでイくとドラッグになる。(公式サイト)
・食料にもなる(ムック本)
・概ね水っぽい形態(集積コーラルミッションのエア「この湖全てが……!」、BOWS工廠の「湧出現象」)だが、空中を漂ったり(ウォッチポイント襲撃後)もする。
・空気中を漂っている状態は人体に有害(ウォッチポイント襲撃後)
・不活性状態もある(情報ログ)
・ミルワームを育てるのに必要(情報ログ)
・本能的に集まろうとする習性がある(ウォッチポイント襲撃後ムービー)
・勝手に増える
・密度が高いほど増える速度が指数関数的に早くなる
・ので、放っておくと増えすぎて危険
・電気パルスによって上記の習性を利用して指向性を持たせることができる(REDSHIFT等説明文)
・コーラルの間で生じた「波形」によって人格さえ構成できる(海越え後のエアの自供)
・Cパルス変異波形(コーラル人間)は主人公(≒旧型(コーラル利用型)強化人間?)と「交信」できる。「交信」はジャミングの影響を受けない。(ザイレム調査ミッション)
・Cパルス変異波形はハッキングが得意。オーバーマインドのサーバーさえハックして見せる(3週目アリーナ)。
・Cパルス変異波形は複数いる(ドルマヤンの随想録)

コーラルとは「空飛ぶ電気粘菌」である

事前情報の時点でテングノムギメシ的なイメージがあり、ストーリーを進めていく中で粘菌コンピュータの話が想起されてこの発想に至った。結論ありきで書いてしまうが、私の考えるコーラルの特性は以下だ。

・大型の単細胞生物、ないし粒上のごく単純な多細胞生物である。
・可燃性。
・電気パルスを発する能力を持ち、特に同種のパルスを受け取ると連鎖的にパルスを発生させる特性がある。
・上記能力が疑似的にニューロンと同様の働きをし、一定以上の密度ではニューラルネットワークを構成、人格さえ発生させる。
・人格はある程度意識的に個別のコーラルを操れるため、一定量のコーラルを抱え込んで自己を存続させることができる。これをCパルス変異波形と呼ぶ。
・静電気か何かによって空中、更には宇宙空間さえ浮遊して移動することができる。
・電気パルスによる自覚的なニューラルネットワークであることから、既存の電気ネットワークに接続、ハッキングできる。
・一部神経系をコーラルで置き換えることによって反応速度、精密性を向上させることができる、これが旧型強化人間である。

コーラルについては作中で結構説明されているのでそんなに突飛なことは言っていないはず。

2.皆なにがしたかったの?

星外企業たち

基本的には全員がコーラルの確保を目的としている。コーラル関連技術とその代替技術で様々な分野が大きく進歩したらしいので、「あの青春をもう一度」といった趣か。

大豊:
ベイラム陣営のフロントとしてルビコン進駐を仕切っていたはずが、壁越え辺りから本社が出張ってきた。テスターパイロットはオモチャにされるしグレバズはメリニットにお株を奪われるし散々である。ただしそのおかげて621の暴挙の被害をあまり受けずに済んだ、のかもしれない。

ベイラム:
ミシガンを擁しておきながら壁越えに失敗するなど当初から用兵のまずさが見え隠れしている。ウォッチポイント・アルファ突入直前というラストスパートをかけるタイミングで、アーキバスに「艦隊をくれてや」る(アイスワーム戦前通話)という政治的な失点を犯しそのまま挽回できずにフェードアウトする。悲しい。

アーキバス:
順当に作戦を成功させ続け、方々でうまくやっていたのに最後には台無しにされるかわいそうな人たち。ルビコンの解放者ルートでは棚ぼたで何とかなった風だが、恐らく本編後に621とエア率いる解放戦線にバスキュラープラントを落とされている。

シュナイダー:
大豊と同じくアーキバスのルビコンフロント企業だが、どうも絆されてしまったらしい。ルビコン解放戦線ミドル・フラットウェルのコネが人事部に残っている(ミドルのアリーナ説明文)あたり、解放戦線派の人間が結構入り込んでいるのでは。ファーロンと共にエルカノに技術提供し(通信ログ)ALBAフレームを開発、アーキバスを裏切る形となる。出資元を裏切るって企業の信頼ボロボロじゃない? 今後やってけるの?

ファーロン:
コーラル争奪戦には関与していない。とにかくミサイルとブースターを作っていられれば満足。エルカノのフレームがよく飛びそうだったので技術提供した。(通信ログ)

タキガワ・ハーモニクス:
コーラル争奪戦には関与していない。
惑星封鎖機構とレッドガンズがパルス防壁を多用していたので大きく顧客を増やした。

メリニット&VCPL:
炸薬爆発花火炸薬爆発花火炸薬爆発花火炸薬爆発花火炸薬爆発花火
プラズマプラズマプラズマプラズマプラズマプラズマプラズマプラズマ
コーラル争奪戦には関与していない。

ルビコンⅢ陣営

ルビコン解放戦線:
よくいるゲリラ枠よりはいくらか重要な位置にいるとはいえ、彼らがルビコニアン全ての代表者でないことには留意したい。終始ボロボロだったがルビコンの解放者ルートではきっと奮起して621と共にアーキバスを追い出しただろう。ドルマヤンおじいちゃんが何か言っているが、みんな聞き流している。

