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至高の夜散歩シミュレータ【 Ghostwire TOKYO 】(Xbox)

ついにXboxにも来た!

去年PS5で発売された「Ghostwire TOKYO」が今月配信された。ずっと遊びたかったコイツもゲームパス入りだ。そんな本作は「サイコブレイク」「Hi-Fi Rush」を送り出した三上真司率いるTango Gamewarks開発のFPS視点のオープンワールドアクションRPG。奇しくもAtomicHeartとジャンルが丸かぶりのモノが2作続いてたぞ。
個人的には現代日本が舞台でホラーモチーフなゲームという事もあって非常に期待していた本作。しかしその第一印象は決して良いモノではなかった…。

第一印象は正直微妙っ!

プレイを始め、操作が出来るようになった瞬間気づく圧倒的な違和感。この視点を動かす時の加速度、ヌルッと感!「マズい!このゲーム!このままでは酔う!」と心より先に体が感じる、他のFPSではまず味わう事のない気持ち悪さ。本作がまずやるべきところは自分に合った視点移動の仕様に調整するところからだった。

「コレでどうだろう...いや!これでは酔う!ではコレでは...まだダメだ!」と試行錯誤を重ねる。本作はこんな味ったこともない操作性をデフォルトしてるゲームを最後まで遊べるのかと自信を無くす所から始まってしまった。

こんな設定で遊んでいました。

いざバトルが始まっても最初はやれる事が少なすぎて、貧弱な武器で後ろに下がりながらチャージショットを撃つだけの展開と、用途が少なすぎるお金がジャリジャリ貯まる事、そしてFARCRY3(2013)あたりから変わらないオープンワールドの点在するお使いをこなしてスキルツリーを成長させる往年のシステムに呆れ、5時間が過ぎ本当にこのゲーム大丈夫なのかと不安になりながら遊んでいたが、それは10時間くらい遊んだ時「あれ!?このゲーム、自分が夢にまで求めていたゲームなのでは!?」と手のひらをクルッと返す事になるのであった。

これって自分が求めていたゲームなのでは?

本作の見どころはやはり尋常じゃない密度で作られた日本の街並み。今まで「シェンムー」「絶体絶命都市」や「龍が如く」などポリゴンで日本を再現したゲームは色々あったし、自由度はそこそこあったけれど、どこか狭く社会通念に囚われた窮屈感があった。しかし本作の広大で緻密やオープンワールド。普段なら一発で不審者として通報されてしまいそうなビルとビルの隙間に入り、塀を登り、柵を飛び越え、屋根から屋根へ思うがままに飛び移れる、ここまで自由にリアルな日本の街を闊歩できるゲームは今までなかったんだ。

こんな路地裏が無数にあるぞ。

そしてオープンワールドの弱点である「広いけどスカスカ」な感じを、東京ならではの狭い路地と入り組んだ地形の密度で払拭し、歩くごとに様々な発見をもたらす探索しがいのあるモノにしている。この鬱蒼とした密度はまさにコンクリートジャングル。この路地の隙間の先には何が待っているかワクワクする!

ややっ!ゲーセン・カドミ!

そしてサブクエストなどで住宅に入る事もあるのだが、洋ゲーではまず味わうことのできない日本の生々しい生活感に溢れている!この他人の家感溢れる再現度は凄いぞ、勝手に上がり込んだせいで後ろめたい気分にさせるくらいだ。

そして本作は簡単にビルからビルへ飛び移れる操作のおかげでプレイヤーはまさに夜のビルの屋上を飛び駆け、選ばれし力で人知れず怪異を倒すヒーローとなっており厨二感がド直球に強くて最高だ。コレだよコレ!思えば自分が遊びたかった日本が舞台のゲームってコレだったのかもしれない。(これで美少女ヒロインがいれば良かったが、何故か拗ねたオッサンと一心同体だ。)

さーてと、渋谷 救っちゃいますか。(闇夜に消える)

渋谷再現というより現代日本再現?

