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SF的映画レビュー

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ネタバレだらけの散文のようなレビューです。 旧作から新作、往年の名作から変なサメ映画までいろいろレビューしていきます。
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#映画感想

世界の命運は健康診断から【 007 サンダーボール作戦 】(1965)

運がないぜスペクターゆすりたかりの名手である犯罪組織スペクターの今回のお題目は核爆弾。爆撃機のパイロットと同じ顔の奴まで用意して準備万全、これでNATOを強請って大金ゲットだぜ! だけど同じ病院にたまたま健診に来ていたボンドがいて、手がかりを残してしまったのが運の尽き。本当にたまたまなんだよなぁ…。 そして今回のアバンタイトルのアクションは女装男との激しいバトルに有名なジェットパックに用意周到なボンドカーと少年心をくすぐるガジェット盛りだくさん。もう大満足。 そしてこれでも

007一本目は地道な捜査【007 ドクター・ノオ】(1962)

ジャマイカの諜報員仲間が殺された!動機は!?犯人は!?調べてみた!そんなノリの記念すべきシリーズ1作目。こりゃ悠々自適にバカラで美人を引っ掛けている場合ではありませんな。もちろんボンド役はショーン・コネリー。この時御歳32歳。...32歳!? オープニングシークエンスのグラフィカルっぷりは今見てもクールですね。 舞台となる南国ジャマイカの南国感は大変素晴らしいけれど、そこでやる事は聞き込み。とにかく聞き込み。誰かに変装とかではなく刑事ばりに関係者を捜査するボンドが新鮮。空港

楽しく面白い幸せな007 【 007 私を愛したスパイ 】(1977)

ムーアボンドはとにかくユル楽しいジェームズ・ボンド役者の中でもロジャー・ムーアはとりわけユルい。肉弾戦はユルいし、表情も常にユルい。女性が絡むとさらにユルい。だけどそのユルさからくる軽やかさと、紳士な佇まい、その余裕さがたまらなく頼りになるし、楽しい。ムーアボンドはカッコいいというより楽しく面白いボンドなんだ。 そんなユルい第10作目にしてムーアボンド3本目、あのスカラマンガとの死闘(?)のお次は超娯楽大作。超巨大なセット、美しいヒロイン、大量のエキストラ、見るだけで楽しい

極上のサイバーパンク活劇【 スーパーマリオ 魔界帝国の女神 】(1993)

アニメ映画「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」に乗じてこんな記事を載せるのもアレだけど書いておきたい。この実写マリオが素晴らしいということを…。ちなみにアニメ映画のおかげで本作も売れているようですね。恥ずかしながら僕も品切れが怖くて急いで買いました。 出会いは「困惑」小学生の頃、当時親に「マリオの映画を録画しておいたぞ!」と言われてワクワクして当時テレビ放送でVHSに録画された本作を見たことを覚えている。しかし当時観た時の記憶は困惑しかなかった。 どう見ても舞台はゲー

原作を超えてくるか【 岸辺露伴 ルーヴルへ行く 】(2023)

ついに映画化岸辺露伴は動かない。ジョジョの奇妙な冒険のキャラクター岸辺露伴のスピンオフ漫画が愛ある人々の手によって実写ドラマ化されて、なんだかんだ毎年の年末NHKドラマの名物と化している。正直世間では承太郎やDIOより岸辺露伴の方が有名なんじゃあないか? そんなシリーズもついにフランスのルーヴル美術館を舞台にした本作までを取り上げ、さらに劇場映画にしてしまった。ここまできたのはマジで凄い。そして見た目ではなく雰囲気で岸辺露伴を再現してしまった高橋一生は素晴らしい。 当時僕も

ウエルカム北朝鮮!【 工作 黒金星と呼ばれた男 】(2018)

極限の緊張感を味わえ[注意:本文はネタバレを含みます] 南北の諜報戦にはそこそこ期待しましたが、僕の想像を超えるの展開の連続と極上の緊張感でガンガン進む驚きの一本でした。 重々しくヒリヒリした雰囲気の中続くスパイ劇は、スリリングというより一つのミスでどんな恐ろしい事が待ってるかわからない極限の緊張感でこちらも息が詰まりそうで、スパイと高官の一挙手一投足で静かに行われる究極のお互いの腹の探り合いがとにかく怖い。おかげでこっちもずっと目が離せない。 主人公の巧みな交渉術とスパイ

強制二丁拳銃デスゲーム!【 ガンズ・アキンボ 】(2019)

[注意:本文はネタバレを含みます] まるで漫画の様な設定の一本。演じるは我らがダニエル・ラドクリフ。狙われるは必殺無双の殺し屋ギャル・ニックス!雰囲気はどこまでも軽く、エグく、下品でネオンカラーが眩しく楽しく見せてくれる。 それにどんなエグくてマズい状況だってノリノリな音楽さえあればミュージックビデオとそう変わらない!!! こんな無茶でアホなシチュエーションが面白くないわけがない。 ただこの人ただのオタクだよ? そんなわけで固定二丁拳銃のイカす設定は作ったものの、両手が塞

