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「埼玉版スーパーシティ」・元加治駅南口を中心とした加治地区(美杉台・笠縫・岩沢)コンパクトシティ化構想

「埼玉版スーパーシティ構想」第1弾の参加自治体とプロジェクト内容が発表されました。飯能市も参加表明するべきだと考えます。ざっくりと、大規模再開発案とプチ案を考え、加治地区に絞ったプチ案についてまとめました。加治地区も広いので、ここでは、美杉台・笠縫・岩沢(阿須含む)にまとめて言及します。他の住所は読み替えてお考えください。

埼玉版スーパーシティ構想

元加治駅周辺を「生活拠点」化、美杉台ニュータウンを「田園住宅地」の洗練させる試み

URが開発した美杉台ニュータウンをを学区とする美杉台小学校は、現在、飯能市内最大のクラス数・在籍生徒数の小学校で、美杉台の居住者数は右肩上がりで増え続けています。

市の地区区分とは異なり、ニュータウンから飯能駅行きの路線バスしかないため、美杉台は「加治地区」ではなく、「飯能地区」の飛び地といった印象があります。この美杉台を真に加治地区に統合し、元加治駅の利用客数を増やす試みが、今回提案する「加治地区(美杉台・笠縫・岩沢)コンパクトシティ化構想」です。

  • 美杉台小学校(3〜4クラス)-美杉台中学校(3クラス)

  • 加治小学校(3クラス)-加治中学校(4クラス) ※分離前は加治小のみ

  • 加治東小学校(2クラス)-同上

(1)元加治駅南口開設

2022年箱根駅伝・初出場19位を記録した駿河台大学、トーベ・ヤンソンあけぼの子どもの森公園(以下、あけぼの公園)の最寄り駅、「元加治駅」に地元要望の高い、新市長の公約の一つ「南口」を開設し、単に改札口を新設するだけにはとどまらず、まずは改札内に駅ナカコンビニ・ブース型シェアオフィス、改札外にコンビニ(セブン-イレブン)、オープンカフェ型シェアオフィス、テイクアウト専門店などを設置し、将来的には、現在の市街地である飯能駅周辺と並ぶ「生活拠点化」を目指します。

トーベ・ヤンソンあけぼの子どもの森公園と元加治駅の駅舎

2021年12月に開催された岩沢地区区画整理事業説明会で、元加治駅南口開設と2つの踏切廃止はセットの計画であり、現在、駅の南北を渡る幹線となっている踏切の直上に新たに南口を開設する意向だと判明しました。

おそらく、橋上駅舎を新設し、北側に簡易階段、南側にメインの階段とエレベーターを設置する計画でしょう。名称こそ「南口開設」ですが、実質的には「元加治駅新駅舎建設計画」に近いという確信が強まりました。

南口開設後、市が積極的に医療機関、教育機関、商業施設を誘致すれば、自然に賑わいが生まれ、徒歩圏内でおおむね完結する、理想のコンパクトシティが誕生します。

(2)飯能市乗合ワゴン「おでかけむーま号」のキャッシュレス対応と美杉台ニュータウン〜あけぼの公園〜元加治駅南口ルートの新設

2022年1月24日に飯能市乗合ワゴン「おでかけむーま号」の正式運行がスタートしました。路線バスのない区間を結ぶ、曜日限定(平日週3日)のコミュニティバス(3コース)です。この支払方法を「現金のみ」から「現金・交通系ICカード」または「現金・PayPay」に変更し、決済をスマート化します。

同時に、元加治駅からあけぼの公園(市民体育館)付近、戻って美杉台小学校付近を周遊する新コース(一部は既存コースと同じ)を設置し、美杉台学区在住者が元加治駅から乗車して西武池袋線を利用できるようにします。複数駅を使い分けられるようになると、美杉台は「田園住宅地」として首都圏有数の人気エリアになるでしょう。現時点でも女性の9割は気にいると思われる美しい街並み。バス便頼みの交通アクセス、飯能市からの孤立感が改善すると、さらに子育て世代に選ばれる学区になります。

(3)民間シェアサイクルを利用した、元加治駅を起点とした都市回廊空間の形成

「都市回廊空間」とは、飯能市第5次総合振興計画に明記された、三つの観光スポット(ムーミンバレーパークのある宮沢湖周辺・天覧山周辺・あけぼの公園周辺)を回遊させる計画です。しかし、位置が離れているのに、どうやって回遊させるのでしょうか?