そしてメインビジュアルで渋谷が舞台だと思っていたが、本作で驚いたのは渋谷を再現する事が主ではなかったという事。
この渋谷に行ったことある人間なら歩けばわかる相違点が楽しい。センター街ををまっすぐ行ってマクドナルドを抜けたあたりにたしかクラブセガがあって、東急文化村が...病院!?!?あのブックオフがあったビルは!?まんだらけは!?と最初から驚きで迎えてくれる。(渋谷観が古いしオタクだ…。)

渋谷駅の周りは再現されているが、少し離れると寂れた団地があったり、裏山があったり、杉並区のような商店街があったりするのが逆に笑える。どこも日本人なら「あるあるこんな所」と頷ける雰囲気が素晴らしい。ということで散歩しているだけでもなんだか楽しい。この人がいない静まり返った夜に一人で散歩するのもなかなかオツなものだね。
でもスペイン坂や東急ハンズ、シスコのあった坂などは再現してほしかったなぁ...。

ホラー描写がとにかく面白楽しい!

そして本作はタイトルにゴーストと付くだけあって本作はかなりJホラー要素をてんこ盛りにしている。口裂け女から心霊写真と都市伝説系のモノから花子さん的な学校の怪談。果ては一旦木綿に座敷童子、河童などトラディショナルすぎる妖怪まで詰め込むだけ詰め込んでいる。もうこれは一種のホラー祭りだ。

こうなると「怖いゲームなのでは...」となるけれど、プレイヤーは立派にガンガン戦えるので、恐怖を和らげてるのも良いバランスだ。恐怖でドキドキするよりもむしろ楽しくてワクワクするぞ。

お店というお店は全て猫又たちのものになっている。現実でもそうなってほしい。

それに街中には妖怪と同じくらい可愛い猫と犬たちが闊歩しているので癒されるし、人のいないコンビニでは猫又たちが経営している。可愛すぎ!
あとサブクエストも見た事あるホラーな展開が「お待たせしました!ご存じのアレです!」と言わんばかりに登場するのも嬉しい。

ご存じのアレの一例。

そして恐怖描写として霊障により異世界に迷い込む描写があるけれど、LSDやドクター・ストレンジ的シュールなトリップ表現で、これがまたカッコ良すぎる!まさかこんなサービスまであるなんて!なんで俺の好きなモノを知ってるんだ!

真似したくなるアクション!

そして本作の要となるアクションも楽しい。武器をほぼ使わず手の形だけでアクションをするので、とても新鮮だしその動きも厨二感あって楽しい。しかもこのポーズはどれも真似しようと思えばすぐに出来てしまうのも嬉しく、なりきり遊びが楽しいぞ。
おかげで近所で鳥居を見つけた瞬間、自分も浄化のポーズをとりたくなってしまったし、公衆電話ではあの謎ポーズもとりたくなる...!コアを引き抜くポーズも練習したいね!

鳥居をみたらこのポーズは取りたい!
この謎の手の動きは真似できそう!
引き抜きアクションは練習せねばっ!

そんなこんなで本作は最初はどうなるかと思ったけれど、最終的にどハマり。現代日本を舞台にしたゲームとしてはこれ以上ない自由度とワクワクを与えてくれる素晴らしいゲームでした。おススメです。


DATA

Ghostwire TOKYO
発売:Bethesda Softworks
開発:Tango Gameworks
対応ハード:Xbox series X/S、PS5、Steam
発売日:2023年4月12日(Xbox版)
ジャンル:FPS、アクションアドベンチャー


[注意:以降の文章はネタバレを含みます。]

ストーリーは?

ストーリーはというと、最初はつれないバディだったKKがだんだん仲良くなるのも面白いんだけれど、肝心の般若の話が絶妙に愛故におかしくなってしまった人を地で行くテンプレみたいな人でそこまで魅力がないのは残念でした。仲間のエリカとの関係ももうちょっと掘り下げて欲しかったですね。
というか一心同体バディというのもAtomic Heartと被ってるんだよな...。

しかし最後は主人公の過去をコチラが辛くなるくらい掘り下げまくり、切なく悲しく、それでも生きようという強い意志を持って主人公が前に進むエンディングでとてもよかったです。というか泣きました。

ちなみにホラー描写だときさらぎ駅が登場したのは最高。

映画鑑賞と積みゲーの資金となります…たぶん