こっちも30年ぶり【 チップとデールの大作戦 レスキュー・レンジャーズ 】(2022)

「チップとデールの大作戦 レスキュー・レンジャーズ」かつて89年あたりに放送されていた、「わんぱくダック夢冒険」や「パパはグーフィ」と同じディズニーキャラクターを使ったテレビシリーズである。当時小さかった僕もとことんディズニー漬けにされていたのでVHS見ていたし知っている。彼の国ではガジェットというネズミの女の子せいで幾多の連中の性癖が歪まされたのも知っている。 そして時は過ぎ、そんなアニメがあった事さえ朧げな記憶になっていた頃、突如今年の5月、何故か新作の映画としてDisn

最高の映画体験 【 トップガン マーヴェリック 】 (2022)

[注意:本文はネタバレを含みます] 時は過ぎた。相変わらずアイツは無茶ばかりしている。そんな時やって来た旧友から与えられた最後のチャンス。それは相棒の息子とやり直す機会。 もう予告を見た瞬間「絶対IMAXで観るしかねぇ!」と確信する。もう話なんてどうでもいい!これは映像を観るためだけの映画!これはアトラクションなんだ!!!まぁトップガンは見ているけど、実は全く覚えていない確か相棒が死んでた。そんだけだ。そんな印象でお話には一切期待していなかったんだ。 そして改めてトップ

ドアン!?なぜ!?【 機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島 】(2022)

[注意:本文はネタバレを含みます] ドアン!?何故!?そんな当時のアニメでも相当異色の一本。本筋から離れたアムロが1人の戦士と心を通わせるエピソードの一つなのですが、まぁドアンの乗ったザクが投げた岩でミサイルを撃ち落としたり正拳突きでザクを倒したり、細長かったりでネタ扱いを受ける可哀想な一本です。そんなお話がなんと安彦良和の目に止まりました。何故。 どうやら漫画版オリジンでも扱われていないお話らしく、本筋からも影響が出ないし一本の映画を作る上で扱いやすかったのかもしれません

俺の上司はアンドロイド【デンジャー・ゾーン】(2021)

注:本記事はネタバレを含みます。 予告でビシッと出てきたのはなんともメカメカしいロボット戦士!時は2038年、戦争は変わってこんなロボ戦士が主流なのか!一体どんな戦争映画なんだ!?とワクワクしていたら、そのメカメカしい連中も実はもう時代遅れで、今や人間と瓜二つのロボット戦士が最前線。でもそれってターミネーターじゃん! 核ミサイル発射の危機が迫り、画面の前だけで戦ってきたドローンパイロットと最前線に立つ無敵のメカ戦士との核攻撃を阻止するための二人だけのバディ任務が今始まる。

地獄はネズミだらけ【 1917 命をかけた伝令 】(2020)

脅威のワンカット地獄めぐり007スカイフォールとスペクターで007シリーズの魅力を更に引き上げたサム・メンデス監督の次なる作品は戦争映画。 監督の祖父は第一次世界大戦で上官の命令を現場に伝える伝令係だったらしく本作は祖父から聞いた話を元に肉付けして作られているらしい。今回のアカデミー賞の撮影賞、録音賞、視覚効果賞を取った作品だ。それはつまり映画館で見なきゃ確実に損な映画って事だ。 もちろん僕もレーザーIMAXシアターで見に行った。今回はど真ん中の席も取れたぞ。 そんな本作は

何がはじまるんです?4K吹替・応援上映だ!【 コマンドー 】(1985)

応援上映出動!アカデミー賞映画も一段落つき、放置していた記事を思い出したので上げておきます。とりあえずこんな狂った事があったことだけは残しておきたかったので…。 さて今回の映画レビューは1985年アーノルド・シュワルツネッガー主演名作アクション映画『コマンドー』です。しかし今回はただのコマンドーではない。僕は映画館のスクリーンで見たのは『4K吹替版コマンドー』なのです。しかも応援上映。 そんな訳で正月の長い連休の最終日。今回4K吹替上映のために刷新されたパンフレットを片手

新たな探偵は古畑ちっく【 ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密 】 (2020)

お屋敷で一人の有名作家が殺された!犯人は誰だ!6000万ドルの遺産は誰のものだ!? おっとその事件この名探偵ブランにお任せあれ! 館での殺人、遺産がらみでいがみ合う遺族などクラシカルなモチーフながらオリジナル脚本の本作。 演じる役者は6代目007ダニエル・クレイグにキャプテンアメリカ、それにヘレディタリー継承のイカれた母ちゃんトニ・コレットもいるよ!この人は真顔でも怖い!(ひでぇ) そして本作はある一人の人物を中心に欲深き人物達のユルいユーモアと高らかに良く喋るダニエル・