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対中飛車▲4七銀型急戦は滅びたのか?


はじめに

こんな投稿をみた。知らない間に▲4七銀型急戦(二枚銀急戦)は滅んでいたのか、それとも単に面白くないのか、気になるので調べてみる。
プロで滅んだ戦法はひっそりと指されなくなり、その理由は語られない。

▲4七銀型急戦は滅びたのか?

結論(▲4七銀型急戦はあくまで互角)

▲4七銀型急戦の定跡には、明確に不利になるような変化は見つからなかった。
定跡としては互角だが、積極的に局面を優勢に持っていける「超速」に比べると、事前準備=勝利を目指したい現代将棋としては面白くないかもしれない。
居飛車潰れの手順は募集中。

基本定跡は以下の通り
定跡①
▲7六歩 △3四歩 ▲2六歩 △5四歩 ▲4八銀 △5五歩
▲6八玉 △5二飛 ▲7八玉 △6二玉 ▲4六歩 △7二玉
▲4七銀 △8二玉 ▲6八銀 △7二銀 ▲5八金右 △3三角
▲7七銀 △4二銀 ▲3六銀 △5六歩 ▲同 歩 △同 飛
▲4七金 △5一飛 ▲4五銀 

3 筋で一歩得する定跡(互角)

定跡②
▲7六歩 △3四歩 ▲2六歩 △5四歩 ▲4八銀 △5五歩
▲4六歩 △5二飛 ▲4七銀 △6二玉 ▲6八玉 △7二玉
▲7八玉 △8二玉 ▲5八金右 △7二銀 ▲6八銀 △3三角
▲7七銀 △4二銀 ▲3六銀 △3二金 ▲2五歩 △5三銀
▲4五銀 △3五歩 ▲3六歩

歩を逃げる定跡(互角)

解説

対中飛車▲4七銀急戦は▲4五銀(▲2五銀)を見せつつ、隙を見て
5筋の制圧を目指すコンセプトの急戦だ。
2000 年代にゴキゲン中飛車への対策として指されており、定跡も整備された。2010 年代には、超速▲3七銀が最有力の急戦となり、取って代わられた。超速は今に至るまでゴキゲン中飛車に対する回答となっている。

先ほど▲4七銀急戦の定跡①、②を示したが、定跡①を補足する。
定跡① 以降の指し手(定跡の続き)
△3二金 ▲3四銀 ▲同銀成 △同 角 ▲5六歩 
最終手で▲5六歩と打つのは、後手から△5六銀とされる手を防ぐため。
先手は3筋を伸ばすか桂馬を活用していきたいが、
最終手のように△6五銀とされると銀を手放して受ける必要がある。
形勢自体は互角。

▲5六歩△9四歩▲9六歩△6四歩▲3六歩△6五銀
最終手への対応は▲5五銀/5七銀だが、置かれた△6五銀が鬱陶しい。

① 以降の指し手(研究対象)
△3二金 ▲3四銀 ▲同銀成 △同 角 ▲5二歩!
前述した駒組が不満とみれば、▲5二歩△同金▲5八飛で動く。

△同飛なら当然▲4一銀の割打ちがある。
△同金に▲5八飛と回る。

△6二金で飛車交換を挑むのが、最も強気の手順。
飛車交換になるが、変化が少ない手順で詰みまで研究できるかもしれない。

△6二金▲5一飛成△同角▲6八銀でどうか。

おわりに

▲4七銀型急戦は互角だが、先手番としては面白くないという結論。
ただし、細かいところを工夫する余地は残っている。
序中盤が楽しい方には、ふと気になった局面を調べてみることはお勧め。
採用しない作戦でも鉱脈が眠っていることがある。

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