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主軸と対称面,2回軸の組み合わせ

この対称クラスは,主軸が偶数位数の回映軸~2n(位数nの単純回転軸)と
,主軸に沿って交差するn枚の縦方向の対称面の系で決定されます.派生する対称要素として,対称面の間の角度を2等分するn本の横方向の2回軸があります.主軸~2nと対称面mの1つを生成元とすると,このタイプのすべての対称クラスは,~2n・mとなります.主軸が~6のタイプである特定のケースで,対称要素の配置は図aに示しました.このスケッチで,軸~6 は,6角形の輪郭で示され,これと一致する3回軸は,黒い3角形で示されています.2回軸は ,黒い(レンズ形)で端にもつ対称面間の線分で示されています.図a は,対称性~6・の図形ではなく,そのような図形の対称要素を表しています.対称性~6・mをもつ図形の例は,図bに示します.

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これは菱面体であり,立方体から,その体対角線の1つに沿っ伸長または圧縮して得られます.よく知られている複屈折鉱物のアイスランドスパー(方解石)は,菱面体の結晶外形で,菱形の面と平行な面に劈開があり,ハンマーで割ってみると,簡単に菱面体の劈開片になります.同じ対称性を持つのが硝酸ナトリウムで,アイスランドスパーと同様に,光学分野ではニコルプリズム(偏光を得るための装置)の材料として使用されます.芸術や日常の対象物で,対称クラス~2n・mは,前回扱った対象物と同様に,たいへん稀有であります.これは,芸術家や技術者が対称性理論をよく知らないためでもあります.普及している例としては,引き伸ばされた4面体の対称~4・mをもつ牛乳紙パック が挙げられます.

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方解石写真:ネットより借用

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