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テート美術館展

先日友人と一緒に行ってきました。

最近は1人で美術館に行くことが多かったのですが、近所のバーで仲良くなった女の子(神絵師)が一緒に行ってくれたので…感謝!
1人で見てる時も、あとで感想呟こうとか、これは覚えておきたい、とか思いながら見ているつもりだけど、他人と行くと、感想を述べ合うから考えたことを言語化するし、自分では気づかない部分を教えてくれたりしますよね。こういうの久々だったので、当たり前のことなんだけどよかったな〜と思いつつ、いかに普段ぼんやり見ているかだよなぁと反省。

(どのようにアートを見るか、感想を言語化することの重要性について。久々に読んだら面白かった)

気づいたら3時間近く滞在し、その後は陽が沈む前から深夜まで福島で飲んだくれた。美味しそうな店がたくさんあって最高。

…いかん、ただの飲んだくれ報告で終わるところだった。
素敵な作品がたくさんあったのですが、特に気に入った作品をメモしておきます。いつもどおり好き勝手に言いたいこと言ってます。
なお、写真はあったりなかったり…もっと撮っておけばよかった。

ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー「陽光の中に立つ天使」
→洪水後の希望ある世界を幻想的な光で表した作品…なんだけど、中央の天使が羽をバッサバサにはためかせ、腕も振り上げているので、見た瞬間「盛り上がってる〜!」と言ってしまった(バンギャ)。杖をタクトに見立てると、交響曲のクライマックスで思わずジェスチャーが大きくなる指揮者にも見える。
でも民衆はあまりの眩しさに顔を背けているようにも見えるんですよね。尊すぎて直視できないという絵なのかもしれない。

ジョン・マーティン「ボンペイとヘルクラネウムの崩壊」
→これぞ世界の終末。山は鳴り、海は裂け、大地は荒れ狂う…そんな自然の描写の迫力もすごいのですが、手前に描かれている人々が細かすぎて!
女性を守るように抱き抱える戦士、銀食器をかき集めて逃げて来たものの力尽きたっぽい人、もうヤケになって天を仰いでいるような人…細かいけれども無数の人たちの恐れ慄きの表情を一つ一つ見ているとさらに興味深かった。

自然の脅威を前に無力な人々…。

ウィリアム・ホルマン・ハント「無垢なる幼児たちの勝利」
→幼児たちをすっごく際立たせかったんでしょうね。中央のマリアやイエスよりも彼らを取り巻く幼児たちが一際明るい。そして顔が濃い。周辺の幼児たちだけ明るすぎて、なんていうかコラ画像っぽい。(すみません)でもいい絵。

幼児たちに気合入り過ぎでは…

ジョン・エヴァレット・ミレイ「露に濡れたハリエニシダ」
→思ってたより大きい絵で、自分が手前の茂みに入っていきそうな感覚がある。風景画で没入感を意識したことはなかったので印象的でした。
旅先で早朝に散歩してこんな風景に出会いたい。

植物の描き込みもすごい。

ジョン・ブレッド「ドーセットシャーの崖から見るイギリス海峡」
→海の色が光を反射してさまざまな色を見せてくれる。中央の白い波間は特に、これから何かが降り立ちそうで神々しい。
でも個人的には右側の明るい水面が気になる。大きい光が当たっている船の浮かんだ水面と、その右の少し小さい光が当たっている水面なんだけど、手前に伸びているように見えるんだけど、何もないのにこういう風になる?大きい方は船の軌跡によって波打った水面に光が当たっているのかもしれないけど、その右の小さい面は何もなさそうに見える。…ということが気になってしばらくその辺を凝視してしまった。「こういうものだよ」と言われたらそれまでなんだけど、自分なりに違和感を持つのも楽しい。

右側の明るい部分が気になると止まらない…

ジュリアン・オピー「8つの風景より」(「雨、足跡、サイレン」「トラック、鳥、風」「声、足跡、電話」)
→個人的に今回一番のお気に入り。ジュリアン・オピーの名前は初めて知ったのですが、人物画とか見たことある…!
これほどまでにシンプルな画面なのに、それぞれのタイトルの情景が浮かんでくる。「トラック、鳥、風」なんて木々と月明かりだけで、タイトルの要素はどこにも描き込まれていないのに、きっとこの場所に行って佇んでいると、遠くからトラックの走る音や鳥の囀りを感じるに違いないと思ってしまう。この絵を眺めることで無限にストーリーが生まれてしまう。
現代アートってどうやって見ていいかわからなくて、見ても「へぇ…」で終わってしまいがちだったのですが、こんな楽しみ方があるんだ!と目から鱗でした。

映り込みすぎ!ぜひ実物を見てほしい。

展示そのものが良かったというのもあるけど、「光」をテーマにさまざまな時代のアートを見ることで、新たに好きなジャンルが増えそうで嬉しい。
そんな期待を持てたことも良かったです。

中之島美術館、実は仕事絡みでオープン前のまだ何も展示されていない状態を少し見せてもらったことがあったりするのですが、真っ黒な箱のような外観からは想像もつかないほど、光が差し込んでいて明るいし、中も思ったより広いんですよね。いつ行っても不思議なんだよなぁ。
次回のモネ展も楽しみ!

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