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繰り返し模様cmm2

17種類の壁紙模様の対称性の第8クラスは,
国際記号でcmm2,ロシア式記号で(a/a):2・m です.

点群2・mの図形を,並進の大きさは等しいが対称面(赤線)には斜交する軸(青線)(a/a)に沿って並進させて得られるので,(a/a):2・mと記述できる.
あるいは,面心格子c[黒いダイヤに注目すると面心格子が見えてきます]で,同じ点群2・mの図形を並進させると得られる.
菱形格子[単純格子](a/a)の単位胞の面積は,面心格子[2格子点を含むものが単位胞](c/b:a)の単位胞の面積の1/2です.

Fig.128改造2

(c/b:a):2・m
(c/b:a)が面心格子を表し,mは赤い鏡映面を表し,鏡映面の交点には紙面に垂直に2回軸がある.

(a/a):2・m
菱形格子(単純格子)(a/a)を採用すると,このように記述できる.
これら両者の記号は同じ対称性を表現している.(c/b:a):2・m=(a/a):2・m

このような対称性で,等価なパーツだけで平面を隙間なく(重なることもなく)充填するパターンは次のようなものです.釣鐘の形が非対称要素(モチーフ・タイル)で菱形の単位胞(単純格子)は2つの釣鐘型からなり,面心格子の単位胞は,4つの釣鐘型からなります.

Fig.129改造

次の例は,この対称性の日本の伝統文様「菱文(ひしもん)」です.この図はネットからお借りしました.

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■平面群の記号,(c/b:a):2・mや(a/a):2・mの記述に使うのは,群を定義する最小の対称要素[群の生成元]だけ記載します.下図を見てください.完成した平面群の対称要素のなかには,生成元だけでなく,細い赤い線[映進面]や白抜きの赤い2回軸が生じています

菱形格子と,面心格子のそれぞれの単位胞を下図に着色して置きました.

Fig.129改造2


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