帥父ドルマヤン:
恐らくCパルス変異波形と交信しており(セリア?)、意外と重要な位置にいる。「コーラルよ、ルビコンの内にあれ」「賽を投げられずにいる」等々、コーラルリリースの実績名「賽は投げられた」と合わせて考えると「リリースの選択肢を与えられながらルビコン川を越えられなかった人」という立ち位置。「全ては消えゆく余燼に過ぎない」というセリフから察するに、消極的オーバーシアー派だろうか? 1・2週目では解放戦線の総帥として戦い、3週目ではオールマインドが621に目を付けたのを察してか抹殺にかかる。

BAWS:
ルビコン企業。通信ログから、利益の一部をエルカノに回して反撃の機を窺っていたらしい。

エルカノ:
実はルビコン企業。ファーロン、シュナイダーから技術提供を受けた機体を解放戦線に卸すことで状況を打開するつもりだったらしい。オールマインド的にはバスキュラープラント建設までは状況打開されると困るので手を回して差し止めていた(3週目アリーナ説明文)……とするとこれは結構な性能だったのだろうか。解放者ルートラストの異様な解放戦線の盛り上がりもこのALBAフレーム(+MTとかも作ってたかも)の力によるものだったりして。

ラスティ:
おそらく解放戦線メンバー。少なくともルビコン側に肩入れしている。

スパイとして解放戦線を手にかけたりしつつ、621がこの星の命運を左右することに感づき真意を確かめようとする(チャプター4)。チャプター5ではいずれもALBAフレームに乗り換えルビコンⅢ陣営のエースとして戦う。

惑星封鎖機構:
真面目に仕事をしていただけなのにボコボコにされた被害者。宙域封鎖の他各コーラル関連施設にSG(サブジェクトガード)を配置してコーラルと関連技術を封印していたが、ベイラムとアーキバスが滅茶苦茶やるのでブチギレ。技研から接収していたアイスワームを持ち出したあたりからケチが付き、最終的にアーキバスにおいしく頂かれてしまった。企業間条約によって制定された公的組織ということなので、全条約締結企業で鍵を持ち寄らない限り最上位命令を書き換えられないシステムだったりするのだろうか。それが……おそらく自身でLC/HCの開発すら? 怖い。
同じくAIっぽいオーバーマインドとは関係ないのだろうか。

オーバーシアー陣営

ウォルター:
617達を使ってなんかやり(ストーリートレーラー)、ルビコン行きの切符をゲット。その後虎の子の621を起こしてルビコン強硬突入。(本人は衛星軌道にでも居たのだろうか? 海越えの前後の言動的には現地にいて長距離移動もしてるっぽい雰囲気だが)独立傭兵レイヴンのマネージャーのフリをしながらコーラル探査レースに食い込んでいく。企業の先鋒として集積コーラルに到達したタイミングで発火(あれ、だったら621死なない?)させるつもりだったがスネイルないしオーバーシアーに一手上を行かれることになる。解放者ルートでは再教育を経て621の前に立ちふさがるが、コーラルリリースルートでもHAL(ふざけた名前だ)に乗っているあたりこの機体は自身の切り札として確保していて、再教育センターから脱出→脳に刻み込まれたアーキバスの命令と戦いながらHALに搭乗して621を止めに発進→意識混濁状態で戦闘……という流れだったのかも。
オーバーシアー筆頭……の筈なのだが、ことあるごとに友人からの依頼、友人の遺志と強調しておりコーラル爆発の阻止というより「大切な人たちとの約束」を動機にしている節がある。空っぽの男、絆の器、「意味を与えられた者」。レイヴンの火ルートの621と同じだ。解放者ルートでは最期に「621が友人と約束したこと」なら自分の「約束」と等価だとして「ならそっちを残してもいい」と銃を下ろした、ジノーヴィーから続く「勝者が正義」の優しい再解釈……いい。
巷では第一助手の息子説が最有力。ログ全収集を経て私としてもそっちの方が収まりがよさそうに感じているが、改心した第一助手本人説も捨てがたい。だって空いた息子枠に621が入るから。

RaD:
楽しくコーラルをキメて他のドーザーと小競り合いをしていたはずが、皆してシンダー・カーラ大好きだったがために兵器開発会社化した挙句、オーバーシアーの鉄砲玉として総玉砕することになる。

シンダー・カーラ:
オーバーシアーの先鋒以外全部担当。推定第二助手だが、RaDの面々は"おしゃべり"じゃない奴、"正直"じゃない奴に"無敵"じゃない奴が揃っているので、彼女も灰被りではない第二助手の後継とする説がある。どちらも決め手に欠ける。
彼女の使命遂行への熱意はどこから来ているのだろう?

