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ドアン!?なぜ!?【 機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島 】(2022)

[注意:本文はネタバレを含みます]

ドアン!?何故!?

そんな当時のアニメでも相当異色の一本。本筋から離れたアムロが1人の戦士と心を通わせるエピソードの一つなのですが、まぁドアンの乗ったザクが投げた岩でミサイルを撃ち落としたり正拳突きでザクを倒したり、細長かったりでネタ扱いを受ける可哀想な一本です。そんなお話がなんと安彦良和の目に止まりました。何故。
どうやら漫画版オリジンでも扱われていないお話らしく、本筋からも影響が出ないし一本の映画を作る上で扱いやすかったのかもしれませんね。
…って、ドアンで客が来ると踏んで企画が通る令和という時代は凄い。

あの短いエピソードがなんと長編映画に。細かい設定は変わっているし、子供は倍どころじゃ済まない人数に増えてるし、あの女の子は何故か名前がロランじゃないし、ドアンの人となりも更に深くなっている。もう強くなくてもこの人数の子供から慕われている時点でドアンは凄い。

そしてルッグンでルルルと来る敵役のザクもこの際だから5機に。しかも「強いぞ!カッコいいぞ!プラモ買え!」と言わんばかりにサザンクロス隊という連中が乗るイカすホバリングまでしちゃう高性能ザクでここぞとばかりに大活躍するから、「ヤベー!今回はドアンも無理だろ!」とコチラも手に汗握ります。
まるでMSVから飛び出し、アニメに殴り込んできた渋いコイツらは良い感じに、素人ホワイトベース部隊を蹂躙…の後に全滅します。やっぱりドアンもアムロも強いな〜。そして相変わらずセイラさんって変な人ですよね。何故かいるスレッガーさんもあまり良いところがないのも笑えます。

にしても今回のモビルスーツと戦争の描写はホント恐ろしくて、ガンダムですら怖いです。あのホロを剥がした時に現れるガンダムはヒーローではなく完全にジオン殺すウエポンですよ。
ドアンザクの回想に映るレッドショルダーも真っ青の地獄の部隊感も凄いです。そらやってられませんわ。
しかも今回は逃げる敵兵士をガンダムが踏み潰すというエグいシーン付き。兵器の怖さと戦争の恐ろしさをこれでもかと見せつけてきます。どこか牧歌的な雰囲気の本作の裏にあるエゲツさがたまりません。

しかし終盤は何故か子供達は逃げず、ヤギと共にドアンのバトルを観戦。いや危ないよ!逃げろよ!でもこの応援やリアクションが映画的にはいいんですよね。
必殺のドアン正拳突きはありませんでしたが、代わりにガンダムが大暴れ。後光までさして頼もしいBGMまで流れるガンダムの心強さよ!そこからは時代劇さながらのチャンバラ合戦。荒れる海での決戦は中々見応えがあります。

そんな訳でオリジンで本来見たかったのはコレなんだよ!という絵をこれでもかと見せてくれた、とても良い映画でした。面白かったです。あとマ・クベ氏は内心めちゃくちゃホッとしてますね。(あとでキシリア様に殴られそうだけど)


DATA

機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島
公開年:2022年
製作国:日本
上映時間:108分
監督:安彦良和



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