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第5話

それは、一つの箱を見付けた事から始まる。

私の幼馴染である直樹が、まさかあんな目に合うなんて……。
後悔してもしきれないのだ。


箱を発見したのは1ヶ月前、久しぶりに大雨が降り肌寒い日だった。
家が隣の事もありよく一緒に帰る事も多かった、その帰り道。
私達の家は少し町から外れた所にありその帰り道に今は誰も住んでいない廃屋がある、危ないからと立ち入らない様にと言われていた。

『あれ何だろう?』

直樹が呟いたと同時に駆け出す。

『変な箱があるぞ!』

直樹は箱をガタガタさせながら揺らし私に見せてくる。

『ちょっと!汚いってば!』

私は子供じみた行動をする直樹にため息を漏らし近付きながら、男の子って何でこういうガラクタが好きなんだろうと思った。
直樹が好奇心いっぱいの笑顔で私の到着を待つが、反対に私は直樹が手にしている箱を見てギョッとし表情を変える。

『直樹ダメ!今すぐにその箱を元に戻して!!』

直樹の手にすっぽり収まる大きさの箱にはお札がビッシリと貼られていたのだ。
私の必死な形相に驚きつつもふざけて見せる。

『な〜に怖い顔してるんだよ、分かったって戻せばいいんだろう??』

私がずっと睨んでいるとブツブツと文句を呟きながら箱を戻そうとした、その時だった。

『あっ……。』
『えっ?!』

直樹の手から箱がコロンと転がり落ちると、カタンっと小さな音と共に箱が割れてしまった。中からヒラリと白い紙が飛んできてそのまま空中でスーと消えたのだ。

?!

その紙は人型だった……。
良く厄除や魔除として使われる道具で、特定の人物の代わりに厄や災を受けてくれたり、禍々しいものやこの世で無い者を封印したりする事もある。
この時はとんでもない事をしてしまったとは思いもしなかった、すぐに家の者達に知らせるべきだったのだ。

何も起こらない事で安堵してしまい、直樹はつまらなそうに頬を膨らませ歩き出す。その背後には魔の手が忍び寄っている事も知らずに……。

それから一週間後に変化が訪れる。

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