独立傭兵

ブランチ:
キング、シャルトルーズ、オペレータ、レイヴンの4人。ちなみにハクティビストとは政治的主張の為にハッキングをする人のことらしい。レイヴンの自由云々と合わせて考えると違法ジャーナリストかアナーキストの類か。
ルビコンⅢでのコーラル残存を星外企業にリークした張本人。単に戦乱を起こして仕事を作りたかった、という説を省いて(つまらないので)理由を考えてみる。作中でブランチが敵対した陣営は
・ルビコン解放戦線(多重ダム防衛)
・アーキバス陣営(宇宙港防衛)
・オーバーシアー(リークにより間接的に)
・惑星封鎖機構(リークにより間接的に)
つまりベイラム陣営!……ではなく、オールマインド陣営と考えるのが一番しっくりくる。星外企業のルビコン進駐によって一番利益を得たのはまんまとコーラル吸い上げに成功した世界線のアーキバス以外では、コーラル圧縮に使うバスキュラープラントを建設してもらったオールマインドである。コーラルリリースはカオス状態への移行ともいえるので、自由意思の表象とかいう二つ名とも適合する。
最初のミッションで撃墜されていた理由付けとしては、先々代レイヴン説、大型ヘリを10機くらい落とした後なんとか脱出した説、身を隠すために死を偽装した説などがある。

オールマインド

コーラルリリースによって宇宙をコーラルで満たすのが目的……というのは明確なのだが、それってつまりどういうこと? とか作中の細かい暗躍とかがよくわからないのでまとめてみる。なお、BAWS第三工廠調査に代表される「所属不明機体」はオールマインドのMTの可能性が高いことを念頭に置いておきたい。
まず、オールマインドはコーラル争奪戦の裏で「リリース計画」を進行している。

第1段階:
・アリーナのスティールヘイズ・オルトゥス説明文
 アーキバスに整えさせる必要があり、それまではラスティ達に邪魔させたくない、と読める。
 →バスキュラープラントの建設、およびコーラルの大規模集積

第2条件:
・アリーナのHAL説明文
 いまいち判然としない。ウォルター+HALが候補だったが、代替候補者の発見&ウォルターが第3条件を邪魔しすぎたせいでウォルター案が破棄された、と読めなくもない。第2条件候補者は消去法でイグアスか。

第3条件:
・観測データ:変異波形反応(ウォッチポイント襲撃)
 Cパルス変異波形の発生を確認し、「老兵」をトリガーとすることを検討している。直接的な第3条件は「取り込む」こと。
 →オールマインドが示した候補者リストにも居たことから、「老兵」=スッラとする向きが強い。コーラル技術による旧型強化人間とCパルス変異波形のペアをオールマインドに取り込む事

理屈の上では第一条件にちょいちょいっとちょっかいをかけてやるだけで相変異が起きてコーラルが拡散するはずだが、実際は第3条件=エアが引いたトリガーが必要だった。

もう一点重要な情報として、オールマインドは人間・Cパルス変異波形に限らずに人格を自身に統合することができる。ウォッチポイント襲撃でエアが初めに警告したようにコーラルに意志を溶かし込むことで取り込むのかもしれないし、ディープラーニングで脳波パターンを完全再現するのかもしれない。なんにせよ、その名が表すとおり統合された人格群がオールマインドのかなり重要な部分を占めていると見ていいはず。

最終ミッション周りのオールマインドの言動から察するに、
①アーキバスなりベイラムなりにとにかくコーラルを一か所に集めさせる
②スッラとの交信でなんかトリガー権限的なものを宿したエアを取り込む
③リリースをトリガーし、コーラルの可能性の探求の旅へ!
が当初の計画だった模様。
スッラが倒されたので621を代役に立て、エアを取り込めなかったので代わりに本人にトリガーを引いてもらうことで本編ではリリース計画が達成された。イグアスの出番は……?

ちなみにドルマヤンの言っていた「向こう側」は別にオカルト的な意味ではなく、「ルビコン川を越えた先」。賽を投げ、リリースという不可逆な可能性の道に進んだ未来のこと。「賽は投げられた」とかで調べてみてください。

ここまでが妄想抜きで真っ当に読解できる範囲。
イグアス(というか第2条件)の理由もよくわからないし、621とエアを取り込むのが計画と言った直後に二人をイレギュラー呼ばわりするのもよくわからない。
リリースされたコーラルにはトリガーの人格がある程度作用するから独立傭兵と交信させて人格を成熟させることが必要だったんだ!とか、オールマインドの大本の人格はドルマヤンと交信していたセリアだ!とか(こっちはそれなりには信憑性がある)色々妄想の余地はあるが、計画の全体像についてはいまいち決め手に欠け、面白くはあるが結論を出せない。
強いてひとまとめにするなら……

ドルマヤンと決別したセリアは技研の資料で読んだ「リリース」によって共生の道を模索することにした。死んだパイロット他をコーラルに溶かして取り込みながら計画を練り上げるが、本人の人格は歪んでしまっていて、解き放たれたコーラルに悪い影響を与える。生まれたての赤ちゃん変異波形エアを強化人間とセットにし、いい感じに成長した二人の関係性をミームとしてコーラルに載せてリリースするのがコーラルリリース計画だ。

やっぱりイグアスくんとイレギュラー呼ばわりの説明がつかないので本職の考察勢に後は任せます。

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