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IKEAに行く

15年ぶりくらいにIKEAへ行ってきました。
ずっと1Kの寮暮らしだったので、前回は実家に暮らしていたころの話ですね。僕はIKEAと聞くと、オードリーの春日がむちゃくちゃやって「壊れない」と言われたイスをぶっ壊したことを思い出します。

僕は家具が好きです。木をふんだんに使った、自然を感じられるものが好きですが、ゴツゴツした男臭いガレージにあるような無骨な家具も好きです。例えば全部ステンレスでできた業務用みたいなキッチンとか。

生活を豊かにしよう、心地よいものにしようと思うと、家具は切っても切り離すことのできない要素であることは明確です。それが自分の好きなものだったら、さらに最高。

僕は先日40歳になりました。さすがに40年も生きていると、自分の好みというのが固まってきます。自分の好きなものがわかってくる、という言い方が正しいかもしれません。IKEAに行くと、コンセプトの違ういろんな部屋のディスプレイがあって、全部欲しくなりました(全然固まってない)

今一番欲しいのはソファです。体が沈み込むようなアメリカのおしゃれな家にある大きいソファが欲しい。そう思っていました。でも僕の部屋は小さいのでソファが入るスペースがありません。正確には入るスペースはあるっちゃあるんだけど、ソファを買うとそのための部屋になってしまいます。僕は人間が部屋の主役であると思っているので、人間以上に家具が出しゃばることを良しとしません(どういうこっちゃ)だから、ソファのために僕が生活するスペースを潰すことに、ものすごい抵抗があります。ずっと狭い部屋に住んできた影響なんでしょうけどね…

年齢的に家が欲しいと思う時期でもあります。大きなリビングにガレージがあって、これまた大きなテレビと…理想を言えばキリがありません。人間の欲というのは無限大です。手に入れたと思ったら違うものが欲しくなるのです。

IKEAは外から見えない部屋の内側にあるものが、ほぼ全て揃っています。食器も収納もベッドもみんなある。ここに来るというのは「理想の暮らしを作る」ことが目的です。インスタでおしゃれな投稿を繰り返す「誰か」に憧れて、自分もそうなりたいと思う。建売住宅であっても、今の家ってめちゃくちゃスタイリッシュですよね。機能的で、頑丈で、住みやすい。すきま風なんか吹かないんですよ。

でも家が欲しいと思っていても、同じ場所で思考が止まる瞬間があります。それは「結局仕事でほとんど家にいないんだから、家を買う意味なんてない」というものです。ものすごく現実的な理由で夢がないですよね(笑)

賃貸のアパートにいると隣近所の部屋に迷惑になっていないかがすごく気になってしまいます。もちろんちゃんとしたアパートなので、寮暮らしのときとは比べ物にならないほど、音が気になりません。これが普通なんだろうけど、寮は壁もベニヤみたいだったので、テレビの音もちっちゃくしていた。生活が良くなっても、またニョキニョキ生えてくる欲。

戸建ての家なら深夜にどんちゃん騒ぎでもしないかぎり、迷惑になることはありません。それだけでもきっと家を手にいれる意味はあるんだと思います。今後数十年払い続けるローンと自分の収入を天秤にかける。どこに住みたい?一回買ったらもう後戻りできないぞ。そういうお告げが僕の脳を支配します。最終的に「一緒に住む人もいないし、やっぱいいや」と考えることを放棄して1日が終わります。

IKEAの話に戻ります。IKEAに一人で来ている人はほとんどいないようでした。これから新しい生活を始めるのであろうカップルがほとんどといった感じ。これは平日に訪れたからかもしれません。週末であれば家族連れの渦がすごいことになっているんだろうなぁ、と思いながら店内を巡ります。

欲しいものはたくさんあります。でもこういうところで試されるのは「何を買わないか」という決断力です。何を買うかという選択は、とにかくカートに放り込んでいけば良いのだから、簡単です。

僕は「今必要なものは部屋にあるし、買わない、買わない」ということを何度も心の中で繰り返していました。最初に手に取ったのは99円のキッチンの整理トレーでしたから(笑)それだけでお会計をして帰るつもりでした。マジで。

でもですね。キッチン用品コーナーに来たらですね。あ、そういえばスプーンとフォークが必要だ。セットのがあるの?それ買う。え、コップ?やすっ!なんかいいじゃん。買おう買おう。

続いて照明コーナー。へー、安いのもあるんだ。そういえば枕元に照明が欲しいなぁと思ってたんだよな。え、なにこれ。充電して使える間接照明?約5000円…ランプにしては結構するなぁ。隣に数百円のあるしな。でも誕生日、自分には何も買ってないよな。どうしようかな。でも仕事のストレス、この柔らかい灯りで癒されたら安いもんだよなぁ…居酒屋でたらふく食って飲んだら5000円なんて簡単にするもんな。

気づいたら、お会計は7000円に届こうかというところに。ほとんどはランプの値段なんですけど。

これが怖いところなんですよ。大した収入もないのに、クレジットカードを使えばいくらでも買い物ができる気になってしまう。欲しいものにそれらしい理由をつけて「今買わなきゃ!」というマインドにコントロールしてしまう。誰にされているわけでもない。全て自分の中だけで完結しているんです(笑)これでは誰に責任をなすりつけるわけにもいかない。

でもね。帰ってそれらを開封して使ってみるわけです。え、良いじゃん!その瞬間の高揚感といったらないですね。自分が間違っていなかった。それだけでこれから先の人生が全て順調になるかのような気持ちになるんです。

そんなわけないのに。

買い物って良いですよね。通販も良いですが、僕は実店舗で商品を見て購入する方が好きです。同じものを買うのなら、通販で買った方が安いし、移動するための交通費もガソリン代もかからない。でも、僕は実際に商品を見て買うことが買い物の醍醐味だと思っているんです。商品に触って、自分の中のインスピレーションと戦わせる。その先に「欲しい!」という感情が生まれたら、それはきっと自分の人生にとってかけがえのない存在になってくれることでしょう。もしかしてそうならない可能性もあります。

でもそれで良いんです。

その商品を手に取り、一回でも「欲しい!」と思ったその感情を否定することはしてなりません。感情に正直になるのです。なんだか宗教じみた文章になっていますが、そういうことなんですよ。

欲しいものを欲しいときに。そして変えるお金があるのなら絶対に買うべきなんです。これはやりたかったことを、諦めてしまう理由にも似ています。人間はやって後悔したことよりも「やらなかったこと」に強い後悔を抱きます。これは買い物においても同じことなんです。結局使わなかった?結局飽きてしまった?それが買い物じゃない?って。いらなくなったらセカストに買い取ってもらいなさいよ。

10円で。

捨てる手間がないだけありがたいと思いなさい。僕はそう思うんです。こういうことを繰り返して現代人の人生というのは過ぎていくものだと勝手に定義しています。よほどの山奥で生活しない限り、世の中や社会といったものから切り離されて生きてくことは不可能です。いろんな情報に支配されて、それを取捨選択することが求められます。ときには失敗もあります。それも含めてお買い物なんです。

後悔したくないから買わないという選択をすると、絶対に後悔します。

ということで、IKEAに行って数日しか経ってないのに、もう行きたくなっている僕、なのでした(マジでホットドッグは10本くらい食べられそうだった)

追記
勢いで買った充電式の間接照明はまだ開けてない。

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