市は自家用車、バスを想定しているようです。しかし、アクセス道路(市道阿須小久保線)はまだ全面開通しておらず、ようやく今年3月に、最も重要な西武池袋線を超えるの跨線橋(岩沢陸橋)が供用開始予定という段階。ただ、それだけでもアクセスは改善し、開通の目安が立っている「元加治駅南口駅前通り線」が全面開通すると、元加治駅南口は、市内どこからでもクルマで行きやすい駅になります。

なお、現在の元加治駅は、徒歩・自転車でしかアクセスできない立地のため、駅徒歩圏内の住人以外は、車や自転車で飯能駅またはJR東飯能駅まで向かって、そこから電車に乗車していると聞きました。駅の利用客数の大半は大学生・高校生と通勤利用者(定期券利用者)だと推測されます。

阿須小久保線が延伸、新しい橋が2022年3月26日13時に開通

そこで、駅南側・北側に民間シェアサイクルを誘致し、まずは健脚の大人向けに電動アシスト自転車を利用した市内回遊観光を促します。徐々にサイクルスポットを増やし、地元在住者に対してもマイカー代わりとしての利用をうながします。

現在の元加治駅南側・市営駐輪場(無料)

民間駐車場の多い東飯能駅は、JR八高線の本数が少なすぎて利便性に欠けます。特急停車駅の西武飯能駅は、以前よりだいぶ改善したといってもクルマ・自転車でのアクセスは悪く、必ず線路を横断しなければならないため所要時間が読めず、やはり不便です。対して、阿須小久保線・岩沢陸橋開通後の元加治駅南口(開設予定)は、市内各地から踏切を渡らずに民間駐車場・市営駐輪場にアクセス可能です。観光客に対し、元加治駅〜あけぼの公園〜天覧山・飯能河原〜飯能駅といったモデルコースを紹介するには、元加治駅南口とシェアサイクルは必要なのです。

今春以降、既存の元加治駅(北口)からも、踏切を一切渡らずにあけぼの公園とその周辺の公共施設(体育館・ホッケー場・運動公園)、商業施設(カインズ・ベルク)に行けるので、少なくとも民間シェアサイクルは早急に誘致すべきでしょう。

2022年1月、あけぼの公園隣接地域に、ベルクの新店舗がオープン

具体的な実施内容

加治地区は、2022年1月現在、市立小学校3・市立中学校2・県立高校1・私立大学1が存在する文教地区です。統合のため廃校が決定している県立高校の跡地に、私立の中高一貫校を誘致するか、スポンサーを募って市立中高一貫校を設置すれば、引き続き、私立幼稚園(こども園)から大学まで揃った教育環境が続きます。

よって、「埼玉版スーパーシティ」構想の募集に応じ、元加治駅南口を中心とした加治地区の地域一体感の醸成に向けた、コンパクトシティ化構想の推進を提案します。具体的には下記に費用を投じます。

前提:美杉台・笠縫は田園住宅地(※延伸なしには駅がないため)、岩沢(阿須含む)は田園住宅地+地域生活拠点

  • 元加治駅南口の駅前ロータリー整備費(敷地の大半は入間市のもよう)

  • 元加治駅橋上駅舎の建設費

  • 橋上駅舎から元加治駅北側におりるための階段・周辺道理整備

  • 元加治第1号踏切・第2号踏切除去費

  • 阿須小久保線の早期全面開通に向けた用地取得費・工事費

  • 元加治駅周辺の民間駐車場・シェアサイクルへの補助

  • 元加治駅南口周辺への医療機関の誘致費用

  • 元加治駅南口周辺へのシェアオフィス・民間学童の誘致費用

  • 加持地区への企業のオフィス・工場、各種スクールの誘致費用

  • 乗り合いワゴンのキャッシュレス化対応

  • 乗り合いワゴンの美杉台ニュータウン経由の新コース設置

  • 元加治駅前の市営駐輪場を屋根付きに変更・有料化

  • 元加治駅第2駐輪場を新設(駅徒歩5分以内・無料)

  • 県立飯能南高校跡地の有効活用に向けた検討 ※中高一貫校を募集

  • 区画整理事業の加速化(歩きやすい街、自転車で走りやすい街へ)

加治地区に足りない要素は、医療機関と民間教育スクール、商業施設(特に個人経営の飲食店、テイクアウト専門店)、マイカー以外の交通手段です。民間を中心とした賑わいを創出する積極的なまちづくりを希望します。なお、飯能駅・JR東飯能駅に近い笠縫は、自転車・マイカー利用なら便利で、区画整理完了エリアは街並みもきれいです。

2023年3月、相鉄・東急新横浜線の開通で、西武池袋線沿線(練馬〜飯能)は、東海道新幹線からのアクセスが向上します。メッツァ+ムーミンバレーパーク、飯能河原・天覧山、トーベ・ヤンソンあけぼの子どもの森公園の知名度を上げる大きなチャンスです。そのためには、鉄道(新幹線・在来線)と徒歩・バス・シェアサイクル等しか利用しない観光客を想定し、そのおもてなしのために、市内で最も都心寄りの駅にもっと投資するべきです。

2023年3月 相鉄本線・いずみの線(倉見まで延伸予定)を中心とした路線図

神奈川県民、東京都民は、人によっては、本当に鉄道(有料除く)・バス・自転車しか利用しません。車でしか行けない、しかも駐車場の空き待ちが常に発生する観光地は、存在しないも同じ。「移動はいつでもどこでもクルマ」「自転車は高校生しか乗らない」「私立中受験は都心だけ」といった思考は、埼玉・東京・神奈川・千葉・茨城南部に広がる首都圏エリアの自治体間競争の勝ち抜くためには捨てるべきです。


noteでは、街・人・お金に関する情報を中心に発信します。いま、社会は変革の時代を迎えています。東京・神奈川中心に、県境を組み直す時期でしょう。